Autodesk Revit LTの導入検討ポイント

Autodesk Revit ArchitectureとAutodesk Revit LTの違いは?

2012年10月に、建築設計向けのBIMエントリーモデルとして「Autodesk Revit LT」 がリリースされましました。既にリリースされている上位機種のAutodesk Revit Architectureとの比較を兼ねて、Revit LT導入時の検討ポイントをまとめましたので、参考にしてください。

Autodesk Revit LT

Autodesk Revit LTとは

簡単にまとめると、Autodesk Revit Architectureから一部の機能を取り除いた製品です。

従来と同じ機能

  • 画面廻り、操作性
  • オリジナルのファイル形式
  • ハードウェアの要求スペック

主な取り除かれた機能

  • ワークセット機能(共同設計機能)
  • 外部参照の表示設定
  • ネットワークライセンス
  • レンダリング機能(CG作成)
  • ファイル入出力の制限
  • カスタマイズ性

では、Revit LTでは取り除かれている機能は、どのような時に必要になるものなのかを確認しておきましょう。

ワークセット機能(共同設計機能)

ワークセット機能とはひとつのファイルを複数人で編集できる機能です。物件の規模が大きい場合は、複数人で設計作業をすることが一般的だと思います。 2DCADではファイルを分けて作業していましたが、Revitは1物件1ファイルのため、この機能がないと共同作業をすることができなくなりますので、注意が必要です。

  • Autodesk Revit Architectureの場合

    Autodesk Revit Architectureの場合

  • Autodesk Revit LTの場合

    Autodesk Revit LTの場合

Revit導入のポイント

Revitは、1物件1ファイルで作成するのが基本です。共同設計を必要とする場合には、Revit LTではなく、上位機種であるRevit Architectureを選択されることをおすすめします。

外部参照の表示設定

複数棟を別ファイルで作成し、外部参照で組み合わせ、出図するような場合など、複数ファイルをリンクして図面化をしたい場合の機能も制限されています。

  • 2Dでの外部参照

    2Dでの外部参照

  • 上位機種であるRevit Architectureでの外部参照

    上位機種であるRevit Architectureでの外部参照

Revit導入のポイント

Revit LTの外部参照機能は制限されているため、表示の設定ができません。表示の設定を含めた外部参照機能を必要とする場合には、Revit LTではなく、上位機種であるRevit Architectureを選択されることをおすすめします。

ネットワークライセンス

Revit LTはスタンドアロンライセンスのみ提供

システム管理者がライセンスを集中管理したいという場合は、Revit LTではなく、上位機種であるRevit Architectureのネットワークライセンス版を選択されることをおすすめします。

ワークセットとネットワークライセンスは関係なし

ワークセット(共同設計)の機能を利用するために、ネットワークライセンスが必要となるわけではありませんので、ご注意ください。

Revit導入のポイント

ネットワークライセンスを導入したい場合には、Revit LTではなく、上位機種であるRevit Architectureを選択されることをおすすめします。

レンダリング機能(CG作成)

CG作成はクラウドで

  • Revit LTでは、設定だけすれば、クラウドでのレンダリング処理ができる。
  • クライアントマシンに負荷をかけず、設計作業が継続できる。※
  • * クラウドレンダリングの利用に際して、解像度によってクラウドクレジットが消費されます。(標準クオリティの1000×1000ピクセルの場合は、クラウドクレジットは消費されません)

Revit導入のポイント

高品質な内観パースなどのCG作成までを検討されている場合は、Revit LTではなく、上位機種であるRevit ArchitectureとともにAutodesk 3ds Max が同梱されているAutodesk Building Design Suite Premiumを選択されることをおすすめします。

ファイル入出力の制限

Revit LTで入出力できない主なファイル

gbXML、ADSK、SAT、ODBC、点群、デカル、ファミリタイプ

ADSKファイルはどのような場合に必要となるか

オートデスクの中間ファイルで、Inventorなどの建材・設備機器データをRevitへ取り込むときなどに利用されます。

Revit導入のポイント

Revit Architectureと比較すると入出力可能なファイル形式に制限があるため、将来的な活用含め協力会社・他ソフトとの連携などが考えられる場合には確認が必要です。

その他の機能制限について

ちょっとした機能が、Revit LTでは利用できなくなっていますので、ご注意ください。

機能概要ポイント
マスモデリング企画段階で、ボリュームから検討する場合に利用する機能ボリューム設計をしなければ不要
パーツとアセンブリ建築モデルを分割して、詳細な施工モデルを作成する際に利用する機能ゼネコンなど、施工関係で利用する場合、必要になる場合あり
スケッチによる階段、手すり自由形状の階段、手すりを作成する機能あると便利
トラス、配筋構造トラス、3D配筋作成機能Revit LTは意匠向けのため、実装されておりません
インプレイスモデリングプロジェクト内で任意形状を作成できる機能あると便利、土木構造物など、建築用の柱、梁などのコマンドでは作成できない形状の場合に必要
干渉チェック、コピーモニタRevit内での干渉チェック機能干渉チェックはNavisWorksManageの機能の方が実用的
エネルギー解析クラウドを利用したエネルギー解析機能エコ設計などの必要性があれば
フィルタ指定した条件でオブジェクトの表示を変更する機能あると便利

Revitシリーズの導入検討ポイント

 Autodesk Revit LTの場合Autodesk Revit Architectureもしくは
Autodesk Building Design Suite Premiumの場合
ライセンス形態スタンドアロンネットワークライセンス
物件の規模小規模が多い大規模
役割分担一人一物件チーム設計
CG確認程度でよい高品質なCG作成まで必要な場合は、Revit ArchitectureとともにAutodesk 3ds Max が同梱されているAutodesk Building Design Suite Premiumがおすすめ
拡張機能限定されているいろいろ利用できる
データ連携Revitだけで完結BIM対応製品とのデータ連携が必要
CIMモデリング機能不足土木構造物のモデリングには、Autodesk Building Design Suite Premiumまたは、Autodesk Infrastructure Design Suite Ultimateがおすすめ

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