Siemens Digital Industries Software社がデジタルマニュファクチャリングソフトウェア「Tecnomatix 2402」を発表

2024年 2月26日

Siemens Digital Industries Software社 2024年2月14日

Siemens Digital Industries Software社は2024年2月14日、同社製デジタルマニュファクチャリングソフトウェアの最新版となる「Tecnomatix 2402」を発表した。Tecnomatixポートフォリオは、多様な業種や規模のビジネスに対応する先進のデジタル製造ソフトウェアを提供する。Tecnomatix 2402では、Teamcenterとの接続、UIの更新、コラボレーション、ロボットシミュレーション、オフラインプログラミング、バーチャルコミッショニング、ヒューマンシミュレーション、バーチャルリアリティの各分野における新機能が導入されている。

Siemens xceleratorは、デジタルトランスフォーメーションを簡単、迅速かつ大規模に加速できるオープンデジタルビジネスプラットフォームである。Tecnomatixはxceleratorに含まれており、企業の製造リスクを最小限に抑え、生産オペレーションを改善する。最新バージョンで強化された機能について以下紹介する。

一般的な機能強化

Tecnomatix 2402では、以下の新機能がリリースされた。

リリースアップデートの頻度向上

Tecnomatix 2402では、頻繁なリリースアップデートが導入され、従来のホットフィックスに代わって、ダイナミックかつ即応性の高い方法でのソフトウェア改善が採用された。従来のホットフィックスとは異なり、問題の修正とマイナーな機能強化の両方が含まれ、Process Simulateを通じてシームレスなリリースアップデートを実現できる。Process Simulateを起動すると、利用可能なアップデートのアラートが表示されるほか、Process Simulate内でアップデートを直接ダウンロードしてインストールでき、効率化が図られている。

アップデートをコントロールしたい場合は、Tecnomatix Doctorのツールメニューからアクセスできるリリースアップデートの設定ダイアログで、アップデート通知を無効にできる。Tecnomatix 2402では、ソフトウェアの最新状態を維持するための積極的なアプローチが導入されている。

新しい「アップデートをチェック」コマンドは、Process Simulateの「ファイル」メニューにあり、ソフトウェアのアップデートを検索できる。これにより、アップデートを即座に統合したい場合でも、より個別のアプローチが必要な場合でも、最新の機能強化を活用できる。

ダークテーマ

Tecnomatix 2402では、Process Simulateにダークテーマが新たに導入され、ビジュアルエクスペリエンスが一変した。この機能は、リボン、ビューアー、ダイアログなどの主要なUI要素に適用され、グラフィックビューアーを除いて、最適な明瞭さを実現する。ダークテーマは、ブルーライトの発生を抑え、目の疲れを軽減し、特に低照度下での作業効率を高める。テーマ設定でのカスタマイズコントロールにより、デフォルトのライトテーマと新しいダークテーマを切り替えられる。ダークテーマのユーザーをサポートするために、ダイアログボックスの多くのアイコンがベクター(.svg)形式で再設計されており、テーマ間でのビジュアライゼーションが強化されている。

Process Simulate on Teamcenter

オーサリングの強化

Process Simulate on Teamcenterでは統合機能が強化されており、オーサリングの強化が図られている。Tecnomatix 2402では、Process Simulate on Teamcenterでのオーサリングをさらに容易にするため、オブジェクトビューアーと操作ツリーの両方に視覚的なインジケータが導入されている。オブジェクトライン上の専用アイコンで表示されるこれらのインジケータは、オブジェクトのアクセス状態を伝達するもので、Teamcenterでのオーサリングプロセスが明瞭になる。ロック状態を表示するため三つのアイコンがステータスバーに表示されるようになった。アクセス状態のアイコンが表示されていない場合は、そのオブジェクトがオーサリング可能であることを示す。

また、ワークフローの透明性と柔軟性を向上させるために、終了時にスタディにチェックインできるようになった。この動作は、オプションダイアログのTeamcenterタブでカスタマイズできる。ユーザーがチェックアウトしたスタディを閉じると通知が行われ、その内容でスタディをチェックインするオプションが即座に提供される。この機能により、オーサリングの操作性が向上するだけでなく、スタディのコンテンツの詳細なコントロールが可能になり、Process Simulate on Teamcenterでのワークフローがより直感的なものとなる。

