IMSI Design社がCADソフトウェアのTurboCAD 2024をリリース

2024年 4月15日

IMSI Design社は2024年4月9日、同社が開発を行う3D CADの最新版「TurboCAD 2024」を発表した。本製品はWindowsデスクトップPC向けで、Platinum、Professional、Deluxe、Designerの四つの製品で構成されている。今回の最新版では、新しい物理ベースレンダリング(PBR)エンジンであるTurboLuxが、製品ラインの全ての2D・3Dバージョンに搭載されたほか、20以上の新機能追加と機能強化が実施されている。

IMSI Design社のBob Mayer社長はTurboCAD 2024について次のように述べている。「TurboCAD 2024のリリースは、ビジュアライゼーション、3Dモデリング、建築設計の強化に重点を置いており、設計を効率化するために10万点もの部品を追加し、また新しいアプリ内のコンテンツサーバーとも統合されました。また弊社は、TurboCAD Deluxe、Professional、Platinumバージョンで利用可能になった初の物理ベースレンダリングエンジン『TurboLux』を発表できることを嬉しく思います。TurboLuxレンダリングエンジンの追加により、TurboCADのビジュアライゼーション機能は、フォトリアリズムという全く新しい次元に到達しました。CPUとGPU両方のレンダリング速度が飛躍的に向上し、数百ものマテリアルも追加されています。ほかにも2D製図、3Dモデリング、相互運用性の強化と合わせると、全てのユーザーが新リリースのTurboCAD 2024は素晴らしいと感じてくれるでしょう」。

主な新機能と改良点は以下の通りである。

ユーザビリティとインターフェイス

  • LTEコンフィギュレーションワークスペース:LTEコンフィギュレーションがTurboCAD 2024の一部となった。ユーザーは、カスタマイズウィンドウを使用して、デフォルトのワークスペースとLTEワークスペースを切り替えられる。
  • 新しいプロパティページ:TurboCAD 2024のプログラムセットアップに新しく「選択」プロパティページが追加された。選択プロパティページでは、選択効果とハイライトオプションを設定できる。選択効果の設定は、視覚化ハイライト効果の追加設定とともに選択ページにシフトされた。

2D製図と編集

  • パスに沿った点ツール:TurboCAD 2024の点サブメニューの描画メニューに「パスに沿った点(Points along Path)」ツールが新たに追加された。このツールをアクティブにすることで、ユーザーはパス(曲線)に沿ってポイントを設定でき、さらに「ポイント数」と「距離別」のプロパティを設定できる。
  • 基本図形ツール:ツールメニューに基本図形(Basic Shapes)ツールが新たに追加された。このツールは、フローチャートで使用される全ての基本図形の描画に使用される。現在、ローカルメニューには10種類の図形があり、オプションで反転させることができる。
  • コネクター作成ツール:ツールメニューのフローチャートの一部としてコネクター作成(Connector Creation)ツールが導入された。このツールは異なる形状を接続するために使用される。ローカルメニューで利用可能なコネクターにはさまざまな種類があるが、スマートオプションが有効な場合、コネクターのタイプ(矢印の方向)は接続されたセグメントによって決定される。リンクオプションを有効にすると、コネクターと接続されたオブジェクトの間にリンクが作成される。
  • 添付テキスト:ツール/フローチャートメニューに添付テキスト(Attached Text)ツールが新たに追加された。このツールは、任意のオブジェクトにテキストを添付する機能を提供する。テキストは、その中心がオブジェクトの中心と同じになるように、オブジェクトに添付される。オブジェクトが変わると、テキストの位置も変わる。
  • セレクター一般:セレクタープロパティダイアログの一般ページにマークサイズ(Mark Size)オプションが新しく追加された。画面解像度に応じてビットマップマークスタンプのサイズを自動的に計算するアルゴリズムは、特定のユーザーには好ましくない場合があることから、特定の画面解像度に最適なサイズをユーザーが独自に選択できるようになった。
  • セレクター2D:セレクター2D(Selector 2D)に新しい軸オプションが導入された。
  • ブレンド曲線:ブレンド曲線ツールが新しく追加された。このツールはポリラインと曲線をブレンドできるもので、G2連続と最小曲率半径の二つの異なるモードで機能する。「G2連続」では、2点、2方向、2曲率でベジエセグメントを作成する。一方、「最小曲率半径」では最大曲率半径が最小のベジエセグメントを構築する。
  • ベジエ編集ツールの改良:TurboCAD 2024ではベジエ編集ツールが改良され、セグメントの集合としての曲率半径の視覚化、接線方向を維持した接線ノード(緑色)の編集などの機能が向上した。これに加え、ベジエ編集ツールのローカルメニュー項目に「接線方向を保持」が新しく追加された。これにより、点の接線の方向を変えずにベジエ曲線の編集が可能になる。
  • 曲線の改良:曲線ツールが改良され、曲線プロパティに新しく「曲率を表示」プロパティが追加された。このプロパティを有効にすると、曲線の曲率をセグメントとして表示できる。
  • 製図パレットの改良:TurboCAD 2024では製図パレットが改良された。製図パレットを使用する際、上部ペインの整列断面図をクリックすると、関連する線が図面スペースでハイライトされる。これにより、ユーザーは整列断面図が何を切り取っているのかがすぐに分かるようになる。

