Vectorworks社がBIMソフトウェア「Vectorworks 2024 Update 4」をリリース

2024年 3月18日

Vectorworks社 2024年3月13日

Vectorworks社は2024年3月13日、同社製BIMソフトウェア「Vectorworks 2024」の第4弾のアップデートとなる「Vectorworks 2024 Update 4」をリリースした。Vectorworks 2024 Update 4では、二つの新しいツールを通じてAIとバーチャルリアリティ(VR)技術にアクセスできるようになっている。また、オーディオ業界でVectorworksパートナーネットワーク初のプラチナメンバーとなった、音響補強技術で業界をリードするL-Acousticsとの統合が行われた。

Vectorworks社のレンダリング&リサーチ担当シニアディレクターであるDave Donley氏は、今回のアップデートについて次のように述べている。「今回のソフトウェアアップデートは、設計プロセスを向上させる最先端技術をお客様に提供するという我々の揺るぎない献身を示すものです。二つの新しいツールを導入することでAIとVRの力を活用し、ユーザーの皆様が設計コンセプトをより速く、より詳細に探求できるよう前進しています。これらの機能は、ユーザーの皆様がさらに多くの仕事を獲得し、最高レベルの精度と創造性を備えたプロジェクトを提供できるよう支援するものであると確信しています」。

次世代テクノロジーでワークフローに革命を起こそうとするデザイナー向けの機能

Vectorworksのパワーと、画像生成AIであるStable Diffusionのスピードを組み合わせた新しいツール「AI Visualizer」により、AIの無限の可能性を指先で感じることができるようになった。Vectorworksインターフェイス内で直接利用できるこの実験的なツールは、Vectorworksクラウドサービスを使用して、インストール不要で中断のないワークフローを実現し、どのような設計段階でもテキストプロンプトからイラストレーションコンセプトを素早く発想したり、Vectorworksモデルを使用して洗練されたイメージを作成したりすることができる。このため、デザイナーがオプションやアイデアを迅速に探求する能力の向上、デザインコンセプトに集中できる時間の増加、さらに多くの仕事の獲得の実現につながる。AI Visualizerは、Vectorworksクラウドサービス上で処理されるため、個々のハードウェアに関する制限のためにパフォーマンスに影響がおよぶことはない。ユーザーは、個人情報が保護されている中で画像を生成しながら、中断なく設計作業を続けることができる。

Vectorworksの顧客は、Meta Quest 2以降向けに開発されたUnityベースのバーチャルリアリティアプリケーションであるVectorworks Odysseyを利用して、設計ワークフローでVR技術を使うこともできる。このアプリケーションにより、誰もが鳥瞰図モードやバーチャルウォークスルーモードで没入型VRモデルを体験できる。特に設計の初期段階において状況を把握し、プロジェクトに関する徹底的なフィードバックを迅速に行うのに役立つ。

一方、AppleのRoom Planを使用することで、Vectorworks NomadのRoom Plan機能がさらに向上し、iOSアプリから直接、正確な3Dモデルを迅速かつ簡単に作成できるようになった。複数の部屋をスキャンし、1つのモデルに統合する新機能に加え、丸い壁や斜めの壁のサポートが追加されたことで、既存の建物や敷地の状況を調べるための時間が大幅に短縮できる。また、NomadやVectorworks Cloud Servicesからファイルをインポートするための新しいワークフローがデスクトップアプリに追加されたほか、Vectorworksのメニューコマンドで、3Dスキャンのファイルを容易に検索し、設計レイヤーに直接インポートできるようになっている。

さらに、Redshiftプログレッシブモード機能の新しい高度なレンダリングテクノロジーにより、デザインレイヤーで直接3Dビューを微調整する際に、フィードバックをすぐに提供できるようになった。

建築家とインテリアデザイナー向けの機能

設計者に優れたBIMコラボレーション機能を提供するための継続的な取り組みとして、Update 4では、プロジェクト関係者との作業の共有がこれまで以上に容易になった。最新の情報開示陳述書(IDS)機能により、プロジェクト情報を迅速に検証し、現地の要件やプロジェクト要件に確実に準拠できる。また、最新のBIM Collaboration Format(BCF)インターフェイスにより、サーバーベースのBCF ManagerとファイルベースのBCF Managerとの間のシームレスな切り替えがサポートされ、課題管理が容易になっている。さらに、IFCファイルエクスポートでは、ジオメトリとデータの認定品質、ジオリファレンスされたポジショニング、最適化されたファイルサイズとともに、洗練されたIFCアセンブリと複数の建物がサポートされるようになり、コラボレーションがより効果的なものとなる。

これに加え、Update 4では、柔軟性の向上とドキュメントの改善が行われたほか、最近実装されたキャビネットツールにカスタマイズ機能が追加された。

音響およびライブイベントデザイナー向けの機能

オーディオデザインワークフローを優先したいエンターテイメント業界のプロ向けに、Vectorworks 2024 Update 4では、Spotlightの顧客がモデルをSoundvisionにエクスポートできるようにするL-Acousticsとの統合が新たに実施された。Vectorworksオブジェクトのジオメトリを簡素化し、軽量で応答性の高いモデルをSoundvisionにエクスポートできる。この単純化により、貴重な時間が節約でき、設計プロセスの効率化を図ることができる。

「私たちは、サウンドデザイナーにシームレスで効率的なワークフローを提供することに全力を注いでいます」と、統合プロジェクトを率いたL-AcousticsのアプリケーションデザインエンジニアであるMaxime Demurger氏は説明する。「このSoundvisionの統合を通じてプラチナパートナーのステータスを獲得したことは、長期的なパートナーシップの第一歩であり、両社のツール間の相互運用性を高め、より正確な3Dサウンドモデリングを提供することになります」。

Equipment Listに表示されるデータを統合するEquipment Listワークシートにより、エンターテインメント業界のあらゆる分野の顧客がカスタムレポートを作成する際の効率が向上する。また、新機能のEquipment Summary Keyにより、ユーザーは個々のEquipmentオブジェクトの配置や縮尺を調整することができ、レポートをよりよくコントロールできるようになる。

ランドスケープアーキテクトおよびランドスケープデザイナー向けの機能

ランドスケープ業界のプロ向けに、二つの新しいHardscapeツールである「Site Model Contour Label」と「Site Model Contour Labelワークフロー」が導入された。HardscapeツールのStyle Pick-upとConvertモードでは、Plant、Landscape Area、Irrigationツールと同様に、Hardscapeのアクティブな設定を使用して、選択したシェイプからスマートなHardscapeオブジェクトを作成できる。これにより時間が短縮でき、ワークフローの一貫性が確保できる。サイトモデルの等高線ラベル機能は、「等高線ラベルを追加」ツールをよりよく制御できるようにするもので、分数や小数など希望の単位でカスタムラベルを配置できる。これにより図面の標準を容易に満たすことができ、確実に等高線にラベルを付け、交差点にきれいにラベルを配置できる。

今回の最新のアップデートは、現在リリースされているVectorworks 2024の全ての英語版でダウンロード可能で、サブスクリプションユーザーおよびVectorworks Service Selectのユーザーは即時利用できる。アップデートをインストールするには、Vectorworksメニュー(Mac)またはヘルプメニュー(Windows)から「Check for Updates(アップデートをチェック)」を選択する。

創造力を解き放ち、デザインの可能性を無限に広げるために、Vectorworks Design Suiteの無料トライアル(7日間)が設けられている。Public Roadmapでは、Vectorworksの最新情報を入手できるほか、今後の変更についてのフィードバック送信や、新たな提案を行える。

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