第4回 XVL Web Masterによる3D部品表配信

ラティス・テクノロジー株式会社
鳥谷 浩志

製造業の根幹となる情報に製造情報を統合して管理する部品表がある。ここに設計の要である3D形状情報と製品の構成情報も統合して扱いたいというのは自然な発想である。部品番号/名称と3D形状を同時に確認できれば、部品を混同するような間違いも激減する。すでに、多くの製造業で部品表とXVLデータを統合して扱っている。XVL Web Masterは、CADデータと部品表情報を自動統合し、統合したデータをネット環境で共有可能にする製品である。たとえば、3Dの製品情報とそれを構成する部品情報、各部品には設計者氏名と単価の一覧表の情報、3Dの形状情報を統合してネット上で閲覧することが可能になる。部品の設計者の情報や単価が取り出せる、あるいは、部品形状を3Dで簡単に表示ができるので、このシステムは設計現場だけでなく、部品調達部門や工場でも有効に活用できる。

CADから変換されたXVLにはCADの構成情報と形状情報の両方が格納されている。別途、部品に対する付加情報を表形式のデータ表現方法で生成しておく。XVLと表データの部品名称を共通化することで、XVL Web Materが自動的に情報を統合し、HTML形式で出力する。一般ユーザーは通常のブラウザで、3Dと2D及び部品表のデータが統合された情報を見ることができる。

図6にXVL Web Masterにより生成された情報の表示例を示す。ここでは、製品のアセンブリ状態での表示(XVL形式)、2Dのイラスト表示(SVG形式)、製品の構成情報、選択された部品の3D表示(XVL形式)、構成情報に対応した属性情報の5種類の情報が表示されている。各情報は統合されている。したがって、製品を構成する3D部品をクリックすれば、これに対応する2D形状と部品表の色が変化し、それが、どの部品に対応するのか、表データに設計者氏名や価格があれば、一目で確認することができる。逆に、部品表の項目をクリックして、どの形状に対応するのかを確認することも可能である。もちろん、2Dの線画部分をクリックしてもよい。しかも、アニメーションも自動生成できるので、その場で分解アニメーションを再生することも可能である。3D情報と属性情報との統合により、CAD情報が大きな付加価値を持ったことが分かる。

3Dデータの多重利用という課題を考えたとき、3Dデータを利用する仕組みをいかに安価に運用できるかが大きな課題となる。本ソフトウェアは、(1)3D/2D/既存情報の自動的な一括統合、(2)2Dのイラスト図の自動生成、(3)分解アニメーションの自動生成を実現しているので、実際の運用コストを大幅に下げることができる。CADデータからXVLを生成するだけで、たいへん有益な情報を低コストで自動生成できるようになる。しかも、この3Dデータは非常に軽量なので、生成されたデータ群は国境を越えた企業群で共有できるのである。

図6 XVL Web Masterの出力例

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