許可されたオブジェクトタイプの検証

Tecnomatix 2402では、Process Simulate内において、Teamcenter接続モードおよびスタンドアロンモードで、ルールに準拠したモデリングエクスペリエンスが実現しており、各オブジェクトタイプごとに、子や孫、割り当てを許可するオブジェクトタイプが定義できる。リソースツリーとオペレーションツリーは、これらのルールに確実に従い、指定されたタイプのオブジェクトのみを選択範囲に追加できるようになった。

このように入念な管理を行うことによりモデリングプロセスが強化され、エラーの防止と構造の合理化につながる。プロセスとオペレーションは特にこのルールに従うため、指定されたタイプのリソース、パーツ、MFGのみの割り当てが可能になった。この機能は、リソースツリー内のリソース構造やオペレーションツリー内のプロセス構造を変更する全てのコマンドやアクションに影響を及ぼす。

オーサリングポリシーの強化

Process Simulate on Teamcenterでは、Tecnomatix Doctorの二つのベータ版機能による重要な強化も導入されている。「書き込みアクセスの検証」オプションは、ユーザーが書き込みアクセス権を持つオブジェクトのみを変更できるようにするもので、データの信頼性とワークフローのコラボレーションが強化される。「オブジェクトのチェックアウトを強制」オプションは、チェックアウトされたオブジェクトのみを変更できるようにユーザーを制限するもので、複数ユーザー間のコラボレーション管理を促進する。

グラフィックスのパフォーマンス

Tecnomatix 2402では、グラフィックスのパフォーマンス強化が優先されており、エクスペリエンスの向上が実現している。一般的なボトルネックに対処するための新しいパフォーマンス機能により、Process Simulateのスタディへ迅速にアクセスでき、ブランキング、オブジェクト選択、複製、削除などの重要な操作が効率化される。

特に、アンドゥとリドゥコマンドの応答性が向上し、スタディの探索を効率的に行うための表示速度が改善された。また、オブジェクトを種類別に整理して表示する機能が搭載されたことでプロジェクト管理が強化できるようになり、スナップショット作成などの機能の最適化や複雑な操作におけるパフォーマンスの向上が実現している。

自動サイズカリング

膨大なデータセットが40,000もの形状を超えるようなシナリオでは、「サイズカリング」アルゴリズムが自動的に起動し、よく見えないような小さなオブジェクトをカリングしてパフォーマンスが最適化されるようになった。このアルゴリズムは、スタディ全体とユーザー視点に対する相対的なサイズに基づいて、グラフィックビューアー内のオブジェクトをダイナミックに非表示にする。

また、グラフィックビューアーで更新が必要とされるオブジェクトの数を最小化し、作業負荷を軽減するため、応答時間が短縮され、ユーザーエクスペリエンスの全体的な効率が大幅に向上した。特筆すべきは、アルゴリズムが可視性の変化や新しいオブジェクトの導入に適応して自動的に調整を行い、パフォーマンスの最適化を図ることである。

Process Simulate Collaborate

Tecnomatix Process Simulate Collaborateは、クラウドベースの3Dコラボレーションプラットフォームであり、Process Simulateのスタディのビジュアライゼーション、レビュー、分析を共同環境で行える。この3Dシミュレーションコラボレーションツールは、Process Simulateのスタディをクラウドに拡張し、社内外の関係者がProcess Simulateのスタディの情報にアクセスできるようにすることで、時間短縮と労力の軽減を支援する。ダイナミックな3Dビジュアライゼーション、シミュレーション、電子フィードバックにより、コラボレーションが大幅に改善される。

Process Simulate Collaborateは、2023年初頭にリリースされたSiemensのSaaSアプリケーションであり、新機能を搭載したアップデートが先般行われている。

モーションボリューム

Process Simulate Collaborateでは、スタディ内のオブジェクトのモーションボリュームを操作できる。この機能により、衝突検出、測定、シミュレーションなどの動きが発生する空間内の領域を視覚化することができる。

ポーズへのジャンプ

Process Simulate Collaborateでは、あらゆるデバイスのキネマティクスを扱えるようになった。この機能により、スタディで作成されたさまざまな方向やポーズが視覚化されるため、シミュレーションのレビュープロセスが加速できる。

同時レビュー

同時レビューでは、Process Simulate Collaborateのオーナーとレビュアーが同時に作業できる。レビュー担当者は、独立したレビューフィードバックを提供するために、どのデバイスからでもスタディを視覚化することができる。

