Siemens Digital Industries Software社が3D ICの設計、検証、製造用ソフトウェア「Innovator3D IC」を発表

2024年 7月 1日

Siemens Digital Industries Software社 2024年6月24日

Siemens Digital Industries Software社は2024年6月24日、Innovator3D ICを発表した。この新しいソフトウェアは、ASICやチップレットのプランニングと異種集積のための高速で予測可能なパスを提供するもので、最新かつ世界でも最先端の2.5次元および3次元実装技術と基板を使用している。

Innovator3D ICは、設計計画、プロトタイピング、予測解析のための統一されたデータモデルを備え、半導体パッケージアセンブリ全体のデジタルツインを構築するための統合コックピットを提供する。このコックピットは、実装、マルチフィジックス解析、機械設計、テスト、サインオフ、製造へのリリースを推進する。

電力、信号、熱、機械的応力の解析ツールを統合することで、詳細設計の実装前に課題を特定し、それを回避または解決しながら、迅速なWhat-if分析ができるようにする。このシフトレフトのアプローチにより、コストと時間のかかる下流での手直しや、最適でない結果を防ぐことができる。

Siemens Digital Industries Software社の電子基板システム担当バイスプレジデントであるAJ Incorvaia氏は次のように述べている。「Siemensはすでに、Siemens Xceleratorの一部として、半導体パッケージング関連技術の包括的なポートフォリオを提供していますが、これらをInnovator3D ICと組み合わせることで、顧客はモアザンムーアを実現することができます」。

Innovator3D ICは、AprisaのデジタルIC配置配線技術、Xpedition Package Designerソフトウェア、Calibre 3DThermalソフトウェア、メカニカル設計用NXソフトウェア、Tessent Testソフトウェア、チップ間DRC、LVS、テープアウト・サインオフ用Calibre 3DSTACKソフトウェアを使用して、ASIC、チップレットやインターポーザの実装を推進する。

Innovator3D ICは、数百万ピンもある高度な2.5D / 3D IC設計の複雑さに対応するため、階層的なデバイスプランニングアプローチを採用している。デザインを、エラボレーションとインプリメンテーションの方法を制御する属性を持つ、幾何学的に分割された領域として表現することにより、解析手法を特定の領域に適合させながら、クリティカルなアップデートを迅速にインプリメントすることができ、過度に長い実行時間を回避することができる。階層的なインターフェイスのルートパスプランニングにより、チップレットのインターフェイスとピン配置がさらに最適化される。

Innovator3D ICはSiemens Xceleratorの産業用ソフトウェアと統合されているが、そのオープンアーキテクチャはサードパーティのポイントソリューションとの統合もサポートしている。Innovator3D ICの重要な特長は、3Dblox、LEF / DEF、Oasis、インターフェイスIPプロトコル(UCIeやBoWなど)といった業界標準のフォーマットをサポートしていることである。Open Compute Projects Chiplet Design Exchange Working Group(OCP CDX)に積極的に参加することで、新たな商用チップレットエコシステムが提供する標準化チップレットモデルを直接利用することができる。

Innovator3D ICは、2.5次元実装や3次元実装にとどまらず、インターポーザ(有機、シリコン、ガラス)、ABFビルドアップ、チップを最初または最後に配置するRDLベース(Deca Technologiesのアダプティブ・パターニングプロセスのサポートを含む)など、全ての主要な半導体集積手法とプラットフォームのプランニングとプロトタイピングが可能である。また、PLP(Panel-Level-Packaging)、埋め込みまたは上部のシリコンブリッジ、SiP(System-In-Package)およびモジュールの認定も受けている。

Innovator3D ICソリューションは、IMECが開発したSTCO(System Technology Co-Optimization:システム技術最適化)方法論プロセスに基づいて設計されており、プロトタイピングとプランニング、設計、サインオフ/製造ハンドオフ、包括的な検証と信頼性評価を通じて活用される。Siemensが開発したInnovator3D ICは、次世代エレクトロニクスシステム設計(NGESD)のAIを組み込んだユーザーエクスペリエンス(UX)技術を使用しており、広範なマルチスレッディングとマルチコア機能を使用して、500万ピンを超える設計で最適な容量と性能を実現している。

Intel社Foundry事業部門のエコシステム・テクノロジー・オフィスVP & GMであるSuk Leeは次のように述べている。「EMIBのような高度なヘテロジニアスインテグレーション・プラットフォームでは、予測分析を伴う統合フロアプランニングとプロトタイピングのコックピットが不可欠です。Siemens EDAとの協業を通じて、Innovator3D ICは我々の先進的な統合プラットフォームにとって重要な設計技術コンポーネントであると考えています」。

Innovator3D ICは2024年後半に発売予定となっている。

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