scFLOW 機能紹介

ポリヘドラルメッシャー

物理現象を解析するにあたり、物理量の変化を求めるために要素(メッシュ)を空間に配置します。

scFLOWはこの要素としてポリヘドラル(任意多面体)を採用しています。ポリヘドラル要素を使うことで要素中心型ソルバーの安定性と計算精度が向上します。

自由表面

自由表面機能を用いると、混じり合わない液体・気体、液体・液体間の界面がダイナミックに動く解析ができます。図1のように容器内で揺れ動く液体の挙動を解析でき、壁面の圧力や液体の重心の移動を計算によって推定できます。

なお、波の解析や冷却用ギアオイルの解析も自由表面機能の対象となります。

キャビテーション

キャビテーションとは、液体の圧力が飽和蒸気圧以下にまで減少したときに液体が沸騰・気化する現象です。キャビテーションが生じると同時に流れも変化するため、流体機械の性能に影響を与えます。

scFLOWはキャビテーションモデルとして均質媒体モデルを採用しています。このモデルは場所ごとの気相と液相の混合割合が計算されます。キャビテーションを生じる様子をボイド率(気相割合)の等値面などで表現可能です。また、最新の研究成果である多重プロセス型キャビテーションモデルも搭載しています。

混相流

混相流とは、物質の複数の相が混じり合っている状態となります。物質の相としては、気体、液体、固体の3種類が一般的です。気体と液体が混ざる、液体と固体が混ざるといったように2種類の相が存在する場合は二相流と呼ばれます。

scFlowは、混相流の計算も実施できます。空気中に液体を噴霧する、液体内で粉を攪拌するといった現象を解くことができます。

ポンプ(回転体)

scFlowは回転体の解析が得意です。次のような製品において回転体を含む解析が活用されています。

  • ポンプ
  • 遠心ファン
  • シロッコファン
  • 水車
  • 風車
  • ターボエンジン
  • ドローン など

回転する部品においては、流体と固体の境界における計算を精度よく解く必要がありますが、scFlowなら実測値との比較でも良好な結果を得られます。

プリプロセッサー機能

scFLOWには「マニュアル不要の直観的操作」というコンセプトの下、流体解析の専門性を極力排除するための工夫が数多く盛り込まれています。

CADライクなGUIと操作性

GUIは一般的なCADを意識して設計されています。

例えば、部品物性の指定や表示ON / OFFといった部品ごとの設定も普段のCADオペレーションと同様の感覚で進められます。

ナビゲーションに沿った設定操作

解析に必要な設定は、基本的にナビゲーションウィンドウの上から順に必要な項目のみを設定するだけ。初めて操作される方でも迷いにくい設計になっています。

ポストプロセッサー機能

ポストプロセッサーでは、ソルバーで計算された結果の可視化を行います。測定機器では確認が難しい箇所であっても、流れの様子や圧力・温度分布などさまざまな物理量を自由自在に確認・評価できます。

ポストプロセッサーを使用するとシミュレーション結果を多彩な表現で可視化できるため、現象の把握・理解を深められるだけでなく、ファイル出力による情報共有やディスカッションが円滑になるなど製品設計・研究開発に効果的にご活用いただけます。

コンター・カット面表示

圧力や温度などの情報に色を付けて表示する方法です。

図1は、ターボファンの流れ解析をケーシング表面と翼表面にかかる圧力分布をコンター表示したものです。このような物体の表面に表示するだけでなく、任意の2次元平面(カット面)上にも流れの様子や温度分布などの情報を表示可能です。2次元平面で結果の確認をすることで、シミュレーション結果の整理がしやすくなります。

このほかにもボリュームレンダリングや流線、オイルフローといったさまざまな表示機能があります。

  • 図1:ターボファンの表面圧力分布

  • 図2:プロジェクター内外の断面温度分布

アニメーション表示

実現象をイメージしやすいアニメーションを簡単に作成できます。また、設計改善できる箇所を素早く把握することができます。

結果出力

可視化により得られた結果は画像(*.bmp、*jpg、*.png)や動画(*.avi、*.wmv)に保存できます。このほか、無料の結果ビューアー「CradleViewer」用のファイル出力も可能です。

対応フォーマット