Altair社がシミュレーションソフトウェア「Simulation 2022.3」をリリース

2023年 5月29日

Altair社 2023年5月23日

Altair社は2023年5月23日、同社製シミュレーションソフトウェアの最新アップデートとなる「Simulation 2022.3」をリリースした。Simulation 2022.3では、Simulation 2022をベースに、包括的なシミュレーションツールキットが広範にわたって強化され、多くの新機能が盛り込まれている。中でも、クラウドコラボレーションとクラウドコンピューティング、エンドツーエンドのシミュレーションワークフローの効率化、AIを活用したシミュレーションによるデザインクリエーションに焦点が当てられている。

クラウドでコラボレーションとコンピューティングを変革

Altair Oneのクラウドベースのイノベーションプラットフォームは、データのサイロ化、ITの制約、アクセスの障壁を排除し、イノベーションを加速させる。Altair HyperWorksプラットフォームとAltair Oneをつなぐ新しいシームレスなデジタルスレッドワークフローにより、ユーザーはモデルのプレビューや修正、データの追跡、オンラインライブラリへのアクセス、選択したクラウドプロバイダーでのシミュレーション、Altair Oneユーザーとのコラボレーションを、どこからでもシングルサインオンでアクセスできるエコシステム内で実行できる。

シームレスなデジタルスレッド環境

Simulation 2022.3では、シミュレーション、データ、Altair Oneを継続的に統合することにより、シームレスなデジタルスレッド環境を提供する。新しいAltair HyperMeshマルチモデル機能によって、デジタル接続された複数のモデルシステムおよびサブシステムバリアントを1つのセッションで管理できるため、効率の向上とメモリフットプリントの削減が実現できる。

オンデマンドデータ

セルフサービスアクセスにより、必要なシミュレーションソフトウェアが全て搭載された専用のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)アプライアンスを作成することができるようになった。このようなプライベートアプライアンスをクラウドプロバイダー上で作成し、最適な計算ハードウェアを利用してGPUノード上で実行可能なアプリケーションを実行することにより、シミュレーションソルバーや、流体力学、バルク、粒状材料のシミュレーションの可視化を図ることができる。Altair OneのHPCアプライアンスは業界で実績のあるワークロードスケジューラーを搭載しており、コンピュートリソースの最適な活用と迅速なターンアラウンドタイムを実現する。

データとコンピューティングのためのシミュレーションの活用

ワークフローの改善により、HyperWorks、人工知能(AI)および機械学習(ML)と、Altair One CloudプラットフォームのHPCが統合される。この一元化されたアプローチにより、設計の反復を削減し、最適化プロセスを加速し、データサイロを排除し、コラボレーティブなエンドツーエンド環境においてデータとコンピューティングリソースへのシームレスなアクセスを提供する。

「HPCの経験がほとんどない私たちにとって、システムやニーズに対応してくれるソリューションがあることは非常に有益で、私たちはエンジニアリングの専門知識に集中することができました。約49%という大幅なコスト削減を実現できてとても嬉しく思います」
- C-TEC社シミュレーションエンジニア Miguel Salazar氏

エンドツーエンドのシミュレーションワークフローの効率化

HyperMesh、Altair Inspire、Altair SimLabなどのプリプロセスおよびポストプロセッシングソリューションがアップデートされ、製品開発の迅速化が可能になった。2022.3では新機能のInspire Fluidsが実装され、熱ならびに水力設計の目標に適合するよう部品やアセンブリの形状の作成、修正、変更ができるようになっている。Inspireは、Linuxユーザーインターフェイスにも対応しており、新たなジオメトリ作成ツールセットが導入されている。さらに、電子システム設計を改善して、複雑な電子システムのバッテリーモジュールのモデリングと熱解析を迅速かつ低コストで実行する手段として活用できる。

