ODYSSEE

ODYSSEEは、機械学習(ML)や人工知能(AI)、次元低減モデル(ROM:Reduced Order Model)、および最適化手法を設計・解析ワークフローへ統合可能にする、高度なエンジニアリング支援プラットフォームです。CAEモデルの精度を維持しつつ計算時間を大幅に短縮し、製品設計の迅速化と開発コストの最適化を実現します。

ODYSSEE主要モジュール

ODYSSEEは、目的別に3種類のモジュールを提供しています。

ODYSSEE CAECAE解析や実験データからROM(縮約モデル)を作成し、高速予測を実現
ODYSSEE A-Eye画像・3D形状データを直接入力に用いたROM構築・予測が可能な画像系AIモジュール
ODYSSEE Exploreデータ可視化・統計解析(PCA、クラスタリングなど)による前処理・分析用ツール

ODYSSEE CAE

ODYSSEE CAEは、時間のかかっていた解析や計測をROMに置き換えることで、短時間で結果を予測します。CAEモデルに限らず実験や測定による実データからでも予測を行えます。

ODYSSEEに付属する各種パーサーツールを使えば、必要なデータを簡単に整形・準備することができ、スムーズにモデルを構築できます。

加えて、MSC Nastran、Marc、MSC Dytran、LS-DYNA、Animator、EnSightといった主要CAEソフトウェアの解析結果を活用することで、新しいパラメーターに基づいた応答のアニメーション推定も行えます。

ODYSSEE A-Eye

ODYSSEE A-Eyeは、数値データに加えて画像や3Dデータファイルを直接入力変数として扱えるROM作成ツールです。これにより、数値だけでなく視覚的・形状的情報を含むデータからの予測が可能となります。

あらかじめ必要な入力項目を定義したカスタマイゼーション(テンプレート)を作成することで、機械学習の専門知識がないユーザーでも、簡単な操作でROMの構築と予測が行えます。直感的な操作環境により、入力データに対する結果予測をスムーズに実行できます。

ODYSSEE Explore

ODYSSEE Exploreは、線グラフ、散布図、ヒートマップなどの多彩な可視化機能とともに、主成分分析(PCA)やクラスタリングといった統計解析手法を備えたインタラクティブなデータ分析ツールです。

これらの機能を活用することで、データの傾向や相関関係を視覚的に把握しやすくなります。

活用事例

Marc Mentatを用いたDOE作成とODYSSEEによるアニメーション生成

Marc Mentatで作成したDOE(実験計画法)を活用し、ODYSSEE CAEを用いて効率的に結果推定とアニメーション作成を実現した事例をご紹介します。

  1. DOEの作成と学習用データ生成:Marc Mentatでポイント荷重のパラメーターを変化させたDOEを作成し、その解析結果を学習用データとして取得。
  2. ROMの構築と活用:ODYSSEE CAEでDOE結果を基にROM(応答曲面モデル)を作成。これにより、Marc Mentatで再度計算を行うことなく、新たなパラメーターセットに対する解析結果の推定とアニメーションの生成が可能に。
  • 入力:ポイント荷重
  • 出力:特定位置のZ方向変位

画像をインプットとした結果推定

本事例では、薄膜にボールを落下させた際に発生する反力を数値パラメーターではなく、断面形状の画像を入力として推定しました。ODYSSEE A-Eyeを使用することで、従来の数値入力に代わり、断面形状から反力を求めることができます。

  • 入力:断面画像
  • 出力:反力

数値化が難しい形状情報もA-Eyeを使えば解析入力データとして活用できるようになります。従来のCAE手法では対応が難しかった自由形状や複雑な構造に対しても画像ベースの解析が可能となります。