Precise Simulation社がFEAおよびCFDシミュレーションツールの「FEATool Multiphysics 1.17」をリリース
2024年10月 7日
Precise Simulation社 2024年9月30日
Precise Simulation社は2024年9月30日、同社製FEAおよびCFDマルチソルバー/シミュレーションツールボックスの最新版となる「FEATool Multiphysics 1.17」を発表した。FEATool Multiphysics 1.17では、高度な物理モード、ユーザーインターフェイスの強化、空力シミュレーションの性能と機能の向上に重点を置いた機能強化が行われている。
今回の新リリースでは、乱流および圧縮性流れシミュレーションが向上し、OpenFOAMとSU2コードの両方のソルバーインターフェイスに、これらの流れレジームのサポートが追加された。さらに、専用のOpenFOAMスクリプトとプログラミングインターフェイス(API)が導入され、利便性の高いツールボックスのグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)の性能と応答性が向上している。
圧縮性超音速流れシミュレーション
乱流および高マッハ数流れ領域の圧縮性流れ用の新しい物理モードが導入された。この物理モードは、SU2およびOpenFOAM CFDソルバーの両方でサポートされており、高Ma空力、ロケット、さらには宇宙アプリケーションなど、衝撃波や境界層を伴う遷音速や超音速気流などの流れやアプリケーションのモデリングが可能となっている。
圧縮性流れのモデリングを迅速に始められるよう、プリズムを通過する超音速流れの新しいチュートリアルベンチマークモデルも利用できるようになった。
また、非粘性オイラー方程式用の既存の圧縮性流れモードは当然ながら引き続き利用可能であり、すべてのマルチフィジックスアプリケーション、ビルトイン、FEniCS FEAソルバーを含めすべてのソルバーがサポートされている。
OpenFOAMソルバーUIの強化
FEATool Multiphysicsは、OpenFOAMとCFDシミュレーションを始めるための最も簡単で速い方法である。
共役熱伝達を伴うOpenFOAMシミュレーション
前述の圧縮性流れの完全なサポートに加え、使いやすいOpenFOAM GUIとCFDソルバーインターフェイスが、chtMultiRegionFoamとbuoyantBoussinesqFoamソルバーアプリケーションで、共役熱伝達と複数のドメインを特徴とする形状を持つ自然対流と強制対流をサポートするように拡張された。これにより、例えば、熱交換器、リアクター、バッテリーシミュレーションに見られるような、熱伝導と化学反応を含む複雑なマルチフィジックスシミュレーションに適用できるようになっている。
これに関連して、熱交換器と熱伝導に関連する新しいモデル例とチュートリアルが導入・拡張され、自動車、エネルギー、プロセスエンジニアリングなど、熱の影響がシステム性能に大きく影響する業界において、より幅広いアプリケーションがユーザーに提供されるようになった。これらの新しいチュートリアル例によって、複雑な伝熱シミュレーションに素早く対応し、さまざまな設計シナリオを効率的に解析し、より最適化されたシステムを実現することが可能になる。
MATLAB用OpenFOAM APIインターフェイス
OpenFOAM CFDソルバーAPIが完全にオープンとなり、すべてのユーザーが利用できるようになった。つまり、ユーザーは、MATLAB CLIインターフェイスやユーザー定義のMファイルスクリプトから直接、プログラムでOpenFOAM CFDシミュレーションを設定、定義、管理、実行できる。これには、外部のOpenFOAMディクショナリ、データ、シミュレーション結果のインポートやエクスポートも含まれる。
新しいAPIは、MATLABスクリプトの柔軟性と使いやすさを利用したもので、OpenFOAMと高度な流体力学シミュレーションのあらゆる側面がコントロール可能になっている。
SU2コードソルバーインターフェイスの強化
SU2 CFDソルバーインターフェイスもアップグレードされ、(従来の非粘性圧縮性流れに加えて)圧縮性の高いMa数および乱流がサポートされるようになった。このアップグレードにより、超音速気流や衝撃波を含むさまざまな工学システムのシミュレーションが可能になり、よりはん用性の高いツールセットがユーザーに提供されるようになった。
また、同じGUIとモデルセットアップで複数のソルバーを容易に使用・実行できるため、高度なCFD検証と比較検討を行うことができ、精度を確保しながら最適な結果を迅速に得られるようになっている。
最後に、FEAToolバージョン1.17では、よりスムーズで効率的なシミュレーションワークフローとするため、ユーザーインターフェイス(GUI)のパフォーマンスと応答性が改善された。これらの改善により、モデル、スクリプト、結果間の迅速かつシームレスな移動が可能になり、さまざまな設計オプションの効率的な評価や既存システムの最適化が実現する。
CFDTool流体シミュレーションツールボックス
上記のFEATool Multiphysicsツールボックスのアップデートに加えて、簡易版の姉妹ツールボックス「CFDTool」もバージョン1.10にアップデートされた。FEATool UIを反映するようにユーザーインターフェイス(GUI)が合理化され、ツールボックス間の切り替えがより簡単かつ自然になっている。
CFDToolは、FEAToolツールボックスの簡易版で、流体力学と伝熱シミュレーションのための物理モードと機能のみを備えたものとなっている。より高度な、マルチフィジックスシミュレーションやMATLAB mファイルスクリプトには、FEATool Multiphysicsツールボックスの使用が推奨される。
研究者やエンジニアが得られるメリット
- 正確で効率的なシミュレーション: FEATool Multiphysics 1.17は高精度で効率的なシミュレーションを提供し、エンジニアによる設計の最適化、開発時間の短縮、製品性能の向上が実現する。
- 応用分野の拡大: 新機能と機能強化によってFEAToolの応用範囲が広がり、航空宇宙、自動車、エネルギー、プロセスエンジニアリングなどのさまざまな業界に適したものとなっている。
- 生産性の向上: ユーザーインターフェイスの改良とワークフローの合理化によって生産性が向上し、エンジニアは技術的な複雑さへの対処に気を取られず、シミュレーションに集中できる。
入手とダウンロード
FEATool Multiphysics 1.17とCFDTool 1.10は、スタンドアロンのデスクトップアプリケーションとして、またMATLABツールボックスのアドオンとして、Microsoft Windows、Linux、MacOSオペレーティングシステム用の完全対話型GUIとクロスプラットフォームサポートで現在入手可能である。以下から直接ダウンロードできる(または、MATLAB Add-Onsツールバーからワンクリックでインストールが可能)。