ロボティクス

Process Simulate Roboticsは、ダイナミックな3D環境でのロボットプロセスのプログラミングと検証を支援する。これには、スポット溶接、金属加工、穴あけ、リベッティング、表面処理、組立などのロボット・アプリケーションが含まれる。

Tecnomatix 2402では、以下の新機能がリリースされた。

ロボットライブラリ

Tecnomatix 2402では、ロボットライブラリビューアーが導入された。クラウドベースのロボットライブラリは、JTフォーマットで利用可能なロボットモデルの包括的なコレクションを提供するもので、オンラインでライブラリにアクセスし、Process Simulate内からロボットモデルをシームレスにダウンロードするだけでシミュレーションに必要なロボットアセットが簡単に入手できる。

主要ベンダーの多様なロボットモデルが広範囲にそろったクラウドベースのロボットライブラリはナビゲートも容易で、検索機能にフィルタとテキスト検索機能が組み込まれているため、適切なロボットモデルを素早く直感的に見つけられる。また、選択したロボットをロードしたスタディに挿入でき、シミュレーションのセットアッププロセスがスムーズに行える。何百もの新モデルをすぐに利用できるため、特定のシミュレーション要件に最適なものを見つけられる。

また、新しいモデルをSiemensに直接リクエストすることもでき、進化するシミュレーションのニーズに対応できる環境が提供される。クラウドベースのライブラリは、新しい追加、更新、変更を全てのユーザーが即座に利用できる。

ロボットセンター

ロボットセンターもアップデートされて、スタディ内の全てのロボットと関連機能を一つにまとめられるようになり、ロボット工学の専門家も新規ユーザーも直感的な体験が得られるようになった。Tecnomatix 2402では、整理されたビューアーから全てのロボット関連機能に直接アクセスできるようになっており、インターフェイスも効率化されている。このため、スタディ内の各ロボットのツールが統合でき、複数のタブをナビゲートする必要性が最小限に抑えられ、一貫性のあるインターフェイスで新規ユーザーでも学習しやすいようになっている。ロボットモジュールとバックグラウンドロジックのグループ化により、アクセシビリティがさらに最適化され、関連する全てのアクションがすぐに利用可能となっている。

対応コントローラ

ロボットコントローラは、Fanuc、安川電機、川崎重工のコントローラに完全対応し、ABBとKUKAについては広範に対応しているほか、今後、さらなる拡張が計画されている。コントローラのサポートはOLPパッケージに統合されており、Process Simulateの次のリリースやソフトウェアのアップデートを待たずに、リアルタイムのアップデートが可能である。

追加機能として、ブランク/表示機能、コントローラー設定のロボットセンターへの統合、ユーザーインターフェイスの効率化などがある。最新のコントローラをサポートし、設定を統合することで、効率と適応性の向上が期待できる。

セーフティロボットマネージャが川崎重工のCubic-Sに対応

Tecnomatix 2402は、安全性評価機能を強化するため、川崎重工のCubic-Sを含む安全ロボットのサポートを拡大した。また、ロボットに関連する複数または全ての動作を評価できる強力なツールである動作チェックが利用できるようになり、アクティブゾーンの制御が可能となった。このツールは、評価された操作とその結果を示す詳細なレポートも提供し、Microsoft Excelにエクスポートできる。動作チェックは衝突検出エンジンも利用するため、通常の安全違反シミュレーションと比較して、さまざまな結果が得られるとみられる。

ロボット自動パスプランナー

Tecnomatix 2402では、前モデルから大きく進化した新しいロボット自動パスプランナーが導入されている。この新しいツールは、ロボット作業のパスプランニングを強化するように設計されており、溶接、ピックアンドプレースなどの機能をサポートし、同じシーケンス内でインターロックの課題に対応する。パスエディターと統合されたプランナーは、衝突ステータスを計算し、詳細なモニターを提供することで、オペレーションを包括的に理解することができる。

現在ベータ版ではあるが、ロボット自動パスプランナーは既に話題となっており、正式リリース前にツールの改良と最適化のためにユーザーからのフィードバックが積極的に求められている。

