Siemens Digital Industries Software社がCADソフトウェア「Solid Edge 2025」と「Solid Edge X」を発表
2024年11月 6日
Siemens Digital Industries Software社 2024年10月23日
Siemens Digital Industries Software社は2024年10月23日、製品開発ソフトウェアに新たな機能をもたらすソフトウェア「Solid Edge 2025」のリリースを発表した。今回の最新リリースでは、クラウド対応のセキュアなSaaS環境でSolid Edgeを提供し、ユーザーのよりスマートな作業を支援する新しいAI対応ツールで強化されたSolid Edge Xも発表された。
Siemens Digital Industries Software社のシニアバイスプレジデントであるJohn Miller氏は、「Solid Edge Xのリリースは、業界をリードするソフトウェアをサービスとしてお客様に提供するというSiemensの戦略目標を実現するものです。このリリースでは、オープンでアクセスしやすく、お客様が求める拡張性のあるツールセットを提供します。Solid Edgeは、クラウド本来の共同作業機能を最先端のAIベースのツールと組み合わせた画期的なテクノロジーを提供し、今日の製造業界が求めるスピードでお客様によるイノベーションの実現を可能にします」と語る。
Solid Edge 2025には、モデリング速度の向上、板金設計のためのエッチングと曲げ機能の改善、モデルベース定義(MBD)作成の簡素化など、さまざまな機能強化が含まれている。
Ariel Corporationの設計製図担当者であるMichael Orr氏は、次のように述べている。「Solid Edge 2025は非常に直感的に使用できます。ワークフローが簡素化され洗練されたため、少ないキー入力で設計できるようになり、生産性が向上したと同時に、さらに時間を節約できています。Solid Edge 2025は私の期待を完全に上回るものでした」。
Solid Edge Xの紹介
Solid Edge Xは、Solid EdgeのパワーをセキュアなSaaS環境で提供し、その使いやすい機能を柔軟かつアクセスしやすい環境で提供するもので、自動アップデートとあらゆるデバイスからのセキュアなアクセスによりITの複雑性とコストを削減する。また、業界をリードするSiemensのソフトウェア「Teamcenter」とインフラストラクチャに基づくクラウドベースのビルトインデータ管理により、必要なときにいつでも、どこでも、エンジニアリングと製造の分野を越えてコラボレーションが実現する。
Solid Edge Xに搭載の新しい人工知能(AI)機能は、リアルタイムの支援を提供し、エンジニアリングのワークフローの混乱を最小限に抑える。来年提供開始予定のこの新機能は、アプリケーション内で製品ヘルプを提供し、エンジニアや設計者が作業に集中しながら必要なヘルプを見つけられるようにすることで混乱を最小限に抑え、問題の解決に役立つヘルプを即座に提供する。
モデルベース定義(MBD)作成の迅速化と簡素化:Solid Edge 2025の新しいハイブリッドアノテーション機能により、MBDをサポートする効率的なオールインワンワークフローで寸法やフィーチャコントロールフレームを設計に挿入できるようになった。また、3Dモデルを迅速かつ正確に詳細化するツールも提供されている。さらに、新しいフィーチャコントロールフレームの導入およびサーフェステクスチャシンボルのアップデートにより、ユーザーは絶えず変化する規格に準拠できるようになったほか、自動寸法設定によって一貫性を維持し、エラーを最小限に抑えられるようになった。
適応性とカスタマイズ:新しいカスタマイズオプションにより、ユーザーはSolid Edgeの操作環境をカスタマイズして、パーソナライズされた設計環境を容易に得ることができるようになった。また、垂直コマンドバーの再設計やコンテキストツールバーなどの機能の強化により、ワークフローが効率化され、より柔軟に操作できるようになっている。
新しいディスカバリーセンターは、ユーザーが幅広いリソース、学習教材、無料トライアルにアクセスできる集中ハブを提供するもので、間断なくスムーズな体験が得られるよう製品から直接アクセスできるようになっている。
