Vectorworks社がBIMソフトウェアの「Vectorworks 2023」をリリース
2022年 9月20日
Vectorworks社 2022年9月14日
Vectorworks社は2022年9月14日、同社製BIMソフトウェアの最新シリーズとなる「Vectorworks 2023」のリリースを発表した。2023リリースには、「Vectorworks Architect」、「Landmark」、「Spotlight」、「Fundamentals」、「Braceworks」、「ConnectCAD」、「Vision」が含まれ、これらバージョンの英語版が先行して公開された。
Vectorworks社の最高技術責任者であるSteve Johnson氏は次のように述べている。「弊社は時間の重要性と価値を理解しており、Vectorworks 2023ではこの重要なリソースの一部を設計者に還元できるよう注力しました。ユーザーが制限なく設計できるようにするための継続的な取り組みとして、最新リリースでは、手作業の必要性を軽減する重要なツールのアップグレードを実施しました。少ないステップで何でもモデリングできる自由、自動化された操作、ほかのユーザーとのコラボレーション方法の増加により、ユーザーはワークフローを加速し、生産性を最大化できるようになりました。」
Vectorworks 2023製品ラインでは、BIMワークフローの加速、相互運用性、ユーザーエクスペリエンスの強化、景観のためのBIM、エンターテインメントに焦点を当てた品質向上・改善が行われた。
BIM
BIMにおいてデータは不可欠な要素となっている。Vectorworks 2023では、データへのアクセスと管理を容易にし、設計者がデータを活用して、より効率的で正確なモデリングとドキュメント化が行えるようになった。強力なデータレポート機能により、建築物の詳細レポートおよび数量計算の作成プロセスが簡素化された。壁、スラブ、屋根、手すりなどのオブジェクトとその定義要素について、非常に正確なレポートを作成することが可能となっている。データマネージャーの機能が拡張され、あらゆる種類のデータを作成でき、管理の際もより予測しやすく、使用感も向上した。ユーザーは複数のデータセットを検索してフィルタリングし、ほかのデータセットに適用できるようになった。Vectorworks 2023では、データタグの作成とカスタマイズのコントロールも強化された。データタグのオブジェクトの関連付けを直感的に見つけて変更し、必要に応じてインスタンスごとにさまざまな単位を表示させ、ほかにもシートとデザインレイヤーで使用するためのスケールを定義することが可能となった。
プロダクトマーケティングディレクターであるRubina Siddiqui氏は次の様に述べている。「データはBIMだけではなく、あらゆるタイプの情報モデリングにおいて非常に重要です。データにアクセスしやすく管理が容易であれば、設計者が設計に時間を取られることなく、データを活用できるようになります。」
相互運用性
Vectorworksではコラボレーションを優先し、ユーザーがほかの設計者やコンサルタントと協力するための新しい効果的な方法を常に提供し続けている。IFCインポート機能の向上は、Vectorworks 2023がより生産的なコラボレーションを促進するための多くの方法の一つに過ぎない。IFCファイルをインポートする際のパフォーマンスが向上し、より多くのアプリケーションからインポートできるようになった。インポート時にオブジェクトをフィルタリングする新しいオプションや、Vectorworksのファイル構成に合わせた基準ベースのクラスおよびストーリーマッピングにより、より優れたコントロールが可能となった。
Vectorworks 2023では、DWGとDXFファイルの交換に不可欠なインポート・エクスポートの使いやすさも向上した。新たに簡素化されたエクスポートダイアログにより、ファイルにエクスポートされるアイテムやレイヤーをカスタマイズできるようになった。同時に、インポート時にはどのレイヤーとオブジェクトを含めるかを簡単に選択することも可能となった。
ユーザーエクスペリエンス
最新リリースでは、プロセスの自動化と効率化によるパフォーマンスの向上に焦点が当てられている。セクションビューポートの改善により、ドキュメントのワークフローが効率化された。Vectorworks Graphics Moduleを活用することで、計算や処理をバックグラウンドに移すことができ、ビューポートの更新が最大6倍速くなると同時に、ほかの作業を同時に行うことが可能となった。
クラウドプレゼンテーションの改善により、アクティブサブスクリプションおよびサービスセレクトユーザーは、Vectorworks Cloud Servicesでボードやバーチャルツアーを作成し、カスタマイズする自由度が向上した。バーチャルツアーは、Vectorworksのクラウドおよびモバイル3Dビューアーのアップデートに加え、3Dモデル、PDF、画像などさまざまなファイルタイプとの互換性が追加され、デザインを共有してクライアントに印象づけるためのより強固なオプションが追加された。
またRedshiftを制限なく体験することが可能となった。Vectorworks 2023では、MaxonのRedshift Everywhereの優位性を最大限に活用し、使用しているハードウェアの種類に関係なく、全ユーザーがRedshiftレンダリングスタイルを配置し、優れたビジュアライゼーションにさらに多くのレンダリングオプションを提供することが可能となった。
景観のためのBIM
Vectorworksでは、視覚的・組織的な機能の向上、グレーディングプランや地形モデリングの時間を短縮する新しいツールにより、BIMをランドスケープワークフローに導入する新しい方法が提供され続けている。また、VectorworksのGISとジオリファレンスとの統合により、マスタードキュメントからGIS設定を使用して参照ファイルを自動的に配置し、ファイルコラボレーションをより簡単に行うことが可能となった。さらに新しいGIS設定と座標では、座標入力方法を記録して、より正確に地理参照データを組み込むことができるようになった。さらにVectorworks Landmark 2023では、ユーザーはHedgerow Toolを使用して、混合または単一の生垣を簡単に指定し、モデリングすることが可能となった。2Dおよび3Dビューの両方で、生垣をサイトモデルサーフェスにシームレスに適用、線形単位で定量化し、同時に成熟した広がりと高さで図示することが可能となった。
エンターテインメント
エンターテインメントと照明デザイナーが信頼できるツールを提供するための継続的な改善に重点を置き、バージョン2023では、より効率的で成功するワークフローを実現するための重要なアップグレードが行われた。Vectorworks Spotlight 2023では、リギングデザインとプランニングがこれまで以上に簡単になった。ホイストとブライドルオブジェクトの統合が改善され、より一貫性のある管理しやすいドキュメントが作成できるようになり、2本足のブライドル動作も更新され、一貫性が保たれている。また、シンボルベースのトラスクロスオブジェクトのコントロールが向上したことで、設計者のワークフローの大部分が緩和された。
Spotlightユーザーも、最新バージョンでの改善と拡張による恩恵を受けることができる。シェーディングレンダリングモードの更新により、以前直面していた8ライトの制限がなくなり、テクスチャー、ゴボ、ヘイズのレンダリングサポートが強化された。これらの機能により、ユーザーはデザインコンセプトを素早く作成・共有し、より高品質なレンダリングが実現された。また、ライティングデバイスやワークシート機能など、ワークフローでよくある問題にも対応し、シンプルな描画機能とより正確なデザインを実現することで、ユーザーはよりクリエイティブな作業に集中できるようになった。
ローカライズされた言語版のリリースは10月から始まり、2023年の第1四半期に完了する予定としている。Vectorworksサービスセレクトおよびサブスクリプションユーザーは、ローカルマーケットで製品がリリースされ次第、Vectorworks 2023にアップグレードすることが可能となっている。