CYPE社がBIMソリューションの「CYPE 2025」をリリース

2024年 5月27日

CYPE社 2024年5月22日

CYPE社は2024年5月22日、同社製BIMソリューションの最新版「CYPE 2025」をリリースした。CYPE 2025では、空気熱利用ヒートポンプシステムの設計・解析機能や、油圧システムのプログラムを一つのプログラムに統合する機能など、MEPの新機能が搭載されている。さらに、Open BIMワークフローにおける生産性を向上させるためにプログラムの再編成が実施された。

近年、空気熱利用ヒートポンプとしても知られるヒートポンプシステムは、そのエネルギー効率と持続可能性により、空調システムの脱炭素化のために最も重要な技術のひとつとなっている。その重要性が高まる中、空調システム設計プログラム「CYPEHVAC」に実装されているようなソリューションの開発は、業界の専門家の主要なニーズを満たすために不可欠なものである。

CYPE 2025がリリースされるまでは、ヒートポンプシステムをある程度の制限付きでシミュレーションすることができたが、今回の最新版ではモノブロックとビブロックの両方について空気熱利用ヒートポンプシステムの全機能をシステム設計に組み込むためのツールが実装されている。また、家庭用温水(DHW)を個別または集中的に作るための空気熱利用ヒートポンプシステムをシミュレーションすることもできる。

これは、新築プロジェクトでも改修プロジェクト(ガスヒーターなどのほかのシステムからの置き換え)でも、空気熱利用ヒートポンプシステムやヒートポンプシステムの設計に関連する作業がエネルギー関連の利点のために増加することを考えると、特に意義があることと言える。「Building a Green Future:Examining the Job Creation Potential of Electricity, Heating, and Storage in Low-Carbon Buildings」(グリーンな未来を築く:低炭素建築物における電気、暖房、貯蔵の雇用創出の可能性の検証)と題する調査では、雇用創出の可能性が最も高い分野のひとつが、大規模ビルにおけるヒートポンプの利用であると述べられている。

複合給水システム

CYPE 2025で実装されたもう一つの新機能は、飲料水供給システム(CYPEPLUMBING Water Systems)と廃水・雨水排水システム(CYPEPLUMBING Sanitary Systems)の設計・解析ソリューションの一つのプログラムへの統合である。この統合により、異なる二つのプログラムで設備システムをモデル化する必要がなくなり、一方で行った内容がもう片方でも自動的に再現されるようになった。

CYPEのテクニカルディレクターであるCarlos Fernandez氏は、トイレを給水に入れつつ、排水でも考慮しなければならない状況を例に出して、新しいCYPEPLUMBINGプログラムの利点を説明している。

同氏は、「一方のプログラムでモデル化されたトイレは、もう一方のプログラムでも自動的に複製され、そのデータと図面上の位置が全て表示されるようになったため、作業時間が半減します」と強調する。

構造物の耐震設計と火災安全のためのコンクリート節点

CYPE 2025では構造分野における新機能も搭載されており、鉄骨およびコンクリートの構造物の設計・解析ソリューションが継続的に改善されている。具体的には、地震力に対する抵抗システムの一部である鉄筋コンクリートフレームの梁柱節点が満たすべき耐震設計要件をチェックするための新しいモジュールがCYPECADに組み込まれている。

鉄筋コンクリート節点の耐震設計要件をチェックするこの新しいソリューションは、スペインの構造基準「Codigo Estructural」、ACI 318-08、ACI 318-11、ACI 318-14、ACI 318-19に適合しているほか、ユーロコード8、NSR-10(コロンビア)、NTRC-17(メキシコ)、NB 1225001-1:2020(ボリビア)などにも取り入れられている。

構造物の火災安全性に関して、CYPE 3Dでは二つの新機能が取り入れられた。その一つは、鋼材や木材の火に晒される部分を選択する機能で、火に晒されない部分の保護膜の厚さや鉄筋の断面を最適化できるようになった。もう一つは、メーカーのカタログに掲載されている耐火塗料にCYPE 3Dからアクセスして、鋼材の耐火性をチェックできるようにする機能である。

プログラムの再編成

CYPE 2025では、CYPEのプログラムメニューがダウンロードできるのはBIMserver.centerプラットフォームからのみとなる。新しいグループの作成によるプログラムの再編成と合わせて、より直感的で効率的な、かつカスタマイズ可能な構造が提供され、Open BIMワークフローにおける効率とプロジェクト管理が向上する。

前述のCarlos Fernandez氏はこれについて、「BIMserver.centerのCYPEメニューからアプリケーションをインストールすることでプロセスが簡素化され、不必要なプログラムのインストールを回避でき、プロジェクトで使用するアプリケーションに集中できるようになります。これによりワークフローが効率化され、生産性の向上が実現します」と述べている。

More Information