マルチフィジックスアクセスの簡素化

Inspire Fluidsは、設計段階で内部流れをシミュレーションするため、CFD解析の専門知識を持たない設計者やエンジニアでも活用できるようになっている。GPUとCPUの両方に対応しているInspire Fluidsを用いることで、流体や熱の挙動を素早く観察でき、情報に基づいた迅速な製品設計サイクルが実現できる。Simulation 2022.3のマルチボディシステムシミュレーションでは、モデルのセットアップ、複数のモデル入力とタイミングの調整、複数の解析内容の迅速な整理・比較する方法などが容易に実行できるようになっている。また、2022.3ではMotionViewがアップデートされ、ビジュアライゼーションの高速化が実現されたほか、Altair EDEMおよびAltair AcuSolveとAltair MotionSolveのコシミュレーション実行時のライブアニメーションや、車両モデリング用の専用ワークフローも利用できるようになった。

電子システム設計の変革

大規模モデル用のワークフローが改善され、スケーラビリティが向上したことで、電子システムの設計とシミュレーションも容易化された。AcuSolveを用いると、全体的な熱と流れの観点からバッテリーシステムを設計・改善することができる。また、バッテリーモジュールのモデリングの改善、フロートポロジー最適化のための自動スムージング、Altair PSIMライブラリーとAltair Composeの統合により、パワーエレクトロニクスとモータードライブの設計シミュレーションが容易になった。SimLabでは、電子回路の寄生効果の解析とモデリング用の新しいツールが導入され、さらにAltair Fluxとの継続的な統合や、Altair ElectroFloによる複雑な電子システムの解析用の新機能により、エンドツーエンドのシミュレーションワークフローをサポートする。

プリプロセスおよびポストプロセスソリューションの効率化

プリプロセスおよびポストプロセスソリューションは、HyperMesh、MotionSolve、SimLabにおけるエンドツーエンドのワークフローを強化し、製品開発を合理化するが、Exoskeletonには HyperMeshツールキットが新たに追加され、最適なパフォーマンスの実現のために、コンセプトの探索と詳細なコンポーネント設計を迅速に行うことができるようになった。さらに、結果をプロットするための機能やディスプレイ表示が強化され、ユーザーの効率向上が実現する。

「他社のソフトウェアツールでは何時間もかかるモデルも、Altairではおよそ10~20分で変換することができました」
- TEN TECH AEROSPACE & DEFENSE社マネージングディレクター William Villers氏

AIを活用したシミュレーションで優れた設計を実現

実験計画法(DOE)の成果を向上させるために専門家の意思決定を取り込めるよう、Altair DesignAIが強化され、設計の検討や最適化においてコンポーネントや要素のプロパティを変化させることができる柔軟性が提供されるようになった。また、統合機能が拡張され、ユーザーはあらゆるタイプの変数間に一般的なリンクを作成し、外部ファイルタイプからレスポンスを生成することができる。さらに、あらゆる探査の実行から設計変数でモデルを自動的に更新することで、効率を向上させることが可能となっている。

モデリングの容易化

Altair romAIをはじめとするAltair Activate内のアプリケーションは、3Dモデリングのみならず、1Dおよび2Dモデリングも可能であり、縮約モデルの生成を支援する拡張AI機能を備えている。大規模なCADアセンブリを数分でインポートし、CADジオメトリの軽量化表現を作成して、迅速なプレビューと検証を行うことができる(HyperMesh CFDワークフローに最適)。

設計効率の向上

Altair HyperStudyの強化により、DOEサンプリング手法が追加され、予測モデリングの効率が向上した。設計変数の制約による個別および複合的な寄与を理解し、データポイントを改善するための変更を行うことが可能となっている。HyperMesh shapeAIは、Cassifyツールで機械学習を拡張し、新しいモデルで特定された部品を自動的に分類して予測することができる。

AIを活用した設計と最適化

HyperMesh Design Explorerで専門家の意思決定を取り込み、DOEの結果を改善することで、製品の最適化をスムーズに進め、設計サイクルを短縮することができる。特性のバリエーションと変数間のリンク作成の拡張によるAIの強化により、どの探査内容からも設計変数でモデルを自動的に更新し、設計の意思決定を迅速に行うことができるようになった。

「機械学習ベースの予測サロゲートモデリングは、人間の専門知識を補強し、開発時間を短縮しながら新しい洞察と効率性を発見する、エキサイティングな可能性を秘めています」
- BMW社デザインボディエンジニア Moritz Frenzel氏

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