板金設計機能の向上:業界をリードするSolid Edgeの板金機能は、継続的な改善によってワークフローが効率化され、精度が向上している。Solid Edge 2025向けのアップデートには複雑な形状のサポートが含まれており、曲げ計算が改善されて正確な板金部品を簡単に作成できるようになった。曲げ控除と曲げ許容差により、製造と工具に関連する材料の状態が制御可能になっている。また、新しいエッチング機能では、曲げと曲線に対応して、関連するすべての面にエッチングを自動的に配置する。さらに、曲げサポートも強化され、詳細な特性と計算方法が表示されるようになった。
いつでも、どこでも、接続・コラボレーション・共有を実現
Solid Edgeには、Siemens Xcelerator as a Serviceの一部として提供されるSiemensのコラボレーションサービス「Teamcenter Share」アプリケーションとの統合をサポートするツールが含まれている。Teamcenter Shareを使用すると、Solid Edge内でアセンブリのコラボレーションやタスクの追跡をスムーズに行うことができ、必要に応じてプロジェクトの作成、編集、削除も行うことができる。このサービスを使用してデータを共有することもでき、現在では最大500Gbまでのデータセットがサポートされている。
デジタルトランスフォーメーションの推進を目指す企業にとって、最新のSolid Edgeのアップデートは、シーメンスのTeamcenterソフトウェアとの統合による製品ライフサイクル管理(PLM)の運用を効率化するもでもある。管理データのダウンロード速度が向上し、50%速く開くことができるようになったため、ユーザーは複雑なデータセットでもより迅速に作業を開始できる。
また、今回のアップデートでは、TeamcenterのIntegrated Material Management(統合材料管理)機能を使用して材料を定義および管理する機能も強化された。これにより、管理対象の材料を定義し、正確性、一貫性、追跡可能性、セキュリティのために重要なデータを管理できるようになった。その結果、材料の使用が最適化され、無駄が削減され、環境にやさしい正しい材料の選択を通じて持続可能性目標を達成できるようになる。
クラウドベースのCapital Xと電気回路図の統合
Solid Edge 2025は、シーメンスの新しいクラウドネイティブな電気設計ソフトウェアであるCapital Electra Xと統合されており、設計者やエンジニアは電気回路図を迅速かつ効率的に作成できる。あらゆるデバイスで利用できるCapital Electra Xは、電気設計機能を強化する直感的で使いやすいプラットフォームを提供し、ワークフローを改善し、間接費を削減する。
簡素化されたスマートな加工:Solid Edge CAM Proソフトウェアには、最適な操作を自動的に推奨する新しいスマートアシスト機能が実装され、部品のプログラミングと加工性能の強化、ツールパス作成の効率化、プログラミングプロセスの簡素化が実現した。また、高度なクイック荒加工とジグザグ加工機能により、オフセット荒加工とフェースミル加工が簡素化されている。さらに、自動穴加工によってスロット、ステップ、穴などのプリズムフィーチャが容易に選択できるようになっている。
高速メッシュ生成、流体と熱の高度なシミュレーション
Solid EdgeとSimcenter FLOEFDとの統合が改善されて、複雑なCADモデルを直接インポートして解析できるようになり、シミュレーションのセットアップにかかる時間が短縮された。また、流体流れと熱伝導解析が簡素化され、さまざまな条件下での製品性能を簡単に評価できるようになった。さらに、収束、ファセット、STL形状のメッシュ生成が高速化されたほか、新しいテンプレートとツールにより、複雑なシミュレーションのセットアップがより簡単かつ効率的に行えるようになった。
NXとの相互運用性とIFCファイルのサポートにより設計プロジェクトを最適化
Solid EdgeとNX間に相互運用性が確保され、エンジニアはデータを再利用し、ニーズに最適なソフトウェアを使用してのシームレスな作業が可能となった。これにより、断面図、高度なPMI、運動データなどをSolid EdgeとNX間で簡単に転送できるようになる。また、新しい機能強化が行われて、建設および建築業界の標準であるIFC(International Foundation Class)ファイル形式のインポートとエクスポートがサポートされるようになっており、データ変換せずに建設プロジェクトに関する情報を保存および交換できるようになった。