第5回 XVLの今後の展開

ラティス・テクノロジー株式会社
鳥谷 浩志

ラティス社では、XVL技術を世界に向けて広く普及させたいと考えている。そのために必要なことは、(1)世界規模のソフトメーカーでのXVL技術の採用、(2)世界規模で展開する企業でのユーザーとしてのXVLの採用、(3)基本性能でXVL技術が世界NO.1であり続けることの3点である。

(1)世界規模のソフトメーカーでのXVL技術の採用

ラティス社はCAD業界のトップ企業であるフランスのダッソー社と提携した。同社の次世代3D形式である3DXMLの中にXVL技術が採用された。3DXMLはCATIAやSolidWorks等のダッソーグループ製品で標準的に搭載されてくる。XVL技術の世界への普及が急速に始まっている。

(2)世界規模で展開する企業でのユーザーとしてのXVLの採用

世界No.1の自動車メーカーになろうとしているトヨタ自動車がXVLの大規模なユーザーである。共同開発したXVL Studio Proはボディ設計部門で使われており、工場分野でのXVLアニメーションの利用、3D部品表での利用も部門を越えて広がっている。同社の海外拠点での導入も始まっており、国境を越えた3Dデータ活用が現実のものとなりつつある。日本を代表する家電メーカーや海外の大手航空機や自動車メーカーでのXVL採用も続々と進みつつある。

(3)基本性能でXVL技術が世界NO.1であり続けること

3Dを見るということの基本性能として省メモリー性、ファイルの軽量性、表示速度の三点は重要である。64ビットPCの出現など、3DCADシステムで設計された形状の大容量化が進んでいる。大容量の3Dデータをパソコン上で手軽に表示することが急務の課題である。最新のXVLでは、特に大容量データ処理に関し、この三点で世界最高水準の性能を提供している。ラティス社では、常に世界最高水準の基本性能を提供することを目標としている。

図7に示すように、3Dデータの多重活用を提唱してきたラティス社のDR/ビューワ/3Dドキュメント作成といったXVL製品群により、3Dデータを企業全体で活用することが可能になった。製造情報のデータベースであるPDMがあってもなくても、CAD情報にアクセス可能になるというのが、XVLの本質である。CAD情報がXVLの中に表現されているからである。

図7 企業全体での3Dデータ活用

今後は、紙の図面の代わりに3Dデータが利用されることが主流になるだろう。そのためには、図面にある注記や記号もXVLの中に変換されなければならない。また、図面の代わりとしての3Dを扱う新たな製品も必要とされてくるだろう。ラティスの目指すひとつの方向がここにある。ラティス社では、世界標準となるXVL技術の上で日本の製造業のノウハウを活かしたソフトウェアを提供する計画だ。

設計工程だけの効率化を推進するデジタルのモノづくりでは意味がない。設計部門の3Dデータを利用して、企業全体のプロセス改善を進めることが重要である。21世紀は知識を制する者の時代といわれる。企業内に知識を蓄え、伝達し、共有する必要性は急速に高まっている。知的労働は叱咤激励だけでは改善されない。確固たる知識労働の支援のためのルールが必要である。世界に冠たる製造ノウハウを持つ日本の製造業がIT武装をして、グローバル競争に立ち向かう際、XVLが貢献できれば幸いである。

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