今、企業に求められる環境対策

災害級の猛暑の中で叫ばれる節電対策

関東甲信では過去最短となる梅雨の期間が21日間となるなど、日本各地で梅雨期間の最短記録を更新しました。そして、梅雨明けと同時に日本列島が太平洋高気圧の上にチベット高気圧が重なった「2階建て」状態が断続的に発生し、一気に災害級の猛暑に襲われました。高気圧が重なることで暖かい空気が圧縮されるため、広い範囲で高温になるといいます。

そうした中、日本政府は記録的な猛暑日が続き、熱中症対策としてエアコンの使用を促す一方、節電をお願いする呼びかけを行っています。さらに政府は、節電に協力した家庭を対象に2,000円相当の節電ポイントを付与する考えを示すなど、積極的な節電を求めています。

厳しい暑さが予想された6月26日、日本政府は初めて「電力需給逼迫(ひっぱく)注意報」を発令。東京電力管内の電力需給において、電力供給の余裕を示す「予備率」が5%を下回る見通しとなることから節電を呼びかけました。

日本における発電状況に関しては、原子力発電の停止をはじめ、火力発電の老朽化や環境保全の観点などから稼働休止している施設が増えています。火力発電は液化天然ガス(LNG)や石炭、石油などを燃やして発電するため、発電量の調整がしやすいという特長があります。しかし、稼働率が低下しても設備の保守・メンテナンス費用はフル稼働時と同様にかかり、また原材料の高騰なども重なって採算が悪化したため、稼働休止せざるを得なくなりました。そのため、電力が足りなくなりそうな状況になっても発電量を増やすといった調整ができないという背景があるのです。

日本は原子力や火力発電から再生可能エネルギーに置き換える施策を進めており、日本の再生可能エネルギー電力比率は2019年度で18%となっています。今後も日本は電力システム全体での安全供給を確保しながら、再生可能エネルギー導入の拡大を推進していくといいます。

執筆:渡部 貢生

企業ができる環境対策とは

企業における環境対策として、太陽光発電設備の導入や社用車として電気自動車・ハイブリッドカーの導入のほか、消費電力量や二酸化炭素排出量が少ないといった環境性能を意識したオフィス機器の導入など、さまざまな取り組みが実施されています。また、マングローブは二酸化炭素吸収量が高く、さまざまな生物の生息域となることが期待できることから、某複合機メーカーでは、東南アジアに販売台数に応じてマングローブの植林活動を行っています。さまざまな企業がさまざまなかたちでSDGs(持続可能な開発目標)貢献に取り組んでいます。

環境に配慮したHPワークステーション

HPが開発したワークステーションは環境に配慮した製品です。HPのデスクトップワークステーションやモバイルワークステーションは「グリーン購入法」に基づいた開発を行っています。グリーン購入法とは、国などの公的機関が率先して環境物品(環境負荷低減に資する製品・サービス)などの調達を推進するとともに、環境物品などに関する適切な情報提供を促進することにより、需要の転換を図り、持続的発展が可能な社会の構築を推進することを目指すものです。

また省電力においては、製品の消費電力などについてアメリカ・EPA(環境保護庁)により基準が設定されているオフィス機器の国際的省エネルギー制度「国際エネルギースタープログラム」の基準を満たしています。

そのほか、製品ライフサイクルの終了後にリサイクル可能な部品の使用やマニュアルの電子化による紙資源の節約、古紙を再生利用したダンボールを包装材として使用、容器包装廃棄物の再商品化なども行っています。2000年5月15日には製造工程を持つ全世界の工場を対象に環境マネジメントシステムに関する国際規格「ISO14001」認証も取得するなど、環境への配慮を重要視した製品展開をしています。

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設備投資で環境対策を推進する

設備投資をするうえで、HPのような環境に配慮した製品を導入することがサステナビリティ、SDGs貢献につながる取り組みになります。環境対策は会社の社会貢献の活動としてアピールすることから、企業が取り組むべき必須事項へと変わっていく可能性があります。その準備として、できることから環境対策を始めてみませんか。環境への配慮は今後の企業活動にとって必要不可欠なものになります。地球温暖化を防ぎ、森や海・野生動物を守り、次の子どもたちのため持続可能な社会を作ることにつながります。

執筆:渡部 貢生

ビジネス・経済、不動産、IT、医療行政をはじめ、飲食、旅行など幅広いジャンルで執筆、編集者として活動。タイにおよそ6年間滞在し、タイとASEANのビジネス・経済情報誌で巻頭特集の企画・取材・執筆のほか、雑誌全般の制作に従事。タイに進出している日系企業をはじめ、行政機関、学校関係など、さまざまな有識者へのインタビュー取材を行った。そのほか、不動産や医療行政の専門紙での記者経験を持ち、紙媒体とWeb媒体の両方で活動を行っている。