3D描画、モデリング、編集

  • パスのグラフィック:TurboCAD 2024では、パスのグラフィック(Graphic on Path)ツールが改良された。計算精度が向上し、隆起したポリラインとスプラインに沿った距離計算の精度が向上した。
  • ポリラインのセットによるサーフェス-ポリラインによるサーフェス(Surface by Polylines)ツールが描画メニューのロフトツールに新しく追加された。このツールは、ポリライン、円弧、曲線のセットから3Dメッシュ(サーフェス)を作成する。最初のポリラインの始点は、次のポリラインの最も近い始点に接続する。オプションで、さらにポリラインを追加することで、ポリラインの方向に沿って滑らかなサーフェスを作成できる。
  • ヘリックス、ローカーブ、スプライン、ベジエオブジェクトの改良-ヘリックス、ローカーブ、スプライン、ベジエのツールが改良された。また、これらのツールのSIパレットのプロパティセクションにLengthプロパティが新たに追加された。
    ロフトツールの改良:ロフトツールが改良され、スイープパスを選択(Select Sweep Path)オプションがロフトツールに新たに追加された。スイープパスによるスキニングは、既定のスイープパス曲線に沿った一連の入力プロファイルを通してサーフェスを補間する。入力プロファイルはワイヤーボディの形で定められる。
  • ACIS 2024のアップデート:ACISが最新バージョンであるACIS2024にアップデートされた。
  • 穴ツール(カスタム穴):穴ツールが改良され、選択情報パレットの穴ツールのプロパティページの穴タイプに新しくカスタム(Custom)オプションが追加された。カスタム穴はブロックに基づいており、ブロックの内容は穴またはボスを作成する本体として使用される。ブロックのバウンディングボックスの上部または下部の中央がアンカーポイントとして使用される。「ブロック参照を使用する」オプションがオンの場合、ブロック参照点がアンカーポイントとして使用される。

建築設計の改善点

  • 地形:ポリラインのセットで地形を作成:TurboCAD 2024では地形ツールが改良された。新しいローカルメニューオプション「ポリライン(By polylines)」が地形ツールに追加され、ポリラインのセットでも地形を作成できるようになった。これを利用して、孤立線のセットでランドスケープを作成することもできる。

