リバースエンジニアリング最前線 進化するハンドヘルド3Dスキャナー
身近になるか? 3Dスキャナー
昨今プリンターやソフトウェアの普及で3Dデータ自体がより身近になりました。
しかし、3Dデータの作成についてはいまだ技術と経験が必要なことも事実で「現実の世界にあるものを簡単に3Dデータ化できればいいな」という思いは至極全うなプロセスです。現在日本国内で購入できる3Dスキャナーそのほとんどが海外製で高額、しかも取り扱いには経験と技術を伴うからです。
3Dスキャナー新進メーカーの登場
この数年で3Dスキャナーを囲む勢力図はさまざまな技術的ブレイクスルーがあり、3Dデータを初めて扱う人でも比較的簡単に3Dスキャンできる世の中となりました。
その中で、中国の新進メーカーであるShining3D社がEinScanシリーズを初めて発売したのが2016年。幾度かの商品改良を重ね、現在EinScan Proシリーズの最新機種である「EinScan Pro HD」が11月より国内デリバリー開始となりました。
EinScanシリーズは、プロジェクターと二眼カメラを使用する光学式3Dスキャナーとしては従来よりも購入しやすい価格帯(100万円前後)で、固定でも、手持ちでもどちらでも使える多目的3Dスキャナーです。
3Dスキャナーの苦手シーンを克服
今回、販売開始されるEinScan Pro HDは、三脚に乗せる固定方式でも、手持ちのハンドヘルド方式でも、どちらでも使える多目的スキャナーです。
内蔵プロジェクターに、従来の機種よりも高輝度なLEDと赤外LEDを搭載。光学式の3Dスキャナーでは難しかった黒色や反射の多い対象物も高輝度なパターンを投射できることで、スムーズにスキャンできるようになりました。
また、明るさが増したことで、野外でのスキャンも直射日光を避ければ可能になりました。
ハンドヘルドでも詳細な3Dスキャンが可能に
3Dスキャナーにおいて、ハンドヘルド方式と固定方式では、取得できる解像度(分解能)に差があり、通常ハンドヘルド方式の方が低解像度になってしまいます。
EinScan Pro HDの注目すべき機能として、ハンドヘルド方式でも固定方式に匹敵するほどの解像度を再現できるようになりました。文化財や自動車パーツなど固定方式でスキャンする際に時間がかかっていた対象物が、ハンドヘルドでも詳細かつ高精度でスキャンできるようになりました。
スキャン実例を幾つか用意しましたので、参考にしていただければと思います。
スキャンデータのCADデータ化について
3Dスキャナーの導入は比較的安易になりましたが、その後のデータ処理が実は一番重要です。
スキャンした3DデータをEinScan Pro HDリバースエンジニアリング用のソフトウェアを用いて、IGESやSTEPなど3D CADで運用可能な中間ファイルに変換可能です。
スキャンしたデータの特徴を認識して領域分けを行い、プリミティブの面やパーツを組み合わせてモデリングしていきます。これらスキャンデータを3D CADデータにする作業は主に「フィーチャーモデリング」、「オートサーフェス」とよばれ、用途に応じてそれらの切り分けが必要になります。