官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン

「官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)」とは、官庁営繕事業の設計・施工・維持管理業務において、受発注者間での円滑なBIM活用を目的としたガイドラインです。

官庁営繕、つまり官庁施設の新築や修繕業務が対象ですが、受発注者間でBIM活用に関する取り決めを行う際の基本的な流れを理解できます。

また、設計・施工段階におけるBIM活用例が紹介されており、BIMの導入を検討している場合の参考資料としても有益です。

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk6_000094.html)

設計・施工段階におけるBIM活用

設計および施工において、BIMの活用用途は多岐にわたります。そのため、発注者が求めるBIM活用の項目をEIR(注1)で提示します。2023年4月以降、原則として全ての新営設計業務および新営工事がEIRの適用対象となっています。

BIM活用の項目は次の二つに分けられます。

  1. 指定項目:実施が必須のもの
  2. 推奨項目:必須ではないが、受注者の判断により実施するもの

受注者は、BIM活用を実施する項目をBEP(注1)で提示します。

BIM活用の項目は次の三つに分けられます。

  1. 指定項目
  2. 推奨項目のうち、受注者が実施するもの
  3. 1・2以外で、受注者が主体的に実施するもの

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設計段階におけるBIM活用例

設計段階においては、設計内容の確認や検証、説明などにBIMを活用することが想定されます。

なお新営設計業務の場合、原則として次の項目が指定・推奨項目に設定されます。

 延べ面積 3,000m2以上延べ面積 3,000m2未満
1.建築物の外観および内観(一部)の提示

指定

推奨
2.実施設計図書(一般図等)の作成

指定

推奨
3.設計条件等と設計図書の整合性の確認推奨推奨
4.基本設計段階における設備計画の検討推奨推奨
5.概算工事費の算出推奨推奨
6.基本設計図書(一部)の作成推奨推奨
7.実施設計図書(詳細図等)の作成推奨推奨

項目2が指定項目となった場合、原則としてBIMデータ(オリジナル形式およびIFC形式)とその説明資料(PDF形式)が電子納品の対象となります。

設計条件等と設計図書の整合性の確認

主に基本設計段階において、設計条件と設計図書の整合性の確認に利用できます。

  • 各室等の設計条件の確認や色分け図の作成
  • 法規チェック(高さ制限、日影規制など)
  • 防火区画などの確認

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

  • * 建築基準法集団規定解析(天空率・斜線・逆日影・日影計算)の製品については、次のページをご確認ください。
    ADS Family 製品情報

シミュレーション

主に基本設計段階において、敷地周辺や建築物内部における環境シミュレーションに利用できます。

  • 敷地周辺への風環境・光害などのシミュレーション
  • 建築物内部の自然採光による光環境シミュレーション
  • 建築物内部における温熱環境のシミュレーション

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

プレゼンテーション

発注者への説明や合意形成のため、建築物の外観や内観の確認に利用できます。

  • 建築物の外観や内観の検討
  • 建築物の完成イメージ図の作成

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

干渉チェック

総合、構造、設備の各分野のBIMモデルを統合し、建物部材の干渉チェックや部材間のクリアランス(注1)、施工・維持管理スペースの確保の検討など、納まりの検証に利用できます。

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

  • (注1)クリアランスとは、施工・維持管理上必要となる部材同士の隙間のこと。

数量算出

室面積や仕上げ面積、資機材の個数・重量などの数量を算出し、概算工事費の算出に利用できます。

  • * 積算の製品については、次のページをご確認ください。
    HELIOS 製品情報

設計図書の作成

基本設計図書や実施設計図書の作成に利用できます。

なお、設計図書作成基準(注1)に則った表記方法での図面作成が困難な場合は、発注者と協議のうえ、異なる表記方法の採用を検討します。

  • (注1)図面表記については、官庁営繕の技術基準「建築工事設計図書作成基準」および「建築設備工事設計図書作成基準」をご確認ください。
    官庁営繕の技術基準

施工段階におけるBIM活用例

施工段階においては、施工計画の検討や説明などにBIMを活用することが想定されます。施工段階で活用するBIMデータは、新たに作成するほか、設計BIMデータの貸与を受けて施工BIM用に加工する場合があります。

また、原則として次の項目が推奨項目に設定されます。

 設計BIMデータを貸与する場合設計BIMデータを貸与しない場合
1.施工計画等の検討推奨推奨
2.施工図の作成推奨推奨
3.干渉チェック推奨推奨
4.完成図の作成推奨
5.「建築物等の利用に関する説明書」
に用いる図の作成
推奨

施工計画の検討

仮設計画の検討やデジタルモックアップの作成に利用できます。

  • 総合仮設計画の検討
  • コンクリート打設計画の検討
  • 配筋の納まりの確認、施工手順の検討
  • 内外装やサインの仕上がりの検討
  • スイッチ類の位置調整

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

  • * 仮設足場計画・コンクリート打設計画の製品については、次のページをご確認ください。
    MFTools 製品情報
  • * クレーン施工計画の製品については、次のページをご確認ください。
    K-D2 PLANNER 製品情報

施工図の作成

躯体図の作成や詳細の納まり(タイルの割付、建具枠の納まり、型枠の割付など)の検討に利用できます。

干渉チェック

各分野のBIMモデルを統合し、建物部材の干渉チェックや部材間のクリアランス、施工・維持管理スペースの確保の検討など、納まりの検証に利用できます。

なお、設計段階と施工段階では干渉チェックの目的が少し異なります。設計段階では具体的な製造所などが確定していないため、部材が納まる見込みであることを確認します。

施工段階では、確定した部材の外形寸法などをBIMモデルに反映させ、干渉が発生しないことを確認したうえで施工を行います。

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

維持管理段階におけるBIM活用

維持管理段階においては、施設管理者に引き渡す完成図面や説明資料の作成などにBIMを活用することが想定されます。

維持管理段階で活用するBIMデータは、設計BIMデータや施工BIMデータを基に、施設の維持管理に必要な情報(施工段階で確定した各製品の製造所名や製品番号など)を入力して作成します。

出典:官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン(令和6年3月改定)
(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)

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