フォトリアリスティックレンダリングとビジュアライゼーション

  • 使いやすさの向上:TurboCAD 2024では、レンダリングマネージャーのTurboLuxのタイトルが改良された。これまでレンダリングマネージャーのタイトルの多くは(「kd」や「kt」のように)意味をなさないものであったが、これらのタイトルは(例えば、Blenderのように)シェーダやプロパティ名が分かりやすいように編集されている。
  • 新しいプロパティ:ジオロケーションによる太陽の方向 - TurboCAD 2024の「Sun」シェーダと「Sky2」シェーダに新しいプロパティ「ジオロケーションによる太陽の方向(Sun dir by geo-location)」が追加された。このオプションがオンの場合、図面のジオロケーションデータが方向の計算に使用される。オフの場合は、Dirパラメーター(方向ベクトル)が方向の計算に使用される。
  • クオリティレンダリングモード:RT Path OCL Preview(Denoiser Off)とRT Path CPU Preview(Denoiser Off)の新しいレンダリングモード2種類がQuality Renderダイアログボックスに追加された。これらのモードは、Denoiserパラメーターが使用されないことを除き、RT Path OCLとRT Path CPUモードと類似している。Denoiserをオフにしたことで、レンダリング中のプログラムのインタラクティブ性が向上したため、レンダリングを迅速に中断したり、シーンやカメラ位置に必要な変更を加えられるようになっており、シーン作成や編集時にこれらのPreviewモードを使用することで利便性が向上する。
  • TurboLux Sceneの新しい診断警告:TurboLux Sceneに二つの新しい診断警告が追加された。これらの警告は、一致するファイルが見つからない場合に表示される。
  • 3Dメッシュのサポート:これまで3DメッシュはTurboLuxレンダリングでサポートされていなかったが、TurboCAD 2024ではサポートされるようになった。
  • Directionalシェーダの方向計算に図面のジオロケーションデータを使用:ビジュアライズのDirectional(方向)シェーダにジオロケーションによる方向プロパティが新たに追加された。このオプションをオンにすると、図面のジオロケーションデータが方向の計算に使用される。オフの場合は、Dirパラメーター(方向ベクトル)が方向の計算に使用される。
  • エッジ交差:カメラのプロパティページのDraftページに新しく交差プロパティが追加された。交差エッジプロパティは建設エレメント間の交差をハイライトするもので、レンダリングモードがビジュアルスタイル(Visual Style)、エッジモデル(Edge Model)がファセットエッジ(Facet Edges)の場合に有効になる。同ページにはエッジ交差オプションも追加され、ダイアログで交差エッジオプションを設定できる。ダイアログボックスには色とパターンの設定が含まれる。
  • 環境ライブラリの地面の影カテゴリ:TurboCAD 2024の環境ライブラリに新しいビジュアライズ環境カテゴリ「地面の影」が追加された。このカテゴリには9種類の環境(Plan、Left、Right、Top、Blurry 4、Blurry 8、Ground Offset 0.5、Opacity 0.5、Opacity 0.9)がサムネイル付きで追加されている。
  • 新しい環境シェーダ「地面の影」:TurboCAD 2024のレンダリングマネージャのビジュアライズ環境に新しく「地面の影」シェーダが追加された。このシェーダの効果により、ライト、グランドプレーン、マテリアルなどのオブジェクトを手動で追加・設定することなく、シーン内のグラフィカルオブジェクトの下にある影をシミュレートできる。
  • VSFX形式へのエクスポート:VSFX(Open Design Visualize Stream)形式へのエクスポートができるようになった。
  • レンダリングマネージャにビジュアライズコンポーネントコマンドが追加:TurboCAD 2024では、レンダリングマネージャの各エンティティ(マテリアル/ルミナンス/環境)のローカルメニューに新しくビジュアライズコンポーネントコマンドが追加された。このコマンドは、「LightWorksコンポーネントを追加」、「RedSDKコンポーネントを追加」、「TurboLuxコンポーネントを追加」コマンドと同様に機能する。このメニュー項目は、選択したエンティティ(マテリアル/ルミナンス/環境)にビジュアライズコンポーネントがない場合に使用できる。
  • ビジュアライズを使用したセレクタの描画:GDIを使用せずにビジュアライズモードでクラシックセレクタを描画できるようになった。これにより、GDIエンジンの制限を回避し、セレクタと選択したオブジェクトを点滅なしに描画できるようになった。また、立方体、長方形、その他のオブジェクトの正しい描画、黒い背景での正しい描画、ちらつきのないセレクタ描画のためにGDIセレクタが改良された。
