Bluebeam社が建築に関するグローバル調査報告書「AEC Technology Outlook 2026」レポートを発行

2025年11月 5日

Bluebeam社 2025年10月28日

Nemetschek Group傘下の建築・エンジニアリング・建設(AEC)プロフェッショナル向けソリューションおよびサービス企業であるBluebeam社は2025年10月28日、1,000名以上のAEC専門家を対象に実施したグローバル調査の報告書である「2026 Building the Future:Bluebeam AEC Technology Outlook」(未来を築く:AECテクノロジーの見通し2026年版)レポートを発表した。今年のレポートでは次の内容が明らかになった。

  • AIの導入は依然として限定的:自動化、問題解決、意思決定のためにAIを使用しているAEC企業は27%にとどまり、リスク、コスト、統合の課題が挙げられている。
  • 早期導入企業は高い投資利益率を達成:68%が5万ドル以上のコスト削減を実現し、半数近く(46%)がAIツールを使用して500~1,000時間に及ぶ時間短縮を達成している。
  • AIの成長が加速:現在AIを使用しているAEC企業の94%は、今後1年間でAIの投資と利用をさらに拡大し、パイロットテストからワークフローへの統合に移行する予定としている。

AEC分野におけるAI統合の障壁

投資利益率の実績が示されているにもかかわらず、データガバナンスとコンプライアンス体制の強化の必要性を強調する課題が続いているため、企業は慎重な姿勢を崩していない。この課題を以下に示す。

  • コストおよび複雑さ(33%)と並んでデータ共有のセキュリティ(42%)が統合の最大の課題となっていると回答者は報告している。
  • また69%が、AIに関する潜在的な規制への懸念がAIへの取り組みに影響を与えていると回答している。

AECの労働力を再構築するAIとデジタルツール

レポートではまた、テクノロジーがAECにおける労働力戦略の重要な一部となりつつあることが強調されている。テクノロジーは生産性を向上させるだけでなく、重要な労働力のギャップを埋め、採用や人材定着において競争優位性をもたらすツールであるとみなされるようになってきている。

  • 回答者の56%が、AIは熟練労働者の不足を補うのに役立つと答えている。
  • 半数近く(44%)が、企業文化や報酬と並んで、優秀な人材を惹きつけ、維持するための鍵として高度なデジタルツールを挙げている。

しかし、スキルの格差は依然として大きな障壁となっており、企業の1/5近く(19%)がデジタルスキルの不足を、1/4近く(23%)が急速に変化するテクノロジーへの対応の難しさを最大の課題として挙げている。こうした懸念があるにもかかわらず、調査対象となった企業の65%は、技術予算の10%未満しかトレーニングに投資していない。

Bluebeam社最高経営責任者(CEO)のUsman Shuja氏は次のように述べている。「建設業におけるAIはまだ新興の技術ですが、早期導入企業の勢いは急加速しており、コスト、時間、コラボレーションにおいて目に見える利益をもたらしています。今問われているのは、AIが機能するかどうかではなく、AIをいかに効果的に統合するかです。当社のお客様は、AIが自社の業務にフィットすることで成功を収めています。当社の調査では、早期導入企業の95%が建築物のライフサイクル全体でAIを頻繁に使用しており、半数近くがスケジュール、プランニング、文書分析などの重要な作業で500~1,000時間を削減しています。AIが誇大広告でなくなり、現実の問題を解決し始めたとき、私たちは真のインパクトを目の当たりにするのです」。

導入にばらつきがある中での技術投資の加速

同レポートは、AIだけでなく移行期にある業界の全体像をも示しており、以下のようにデジタルトランスフォーメーションの進捗にばらつきがあることが浮き彫りになっている。

  • 84%の企業が、2026年に全体的な技術投資を増加させることを計画している。
  • AECリーダーの67%は、デジタルツールがすでに生産性を向上させていると回答している。
  • 完全にデジタル化されているのは11%のみで、大半は主要なワークフローを紙とレガシーツールに依存している。
  • 設計段階では52%、計画段階では49%がまだ紙を使用しており、43%がまだ物理的な署名と承認に頼っている。

さらに、ワークフローの可視化は依然として大きな課題となっている。特に、チームが設計、建設、運営の間でサイロ化されている場合、プロジェクトのライフサイクル全体にわたってコラボレーションを管理することは困難であると、40%近くの企業が報告している。

これについて、Shuja氏は次のように述べている。「2026年におけるAECテクノロジー導入の最大の障壁はコストではなく、複雑さ、文化、そしてつながりです。成功には、ツールだけでなく、トレーニングや、チーム、プロジェクトフェーズ、ワークフローを点と点でつなぐ統合アプローチが必要です。この新時代を勝ち抜くには、私がデュアル・アスリートと呼ぶ、建設に関する専門知識とデジタルを使いこなし、競争優位性を生み出すチームが必要となります。建設業者と技術者が一体となって働けば、ツール、チーム、データの垣根が取り払われます。そのときこそ、デジタルコラボレーションがシームレスになり、変革をもたらすのです」。

「Building the Future:Bluebeam AEC Technology Outlook 2026」(未来を築く:AECテクノロジーの見通し2026年版)レポートは、AIの採用、デジタル成熟度、テクノロジーがプロジェクトや労働力のパフォーマンスに与える影響について、北米、ヨーロッパ、オーストラリアの地域別傾向を含め、詳細な洞察を提供している。レポートの全文は、以下からダウンロードできる。

AEC Technology Outlook 2026: How AEC Firms Are Building Smarter

本調査について

本調査は、2025年7月、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアの建築・エンジニアリング・建設会社の技術意思決定者(マネージャー以上)1,000人以上を対象にオンライン調査を実施した。

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