バーチャルコミッショニング

Process Simulate Virtual Commissioningは、ステーションを制御するPLCコードを実行し、ロボットの動作、ロボットのロジック、クランプ、コンベアなどのメカトロニクスコンポーネント、プロセスシーケンス全体を検証するのに役立つ。バーチャルコミッショニングは、実際のPLC(HiL、Hardware in the Loop)またはバーチャルPLC(SiL、Software in the Loop)、および内部評価ツールProcess Simulate Cyclic Event Evaluator/Emulation(CEE)で機能する。

Tecnomatix 2402では、以下の機能がリリースされた。

スキッドと部品のシミュレーション

Tecnomatix 2402では、スキッドと部品のシミュレーション機能により、コンベヤーシミュレーションが大幅に進化した。これにより、コンベヤー間を移動する際に、スキッドと搬送部品がスムーズにスタックできるようになり、精度の向上とモデリング工数の削減による物理シミュレーションの改善が実現した。特筆すべき改良点は、部品とスキッドを別々のコンベヤーで制御し、積み重ねをサポートすることで、余分なモデリングステップを省ける。さらに、ストッパー制御ポイントで停止した部品やスキッドは「ピッキング可能」と表示され、グリッパーのようなほかの装置との兼ね合いが効率化されている。これにより、シミュレーションのリアリズムが高まるだけでなく、モデリングプロセスが大幅に簡素化される。

ヒューマンシミュレーションとバーチャルリアリティ

Process Simulate Humanは、歩行経路分析、到達性テスト、視覚分析、人間工学的評価により、オペレーターのリスクを排除するのに役立つ機能である。

Process Simulate Virtual Realityは、より良いエンジニアリングレビュー、スタッフトレーニング、現実的なプロセス検証のための没入型バーチャルリアリティ環境を提供する。

Tecnomatix 2402では、以下の新機能がリリースされた。

TSBモーションライブラリ

Tecnomatix 2402では、TSBモーションライブラリが導入され、タスクシミュレーションビルダー(TSB)用のカスタムモーションセットが作成できるようになった。この機能により、モーションキャプチャデータやシミュレーションから直接モーションを記録し、実際の人間の行動のニュアンスを捉えることができる。これらのモーションをTSBにシームレスに統合し、シミュレーションのリアリズムと効率を高める。主なメリットは、シミュレーション作成時の大幅な時間短縮に加え、実際の人間の行動から得られたモーションを取り入れることで、シミュレーションの正確性を向上できる点にある。

さらに、追加されたモーションの中で各個人の姿勢を編集し、タスクをさらに精緻なものとすることで、より強化された正確なシミュレーション体験が実現できる。TSBモーションライブラリを活用してシミュレーション作成プロセスを効率化し、カスタムモーションライブラリをチームメンバーと共有することでコラボレーションが促進する。この機能は、シミュレーションのリアリズムと効率を飛躍的に向上させ、シミュレーションのワークフローを強化するダイナミックなツールを提供する。

Tecnomatix 2402では、Process Simulate Humanに姿勢モニターが導入されており、人体姿勢の研究用に設計された図がハイライト表示される。このツールは、作業中に、人間工学に基づいているかを迅速かつリアルタイムに評価する。各関節の角度の数値が姿勢モニターダイアログに動的に表示され、作業要求が推奨限界に合致しているかどうかを特定するのに役立つ。

最新バージョンでは、シーン内の人物の姿勢に関する警告が直接ハイライトされるようになった。個々の関節が望ましい姿勢の範囲から外れたときにすぐ分かるよう、色のついた円が表示されるようになった。リアルタイムのフィードバックがシームレスに統合されたことで、人間工学上の評価を効率的に強化し、十分な情報に基づいた判断が下せるようになった。

ForceSolverの操作性向上

Tecnomatix2402では、ForceSolver機能のユーザビリティが大幅に向上し、柔軟性の向上と解析結果のカスタマイズが可能になった。解析に関係のない下肢の関節を除外できるようになり、タスクに必要なことを集中的に調べられるようになった。

主な特徴としては、ForceSolverに新しいオプションが追加され、各シナリオの結果をカスタマイズできるようになったことが挙げられる。上半身に特化した分析の場合、足首、膝と足首、足首、膝と腰など、下半身の一部を選択的に除外できる。このメリットとして、高度に焦点化された分析結果が生成できるようになり、明確な洞察が促進され、所見を他者と共有する際の混乱が低減できる。TheForceSolverのユーザビリティの向上に伴い、人間工学上の評価の精度と効率性を確保しながら、分析をさらに自由にコントロールできるようになった。

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