  • ビジュアライズを使用した選択エンティティの描画:GDIを使用せずにビジュアライズモードで選択エンティティを描画できるようになった。これにより描画が高速化され、点滅なしに描画できるようになった。ただし制限として、サポートされるデバイスタイプが「OpenGL ES2」である必要がある。デバイスタイプが「OpenGL」の場合、選択したオブジェクトは緑色での描画となる。また、新たに追加された機能には、ワイヤフレームモードでの選択範囲のハイライトの切り替え、選択されたエンティティに対するハイライトスタイルの使用、選択されたエンティティに関連付けられたエンティティに対するハイライトスタイルの使用、ドラッグ中の選択されたエンティティの表示などがある。パフォーマンス面では、エンティティの選択/選択解除と、ドラッグ中の選択エンティティの描画が高速化された。
  • ビジュアライズを使用して「選択情報」から描画エンティティをハイライト:選択情報パレットからビジュアライズモードで描画エンティティをハイライトできるようになった。ただし、サポート対象のデバイスタイプは「OpenGL ES2」となる。デバイスタイプが「OpenGL」の場合、選択したオブジェクトは緑色での描画となる。新たに追加された機能には、ハイライトされたエンティティに対するハイライトスタイルの使用、選択されたエンティティタイプの透明度の変更などがある。パフォーマンス面では、エンティティのハイライトが高速化された。
  • ワイヤフレームモードでの選択エンティティのハイライト表示/非表示:Program SetupSelectionページに新しくHighlight selection in wireframe mode(Visualize only)オプションが追加された。このオプションの変更は、ビジュアライズのワイヤフレームモードで選択されたオブジェクトとウィンドウがある場合に表示される。このオプションを有効にすると、ビジュアライズのワイヤーフレームモードで選択オブジェクトの描画が可能になる。
  • 選択情報に新しく「選択されたエンティティのスタイル透明度」オプションが追加:選択情報パレットオプションダイアログに新しく「選択されたエンティティのスタイル透明度(ビジュアライズのみ)」オプションが追加された。この機能により、ハイライトされたオブジェクトの明るさ(可視性)をほかのオブジェクトの背景に対して増加させることができる。このオプションの変更は、ビジュアライズモードでハイライトされたオブジェクトとウィンドウがある場合に表示される。
  • ハイライトスタイル:プログラムセットアップの選択ダイアログにビジュアライズハイライトスタイルが追加された。ハイライトスタイルによって、オブジェクトやその一部(ファセット、ライン)をほかの部分からハイライトしたり、オブジェクトを前景に出したり、オブジェクトを見えなくしたりすることができる。ビジュアライズには6種類の定義済みハイライトスタイル(Default、Default:edges on top、Default:faces on top、Stipple、Magenta、Glow)がある。ただし制限として、サポートされるデバイスタイプが「OpenGL ES2」である必要がある。デバイスタイプが「OpenGL」の場合、選択したオブジェクトは緑色での描画となる。
  • コンセプチュアルセレクタ:コンセプチュアルセレクターがビジュアライズワイヤーフレーム(Visualize Wireframe)、陰線(Hidden Line)、ドラフト(Draft)で使用できるようになり、全タイプのビジュアライズデバイス(GDI、OpenGL、OpenGLES2)で機能するようになった。ビジュアライズのコンセプチュアルセレクターは、RedSDKで利用可能な全ての機能をサポートしている。コンセプチュアルセレクターはクラシックモードとは異なり、本格的な3Dモデル、マテリアル、ライティング、調整可能なスケール、編集機能を使用する。また、セレクターのジオメトリ、マテリアル、ハンドルのセット、マウスの動きに対するレスポンスなども編集可能となっている。セレクターに関するデータは全て保存され、アクセスして編集できる。
  • 新しい「Selector Properties Visualize」プロパティページ:Selector Propertiesダイアログに新しいSelectorVisualizeプロパティページが追加された。このプロパティページでは、ビジュアライズ特有のオプションを設定できる。また、FXAA、SMAAの許可、クラシックセレクターセクションの設定、コンセプチュアルセレクターセクションの設定などもこのページで行える。

対応ファイル・相互運用性

プロフェッショナルメカニカルCADファイルトランスレーターが改善され、以下の新規および更新されたバージョンに対応するようになった。

  1. IGES、STEP(アップデート)
  2. Rhino 3D
  3. IFCインポート
  4. SVGインポート
  5. 3DMインポート
  6. TCW破損ファイルの読み込みを改善
  7. AutoCAD 2024対応
  8. SketchUp 2024対応

More Information