VoxelMatters社が金属積層造形市場に関する包括的な調査結果を発表

2023年12月11日

VoxelMatters社 2023年12月5日

VoxelMatters社の市場分析部門であり、世界の積層造形(AM)産業の動向追跡を専門とするVoxelMatters Researchは、2023年12月5日、金属積層造形市場に関する包括的な調査結果を発表した。金属積層造形分野における全関連企業の売上高と事業活動に関する情報を記載したレポート「Metal AM Market 2023」(2023年金属AM市場レポート)によると、2022年の金属AM市場の売上高は、前年比26%増の28億5000万ドル(約4,128億円)であった。

VoxelMatters Researchが実施したこの調査は、VoxelMatters社が有する金属AM企業(ハードウェア、材料、サービス)の最新データベースに基づくものであり、世界の金属AM市場の分析と予測を提供している。

2023年の金属AM市場の調査結果

2023年の金属AM市場レポート「Metal AM Market 2023」では、同市場がこれまでと同様に主に技術により牽引され、ハードウェアが最大のセグメントであることが明らかになった。2022年には、ハードウェアが約15億ドル(約2,172億円、前年比30%増)を創出したが、この金額は金属AM市場全体の50%以上を占める数字となっている。これについて、金属AMサービスは、金属AM技術を利用する分野の一つにすぎないことに注意するのが重要であると同レポートでは指摘されている。

エンドユーザーの分野においては、航空宇宙産業が金属AMハードウェア、材料、サービスの合計で最も高い売上高を記録している。航空宇宙産業は金属AMをいち早く採用しているが、それに次いで産業部品セグメントが急速な追い上げを見せており、医療と自動車セグメントがそれに続いている。

地理的に見ると、中核的な金属AMセグメントをリードしているのがEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域であり、中でもドイツはレーザー粉末床溶融結合(L-PBF)技術発祥の地として金属AMの最前線にある。イタリア、英国、フランスも主要市場であり、それ以外にも、スペイン、ベネルクス三国、北欧地域、中東などが金属AMの新興地域となっている。米国のAM市場は、米国を拠点とする企業によって、国内市場としては世界最大の売上高を記録しており、一方、アジア太平洋地域は、中国(金属L-PBF)と日本(金属L-DED)のAMハードウェア企業が牽引して急成長を遂げている。

同レポートでは、粉末ベースのプロセス(PBF、金属バインダージェット方式、粉末ベースのDED)以外の技術と材料についての包括的な分析が初めて実施された。各章では、ワイヤベースプロセス(WAAM、EBAM、ワイヤベースL-DED)、バウンドメタルプロセス(押出、ステレオリソグラフィ、SLS)、結合プロセス(摩擦攪拌接合、コールドスプレー、超音波)の詳細な定性調査、定量調査ならびに予測が記載されている。

Metal AM Market 2023(2023年金属AM市場)レポートについて

「Metal AM Market 2023」(2023年金属AM市場)レポートは六つの章で構成されており、各章では、概要、ハードウェア、材料、サービス、業種、地域について詳述している。170以上の図表とデータテーブルが盛り込まれ、積層造形に使用される金属技術および材料の分析・予測が行われている。また、航空宇宙、自動車、医療、歯科、エネルギー、消費者製品など、主要産業分野におけるプロトタイプ、ツール、最終用途部品の製造にも焦点が当てられている。

VoxelMatters社のディレクトリは、7,000社近くのAM企業を検証・網羅した世界最大のディレクトリであり、同社の調査チームは、中心的な金属AM部門とその主要セグメントで幅広く事業を展開する444社を取り上げている(そのうち387社は、同社が独自に調査対象とした企業)。これには、ハードウェアメーカー132社、材料サプライヤー73社、サービスプロバイダー239社が含まれており、この市場調査は56,000を超えるデータセットに基づいた、現在の世界の金属AM市場を最も正確に反映したものとなっている。

同レポートでは、3D Systems、ATI Specialty Materials、Bright Laser Technologies、Carpenter Additive、Desktop Metal、ExOne、DMG MORI、EOS、Falcontech、FIT、GE Additive、HBD、Hoganas、Linde (Praxair)、Oerlikon、Quickparts、Sandvik、Sintavia、SLM Solutions、Stratasys Direct、Toolcraft、TRUMPF、Velo3Dなどの大手企業や新興企業が取り上げられている。

また、同レポートは、現在活躍中である企業の市場分析と各社の開発への取り組みを支援するだけでなく、金属AM市場への参入を目指し、新たな機会を活用しようとしている企業も対象としている。金属部品製造にAMを導入しようとしているOEMメーカーは、この調査を活用することで利用可能な技術、材料、サービスならびに、それぞれの利点と課題を理解し、利益を得ることができる。さらに、同レポートは今後登場する破壊的生産技術を求める投資家への手引きにもなるものでもある。

More Information