EDEN導入による積極的な試作を展開し、設計プロセスの効率化実現に伴い製品開発期間の短縮を達成

株式会社KVK

  • 原材料価格の高騰などに伴う製造コストの上昇に対し、製品開発全体を見直してコスト削減に力を注ぐ必要がありました。
  • 開発期間短縮と試作費削減を命題に、社内3次元化の推進と早期立ち上げなどを検討した結果、ユーティリティ性に優れたEDENの導入が決定しました。
  • EDEN260の導入により、設計効率アップ、心的負担の軽減など、製品開発期間短縮に効果を上げています。

図1:メッキ処理前のモデル(写真下)と処理後のモデル(写真上)

図1:メッキ処理前のモデル(写真下)と処理後のモデル(写真上)
提供:株式会社KVK

製品開発の課題

~コスト削減と製品開発期間の短縮を目指して~

株式会社KVKは、ユニットバスやシステムキッチンなどに使われる水栓金具の販売で業界シェア25%を誇るトップメーカーです。営業推進部による製品の企画デザインから生産技術部における鋳造用砂型製作・物流などに至る全ての工程を自社で行っています。国内2カ所に加え中国に2カ所の工場を持ち、技術的に既に確立しているような製品は中国で製造し、新製品や技術レベルの高い製品は国内で開発・製造しています。これまで製品開発期間の短縮を目標に3次元CADを積極的に導入するなど、製品開発コストの削減に力を入れてきました。

しかし部品の主原材料の価格高騰により製造コストが増大し、製品開発全体のコストをさらに削減する必要が出てきました。以前、金型製作のための3次元CAD/CAM導入によって、3次元CADが全社的に浸透し、開発期間短縮に成功した事例があります。こうした過去の成功事例に基づき新たな技術を導入し3次元設計技術をさらに伸ばし、開発期間短縮によるコスト削減を達成する試みが始まりました。

3Dツール導入要件

さまざまな3Dツールが存在する中、導入検討には以下の5点が要件として挙げられました。

  • 試作内製化によるコスト削減
  • 早期立ち上げが可能
  • 透明モデルが造形できて流水状試験が可能
  • 鋳物形状のような中空モデルを簡単に造形がしたい
  • メッキや塗装ができる材料とモデル品質

こうした要件に基づき、RP装置の導入に絞り、さまざまなRP装置のベンチマークを行い十分に検討した結果、EDEN260の導入が 決定されました。導入後、EDEN260で造形されたモデルは、図2のように製品開発フローの至るところで活用されています。

図2:造形モデルの活用方法 EDEN260で造形したモデルは、製品開発の上流から下流までの広い範囲で利用され効果を上げています。

図2:造形モデルの活用方法
EDEN260で造形したモデルは、製品開発の上流から下流までの広い範囲で利用され効果を上げている

開発部での活用事例

設計段階における重要な項目の一つとして、製品の吐水状態の確認が挙げられます。EDEN260で造形したモデルを利用すればこれらの確認・試験を容易に行うことができるため、設計者にとって大きな手助けとなりました。「従来は、外注試作製期間が長く費用もかったため、形状変更しても吐水量吐水状態の確認を容易に行うことができませんでした。EDEN導入後はこれらの確認作業が素早く正確に行えるようになり、形状変更の検討が低コストかつ効率良くできるようになりました。」(開発部)

Alt=282x163src=img/kvk_pic03.jpg  図3:吐水試験をしている様子

図3:吐水試験をしている様子
実部品にEDENで造形したモデルを組込み、吐水試験を行っている。水の出口形状や寸法を少しずつ変更したデータをそれぞれ造形し最適な水の流れが追求できるように

EDEN260の導入効果

EDENの導入効果を見るには、試作費と試作プロセスという2点に着目する必要があります。試作費だけを見れば、1モデルあたりの製造単価は外注した場合と比べると大きく削減できているにもかかわらず、試作費全体のコストはあまり削減できていません。これは試作モデルを作る回数とモデルの用途が大きく変化したためです。導入後、3次元データを用意した翌日にはEDEN260で造形したモデルを確認でき、すぐに試験を行い、その結果を反映させた修正データで新たに造形するというサイクルが発生しています。

一見すると試作コストの大幅に減っていないのは、1回あたりの試作検証にかかる時間が大幅短縮し、および設計段階での試作回数の増加した結果です。この二つの変化こそが、試作プロセスに見るEDEN導入の大きな効果だといえます。試作プロセスが改善すると、連続したモデル検証が可能になり、作業効率は大幅に改善され、設計者やデザイナーの心理的負担が軽減されます。特に、修正に膨大な費用と時間を要する金型設計の現場では、「金型発注前に形状を詰めることができ、金型で失敗することが減った」という効果が生まれています。結果として、製品開発期間の短縮と、それに伴う人件費などのコスト削減が可能となり、製品開発に伴う全体のコスト削減が達成されました。

EDEN260は単なる造型機ではなく、製品開発プロセスを改善する絶好のツールであるといえるでしょう。

まとめ

試作そのものの考え方が大きくかつ急速に変わっていく中、EDEN260を用いた積極的な試作が展開され、製品開発においてより納得のいくデザイン検討やミスの少ない設計開発が実現しました。実用強度・高温に耐えられる樹脂の開発や、さらなる表面仕上がり性の向上などの要望もありますが、EDEN260の導入は従来の製品開発フローへ大きな変化と効果をもたらしています。

株式会社KVK

設立1949年1月25日
所在地岐阜県岐阜市黒野308番地
サイトhttp://www.kvk.co.jp