Zuken社が電装用CADソフトウェアの「E3.series 2025」をリリース
2024年10月15日
Zuken社 2024年10月8日
Zuken社は2024年10月8日、Zukenは、複雑な配線システムの設計をサポートする機能強化を導入した同社製電装用CADソフトウェアの最新版となる「E3.series 2025」を発表した。E3.series 2025では、シート領域の割り当ての自動化から部品配置の簡素化まで、機能性とCOMインターフェイスの強化が50項目以上について行われ、よりアクセスしやすく、より速く、より柔軟なものとなった。また、今回のリリースでは、E3.seriesソフトウェア群に新しいツールが追加され、既存のツールにも複数の機能強化が含まれている。E3.series 2025では、コントロールパネルと詳細なケーブル設計のプロセスを簡素化するアップデートが実施されている。
Zuken USA社の技術担当副社長であるPaul Harvell氏は、今回のリリースについて次のように述べている。「E3.series 2025では、これまで以上に制御と自動化を強化することに重点を置きました。これらの機能強化は、単に最新の設計ペースに追いつくというだけでなく、そのペースを先取りするものです。ダイナミックなドキュメント作成ツールから、より正確な配線ルーティングや自動化されたプロセスに至るまで、設計者がよりスマートに、より速く、より正確に作業できるソリューションが提供されています。このリリースは、複雑な設計をより管理しやすく、効率的にすることを目的としたもので、これにより、ユーザーの皆様はイノベーションに集中することができるようになります」。
実装デバイスの配置が容易に
複数の機能強化によって、コントロールパネルのレイアウトが簡素化されたが、そのうちのいくつかはデバイスの実装スロットに関連したものとなっている。E3.series 2025では、実装デバイスを改良する最初のアップデートとして、モデルのスロットに名前を定義する機能が追加された。複数のスロットが定義されたモデルを扱う際には、目的のスロットを見つけるのが難しい場合があるため、このような名前は有用である。
ユーザーは、これらのスロット名をプロジェクトフォルダ内でデバイスツリーのように表示し、その後の機能拡張の際にそれを使用して簡単に配置できるようになる。また、設計者は、ライブラリまたは既存のデバイスからコンポーネントのモデルをデバイスツリー内のモデルのスロットに直接ドラッグ&ドロップで簡単に配置することができる。モデルは、パネルレイアウト内のそのスロットに物理的に実装される。この新しい機能により、設計の精度が向上し、エラーが減少する。
また、このリリースでは、スロット領域における手動コンポーネント配置のための整列機能と中央揃えオプションが拡張された。例えば、ユーザーがマウントプレートを選択し、整列コマンドを実行すると、このマウントプレートに接続されたすべてのコンポーネントが整列する。この機能強化により、マウントされたコンポーネントの整列と均等配置が容易になり、より効果的な配置が可能になる。
設計の可視性を簡素化
E3.series 2025では数多くの新機能強化により、重要なデータをより効率的に確認できるようになった。具体的には、デバイスツリー上でデバイスに指定された追加の部品をすべて確認できるようになり、さらに、数量や説明などの情報を、[Info]列で該当の部品に適用された情報として確認することもできる。この可視性により、プロジェクト内のどの追加部品がどの機器に保存されているかについての概要が把握できる。
設計の詳細をより把握しやすくなるよう、接続テーブルやレポートの「from-to」情報を合理化するオプションが追加された。E3.seriesでは、ケーブルの新しいコアの敷設に関するアップデート以降、コアの「from-to」情報について、同じ側にある同じデバイスを接続するようになった。なお、以前は、この方向はグラフィック接続線の方向によって決まっていた。今回のリリースには、ケーブルのワイヤ方向を同じ側で統一するコマンドを実行する新しいオプションも含まれている。「from-to」接続リストのコアの終端を統一することで、トレーサビリティが向上する。
ユーザーの生産性を最大化
Zuken社は、リリースごとにユーザーの効率性を高め、設計の生産性を向上させるよう努めている。新しいホットキーやツールバーコマンド、また、タスクを実行する手順を減らす機能などを追加することで、効率性の向上を支援している。E3.series 2025では、嵌合コネクタに差し込まれたコネクタ全体を入れ替える機能が追加された。ユーザーが現在のペアと比較してピン数が少ない、同じ、または多いコネクタに切り替える場合、両方のコネクタが変更される。以前のバージョンでは、コネクタを変更する前に、コネクタを抜き取ったり、削除したりする必要が生じることがあったが、これは、設計時間の延長、情報の損失、設計エラーにつながることがあった。新しい合理化された嵌合ペアの変更アプローチにより、これらの潜在的なリスクが排除される。
多くの場合、設計中の表示との比較を行うには、印刷用の異なる表示オプションが使用される。また、図面を簡単に閲覧できるように詳細を減らして印刷したり、外部の関係者と共有するために機密情報を削除する必要がある場合もある。E3.series 2025では、PDFやSVGの印刷やエクスポート用のレベル構成ファイル(.vis)を定義する新しい設定が利用可能になった。この新しい設定により、レベル構成を切り替える必要がなくなり、印刷プロセスが簡素化され、より迅速かつ容易になる。
新しい自動化機能
複雑な制御盤や配電盤を設計する場合、製品を複数のシートに分割して使用するのが一般的であるが、シート領域が正しく定義されていない場合はコンポーネントを配置する際に衝突の問題が発生する。E3.series 2025では、新しいパネルシートの領域が、次に利用可能な空き領域に自動的に割り当てられるようになり、新しいパネルシートにこの領域を手動で定義する手間が省かれ、下流での重複問題を防止できるようになった。
E3.series 2023では、円グラフィックをベースにドリル穴を定義する機能が導入されたが、今回のE3.series 2025ではこの機能が拡張され、既存のポリゴングラフィックをベースにしたその他の輪郭オプション、制限領域、切り取りが含まれるようになった。グラフィックは、多くの場合、図面ファイルからインポートしたり、STEPインポートからモデルを作成する際に利用できる。インポートされたグラフィックを使用して輪郭の追加を自動化することで、コンポーネントモデルを正確に作成するプロセスがさらに向上する。