Inventor Nastranで複合材の解析をしてみよう ~CFRPドローンアームの積層構成を評価~

Autodesk Inventor Nastranを用いて、CFRP製ドローンアームの複合材構造解析を行った事例をご紹介します。複合材解析では、積層順序や繊維配向角度を考慮し、各層に発生する応力や破壊インデックスを評価できます。
Inventor NastranによるCFRP複合材解析
CFRPなどの複合材料は、軽量で高強度な構造を実現できる一方で、繊維方向や積層構成によって剛性・強度が大きく変化します。そのため、複合材部品の設計では、材料の異方性、積層順序、繊維配向角度を考慮した解析が重要です。
Inventor Nastranを活用することで、CFRPの積層構造をモデル上で再現し、破壊リスクの確認や積層構成の最適化に役立てることができます。
- CFRP積層構成の妥当性確認
- 繊維配向角度による強度・剛性の評価
- 各層における破壊インデックスの確認
- 積層順序や板厚の見直し
- 軽量化と強度確保を両立した設計検討
解析対象
図1に示すCFRP製のドローン用アームを対象に解析を実施します。ドローンアームは軽量化が求められる一方で、飛行時の荷重に耐える十分な強度も必要です。

図1:3Dモデル
境界条件の設定
アーム先端に下向き荷重を加え、反対側の端部を拘束します。この条件により、片持ち梁に近い状態でアームに曲げ荷重が発生し、変形や応力、複合材の破壊インデックスを確認できます。

図2:荷重と拘束箇所
異方性材料特性の設定
複合材料は異方性を持つため、材料特性の定義が解析精度に大きく影響します。Inventor Nastranでは、縦弾性係数、横弾性係数、せん断弾性係数などを方向ごとに設定できます。また、引張・圧縮それぞれの破壊応力や、せん断破壊応力などの強度パラメータを定義することで、各層における破壊の発生有無を評価できます。
- 縦弾性係数
- 横弾性係数
- せん断弾性係数
- ポアソン比
- 引張破壊応力
- 圧縮破壊応力
- せん断破壊応力

図3:異方性材料特性の定義画面
積層要素の設定
積層要素用の設定ウインドウを使用することで、層ごとに材料特性、板厚、繊維配向角度などを個別に定義できます。これにより、異なる材料や配向を組み合わせた積層構造をモデル上で再現できます。

図4:積層要素の定義画面
メッシュの設定
積層構造は、シェル要素として定義します。モデル作成時にはソリッド形状の表面を選択し、その表面上にメッシュを作成することで、薄肉構造であるCFRP部品を効率的に解析できます。

図5:メッシュ図
解析結果:複合材の最大破壊インデックス
解析後、COMP MAX PLY FAILURE INDEX(複合材の最大破壊インデックス)を表示します。この結果は、各層で計算された破壊インデックスの中から最も大きい値を示します。
- 破壊インデックスが1.0未満:全ての層で破壊しないと判断
- 破壊インデックスが1.0以上:いずれかの層で破壊が発生する可能性あり

図6:複合材の最大破壊インデックス
最大破壊インデックスが発生する層
COMP MAX FAILURE INDEX PLYは、最大の破壊インデックスがどの層で発生しているかを示します。特定の繊維配向層で破壊インデックスが高い場合、その層の角度、板厚、積層順序を見直すことで、強度改善を検討できます。

図7:複合材の最大破壊インデックス層
Inventor Nastranによる複合材解析の活用メリット
Inventor Nastranは、複合材料の特性を考慮した高度な構造解析に対応したCAEツールです。積層構造ごとに異なる材料特性や異方性材料の確度を定義することで、実際の複合材料の力学挙動を高精度に再現できます。各層の応力や破壊指標を評価できるため、積層構成の最適化や強度検討に活用でき、信頼性の高い製品設計を実現します。
CFRP部品の軽量化、強度評価、積層構成の最適化を検討している方は、Inventor Nastranによる複合材解析をご活用ください。