NCG CAM Solutions社がCAMソフトウェア「NCG CAM v20.0」をリリース
2025年11月10日
NCG CAM Solutions社 2025年10月30日
NCG CAM Solutions社は2025年10月29日、同社製CAMソフトウェアの最新版となる「NCG CAM v20.0」をリリースした。今回のアップデートでは、ペンシルパスの改善、3軸加工における特殊形状工具のサポート、新しいAPI、5軸デバリング機能、2軸旋盤加工の機能追加などが導入されている。
その他の新機能としては、シャフトプロファイルデータのカーブ抽出、ライン測定機能、凸型先端工具による加工機能などがある。
さらに、簡易リード、プリズムストックモデル、穴あけガウジ保護、穴あけフルート長、穴あけ形状定義、ラスターパスのスムージング、エリアクリアランスパス、編集パスのリンク、ならびにドリル、タップ、リーマの形状や形態のより良い定義を利用したウォーターラインオフセットツールパスの大幅な向上が実施されている。
NCG CAM v20.0のデモバージョンは、ncgcam.com/demo-downloadからダウンロードできる。
コーナーやサーフェスの交差をきれいにするために使用される重要な仕上げツールパスであるペンシルパスが改良された。ペンシルパスは、以下のような仕上げ加工にも使用される。
- 削り残し仕上げ
- パラレルペンシルパス
- コーナーオフセットパス
ペンシルパスのアップデートには、計算時間、品質、精度を向上させるために大規模な作業が実施された。アップデートされたペンシルパスには以下のような特長がある。
- 計算時間の短縮
- 隙間や途切れのない、より滑らかで高品質なツールパス
- サーフェス仕上げの向上(特に3D輪郭の金型面)
- より一貫した理論的な削り残り境界
- コーナーレスト仕上げの向上
- 研磨の低減により時間が短縮
内径旋削加工が追加された。穴あけ加工をベースに、荒加工、削り残り加工、仕上げ加工が追加され、内面溝加工も加わった。
- 削り残し荒加工:荒旋削加工が完了した後、削り残し荒加工で残りの材料を識別して、適切な工具で加工する。
- ストックモデル:回転ストックモデルは、外径と内径の両方を設定することができ、チューブや穴あけ済みストックを使用する旋削加工をより正確に表せるようになる。これにより、定義されたストックを出発点として、内径旋削加工を正確に行えるようになる。
- 新しい旋削メニュー:新しいメニューアイコンと右クリックメニューが追加され、外径旋削と内径旋削を区別できるようになった。
3軸曲線加工で特殊形状工具を使用した加工が可能になった。対象となる工具には、アンダーカット形状を作成するためのロリポップ、Tスロット、アリ溝タイプなどが含まれる。
ウォーターラインオフセットが簡易リード用に強化され、ウォーターラインオフセットツールパスに、ウォーターラインツールパスからの簡易リードの使用が追加された。これにより、リードインのスパイラル移動が最小化され、より効率的なツールパスの作成、不要なスパイラル進入移動の削除、時間短縮が実現する。
オフセットアキシャルとマルチパスのアロングカーブ加工の機能も強化された。従来は1つのパスを作成し、別の軸オフセットコマンドを使用して細かくステップダウンを行っていたが、このオプションが新しいAlong Curve Machiningに含まれたことで、これを簡単に行えるようになった。
この新しいオプションにはマルチパスも含まれており、最終的なサイズに達するまで側面から材料を少量ずつ除去することができる。
5軸デバリングは、5軸アドオンモジュールで利用可能になった新機能であり、今後、有償オプションとして3軸モジュールでも利用可能になる予定である。デバリングでは、鋭利なエッジを除去して小さなRを付ける。
ライン測定が可能になった。新しいアイコンオプションにより、「クリックした2点間」を正確に測定し、結果をダイアログに表示することで視認性が向上し、より明確になった。
バージョン20ではプリズムストックモデルの作成方法が変更され、正確でシャープなエッジを作成するための三角形の数が少なくなった。これにより、データベースのサイズが小さくなり、回転移動のグラフィックへのアクセスがより速くなった。
また、バージョン20では、ドリルのガウジ保護機能が強化され、ガウジ保護のためにドリルの個々の要素を区別できるようになった。以前のバージョンでは、工具全体またはホルダーのみを選択していたが、バージョン20では、シャンク、フルート、ホルダーの個別保護が追加されている。
ドリル定義のフルート長さがユーザー定義可能になり、使用可能な穴あけ深さをの制御が向上した。ドリル、タップ、リーマ形状の定義が改善され、ドリル加工ツールパスを作成する際に、より正確なガウジング保護が可能になった。
また、バージョン20では、ラスターパスのスムージングが導入され、コーナーの丸みやフィレットが追加され、連続的な工具の動作がよりスムーズになった。
アプリケーションプログラミングインターフェース(API)が利用可能になり、開発者はC、C#、C++プログラミングやNCG CAMマクロコマンドを使用してカスタムアプリケーションを作成し、自動化による生産性向上を実現できるようになった。
新機能により、シャフトプロファイルデータのカーブ抽出が可能になった。どの加工でもシャフトプロファイルデータを生成した後、プロファイルのエッジカーブを抽出して回転サーフェスを作成することができる。
特定の切削加工用に、凸型先端工具または高送り荒加工工具のオプションが追加された。これらのオプションは、適応クリアランス荒加工と5軸加工で使用できる。これらの工具は他のカッターと同様に定義され、「Advanced」選択ボックスの下に追加パラメータがある。
エリアクリアランスのZスライスパスで、パスの条件が『境界上』から『サーフェス上』に変更された際に、ショートカット(コーナーの切り捨て)を行う可能性があった点が改善された。以前は余分なストックが残ってしまうケースがあったが、これらの変更によってパスの品質が向上し、加工条件が改善され、工具の不必要な摩耗が低減される。
編集されたエリアクリアランスとウォーターラインパス用に、リンクする動きが後退しない形で作成されるように改善された。これにより、リードアークをフィットさせることができない場合でも、スプラインカーブをフィットさせることで動きがよりスムーズになり、連続的に流れるようなツールパスを作成できるようになった。