CYPE社がBIMソリューションの「CYPE 2024」をリリース

2023年 6月19日

CYPE社 2023年6月12日

CYPE社は2023年6月12日、同社製BIMソリューションの最新版「CYPE 2024」をリリースした。今回の2024バージョンでは複数の新機能が搭載され、また各分野のソリューション間のコミュニケーションが改良されたことにより、持続可能性とバイオ建設基準を備えた設計・解析機能の強化が図られている。同様に、CYPECADでは、構造物から分離した個別の要素として傾斜スラブを分析・設計するためのランプモジュールが新たに実装されたほか、新しいコードの導入や新しい言語への翻訳などの国際化に向けた取り組みも継続して実施されている。

CO2排出量の40%、エネルギー消費量の30%以上を占める建設・住宅産業は転換期を迎えており、エネルギー効率の追求と温室効果ガス排出の削減が課題となっている。このような中、持続可能な新築の建築物の建設と、エネルギー効率の悪い建物の改修が、業界における活動の現在そして未来を形成することになり、専門家は持続可能性とエネルギー効率に関する正確な分析を行うために、最先端のツールを活用して作業することを余儀なくされている。

このため、CYPEはプログラム間の相互接続を強化し、情報の損失を最小限に抑えることによって、エネルギー効率化プログラムの最適化とパフォーマンス向上を図ることとなった。その結果、新築・改築を問わず、あらゆる建設プロジェクトにおいて、実際のエネルギーシミュレーションの実施、経済的収益性の判断、エネルギー消費と性能の予測、現行法規への準拠を検討するうえで必要なツールを専門家向けに提供できるようになった。

CYPEのツールは、Open BIMワークフローにおいて、設計者が建物のエネルギーシミュレーションを実施するうえで有用で、建物のエネルギー需要や利用可能な空調システムのエネルギー消費量を可能な限り正確に判断することが可能となっている。

CYPEでは、エネルギーのシミュレーション、音響、照明、ライフサイクル分析、空調、設計数量、ソーラーパネル、電気自動車用充電ポイントなどのプログラムがあり、さまざまな分野における多領域作業を促進し、プロジェクトにかかわる多くの専門家の調整を効果的に行うことができる。

これにより、建物のエネルギー監査を容易に実施できるようになり、同時にbuildingSMART国際規格に基づく建物のエネルギー需要と消費量が推定できるようになる。

持続可能性の促進-持続可能なエネルギーとライフサイクル分析

さらに、CYPEのプログラムでは、太陽熱エネルギーや太陽光発電などのクリーンエネルギー、地熱、空気熱、バイオマスエネルギーなどのシステム・機器の設計・解析を行うことができる。

太陽光発電システムの設計・解析については、専門プログラム「CYPELEC PV Systems」に、ハイブリッドインバータ、モジュール式バッテリー、配電盤などの新しいモデリング要素が追加された。

Open BIMワークフローに統合されたこのプログラムでは、建物に設置するソーラーパネルの適正な枚数の分析、電気料金の50~70%削減、自家消費システムへの投資の早期回収が実現できる。

CYPEアプリケーションでは、さまざまなソフトウェアパッケージからの情報が集まるため、環境情報や経済的な資料を活用した調査を組み込むことで、持続可能なプロジェクトを提示できるようになる。例えば、フランス市場向けには、ELODIE by CYPEプログラムによって、建物の環境影響評価を実施することができる。

国際的なEnergyPlus解析エンジンを搭載したCYPETHERM EPlusは、建物のエネルギー需要だけでなく、利用可能な空調システムのエネルギー性能を判断し、供給システムごとのエネルギー消費量や使用するエネルギーベクトルを割り出すものとなっている。

デジタルモデルの取り扱いに向けたプログラム間の接続の改良

今回の最新バージョンでは、IFCファイルの完成度が高まり、また、別のプログラムからこのフォーマットにエクスポートする際の新しいオプションも組み込まれているため、Open BIMワークフローでの作業中に情報を伝達するプログラム間の相互接続が改良されている。

この改良により、サステナビリティ関連のプログラムだけでなく、鉄筋コンクリート構造要素の鉄筋をBIMモデリングするStruBIM Rebarなど、ほかのさまざまなプログラムにもメリットがもたらされた。さらに、このプログラムでは先般、全ての鉄筋を詳細に見ることができる新しい3D作業環境も実装された。

ランプモジュールの導入

CYPEバージョン2024には、構造物から分離された要素として傾斜スラブを解析・設計するためのCYPECAD向け「Ramps」モジュールも新たに搭載されている。CYPE社の技術担当役員であるCarlos Fernandez氏によると、この新たなツールは各スパンのランプコアをストレートフライト、カーブフライト、水平スパン-1/4ターン、水平スパン-ハーフターンの4つのタイプに分割するという。

また、CYPECADではパンチングシア補強に高い性能を発揮するプレキャストスタッドが組み込まれているほか、PeikkoのPSBパンチングシア補強も使用できる。

このプログラムには、対応するETA(欧州技術評価)文書に記載されたデータが全て含まれており、利用可能な製品リファレンスを選択するだけでPeikkoの補強システムを利用することができる。

WURTHブランドのケミカルアンカーとメカニカルアンカー

CYPE ConnectとStruBIM Steelプログラムでは、新しいメーカーの導入の一環として、WURTHブランドのカタログに掲載されているポストインストールケミカルアンカーとメカニカルアンカー、ならびにアンカープレートのコンクリート固定部材を使用することができるようになっている。

国際化に向けた継続的な取り組み

国際的なレベルでは、CYPEは世界各国の規格を取り入れ、ルーマニア(SR EN 1991-1-3:2005/NA:2017)とポーランド(PN-EN 1991-1-3:2005/NA:2010)の構造に関するアクション(積雪荷重)、マレーシア(MS 1553:2002, AMD.1:2013 )の構造に関するアクション(風)など、広範な規制が継続して追加されている。ラテンアメリカについては、パナマの新しい地震対策基準であるReglamento de Diseno Estructural(REP-2021)やボリビアのReglamento Nacional de Instalaciones Sanitarias Domiciliarias(RENISDA)が取り入れられた。 また、CYPEは日本語とロシア語に翻されており、ロシア語版は中央アジアや東欧の国々で使用されている。

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