Mastercam 2023で強化された機能とは

Mastercam 2023が2022年9月1日に日本国内リリース

株式会社ゼネテックは、米国CNC Software,LLCが開発するCAMソフトウェアの最新バージョン「Mastercam 2023」を2022年9月1日に日本国内でリリースします。Mastercamは全世界で28万ライセンス以上のインストール実績を誇る世界的なCAMソフトウェアであり、日本国内でも一般企業や教育機関など数多くのユーザーに使われています。

最新バージョンであるMastercam 2023は、世界中のユーザーやCAMベンダー、技術パートナーから寄せられる膨大なフィードバック情報を基に、多数の改善と機能強化が行われ、インターフェイスの見直しによる無駄な作業の削減や、機能を統合することにより操作性に統一感を持たせたことで、作業者の負荷を軽減した内容となっています。

特に多軸加工のオペレーションを改善したことで、ツールパスのトライ&エラーが容易になり、思い通りの加工データがより簡単に作れるようになったことも大きな進歩。そのほかにも、メッシュデータのモデリング機能や複合旋盤専用のツールパス追加など、最新の加工技術にも対応したバージョンとなっています。

3D荒取り加工のアンダーカット検出

Mastercam 2023では、アンダーカットを含む3Dモデルの形状認識機能が強化された。

これにより、アンダーカット加工での無駄な工具動作が削減され、最適なツールパスを提供することができる。5軸加工において多方向からの切削を行う場合などアンダーカットが発生しやすいシーンで威力を発揮する。

B軸輪郭ターニング

B軸輪郭ターニングは、Mastercam 2023で導入された複合旋盤専用の新機能だ。旋削中にB軸回転を同期した仕上げ加工ができ、工具が届きにくい場所の加工やアンダーカット形状が1本の工具で仕上げ可能となる。

量産加工など加工時間を0.1秒でも短縮したい場合に工具の交換回数が減り、サイクルタイムを大幅部に短縮できる。

ユニファイド多軸ツールパスの強化

ユニファイド多軸は、古い多軸ツールパスを新しいインターフェイスとして機能統合し、ツールパスをより柔軟に作成することができる機能である。モーフィング、平行、曲線沿い、投影曲線などが統合され、前バージョンで作成された多軸ツールパスは「ユニファイド多軸」として利用できる。

仕上げ面の向上や加工時間の短縮など、同時5軸加工によるメリットを最大限に引き出す。

新しくなったマシングループ設定

ツールパス作成の環境構築を行うマシングループ設定が一新され、直観的な操作が可能なインターフェイスになった。新たに追加されたマスターモデル機能は、加工対象物を設定することで、体積、重量の情報が取得できる。そのほかにもシミュレーションで使用する治具設定や工作機械のシミュレーションモデルの管理も可能となっている。

加工段取りの標準化や切削情報の共有化など特定のオペレーターに依存しない作業環境の構築に寄与する。

等スキャロップツールパス強化

仕上げ加工である等スキャロップツールパスでワークモデルの認識が可能になった。コーナー部の取り残しなど、新機能である「ステップイン」パラメーターにより、複数回切り込みによる加工を行う。

これにより、工具に負荷をかけずに中仕上げ、仕上げ加工が可能となっている。体裁面や曲面など小径工具による仕上げ加工をする前に「ステップイン」を利用することで、安全な加工を施すことができる。

メッシュモデル編集

Mastercam 2023では積層技術やツールパスの作成に使用できるメッシュモデルが編集できるように機能を強化している。

  • チェックメッシュ機能では、不良箇所の分析、修正によるモデルの正常化やトリムによる穴開けやオフセット、エッジのスムージングなどが搭載されている。
  • リバースエンジニアリングによる3Dモデルの加工は必須の機能である。

3D荒取り接続動作の強化

最適荒取りツールパスでは、新しく実装した「接続パラメーター」を使用し、エアカットの制御および最適化により、パス間の移動効率を向上することができる。荒加工プログラムはエアカットがサイクルタイムの大部分を占めるため、この動作を制御・最適化することにより加工時間や切削効率を大きく改善される。

特に大型の治工具やプレス型など移動距離が長くなる加工ではエアカットを少なくすることで移動距離を短くし加工時間を大幅に短縮できる。

バリ取りツールパスの強化

ユーザーから高く評価されているバリ取りツールパスがさらに強化された。

これまではキャンディミル(特殊形状工具)のみ対応だったが、ボールエンドミルやバレル工具にも対応し、より使いやすくなった。また加工中の工具接触点を制御するパラメーターが追加され、形状に合わせた切削効率のよい加工点を設定することができる。

バリ取りを機械加工化することで人手による作業を削減できる。またボールエンドミルに対応したことで対応範囲が広がったことも効果が大きい。

ここでは、Mastercam 2023に追加される新機能と拡張機能の一部を紹介しました。

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