ロシアは石油、天然ガス、アルミニウム、銅、パラジウム、ニッケルなどの原材料の主要産出国。ウクライナはネオンガスや鉄鉱石の主要供給国であるほか、製造業においては欧州自動車メーカー向けにワイヤハーネスなどを輸出しています。日本にとっての影響に関しては、特にロシアで産出されるアルミニウムに対して懸念が高いといわれています。
世界全体で見ますと、半導体製造に欠かせない原料の希少金属「パラジウム」や希ガスの一つである「ネオン」はロシアやウクライナに依存している割合が高く、全世界の半導体製造に影響が表れてくることが懸念されています。今すぐにというわけでなく、原料の今ある在庫として、数カ月分程度の余力はあるといわれていますが、この戦争が長引けば供給量の低下が起こり、価格が高騰していくことが予想されています。供給量の低下で心配されているのが、DRAMやフラッシュメモリーといった製品になります。また現在、半導体のほか、リチウムイオン電池や触媒を必要とする製品にも影響が出ることが不安視されています。
さらに心配されるのはサプライチェーンになります。ウクライナ侵攻の影響はヨーロッパだけでなく、ヨーロッパからアジア諸国を行き来する物流が既に滞り始めています。ヨーロッパ各国の飛行機はロシア上空通過ができなくなったほか、新型コロナウイルス感染症のまん延により物流を担う人材不足、世界的な原油高も重なり、物の移動に混乱が生じています。