主な内容
- 3D CAD環境のシミュレーションとは
- カバー部品の変位量
- 目的に応じて求められる解析タイプ
見た目や手計算では分からない問題を解析で検証
市場の競争が激化していく製造業では、常により効率的な設計が求められてきます。そこで、設計現場で重要視されているのが解析により構造物の強度や安全性を検証できる「シミュレーションツール」の活用です。3D CADでは、設計で作成したモデルを使用して解析を実施できるので検証作業へとスムーズに移行できます。
しかし、シミュレーションツールを利用していない方の中には「本当に解析で設計の適正を判断できるのか?」と思う方もいるのではないでしょうか? そこで、どれが適切な設計案かを考えていただくクイズをご用意しました。一見しただけでは判断が難しい問題でも、解析結果と照らし合わせることで容易に判断できます。
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構造解析では設計モデルに対して使われている材質をはじめ、部品に加わる荷重や支持方法を示す拘束といった境界条件を設定して使用時の負荷を再現し、強度の過不足などを検証します。
図1は、中央のネジ穴部分で固定され、左右の円筒面でそれぞれ上下方向に力が加わるブラケット部品です。材料はアルミ合金が使われており、この形状でシミュレーションを実行したときの安全率は約1.5となりました。
では、このブラケット部品で最も強度が高くなるのはどの形状でしょうか?
結果は「A」になりました。発生している最大応力が小さく、安全率が高いほど荷重による影響が少なく、強度が高いことになります。それぞれ初めの形状よりも強度が向上していますが、ベース部分の厚みを変更した「A」の形状が最も強度が高いことが判断できます。
しかし、質量に注目すると、ほかの形状よりも多くの材料を使用していることが分かります。
では先程の結果を踏まえてさらに問題です。
先程の「A」と、強度が向上した修正方法を組み合わせた形状の中で、最も強度が高くなるのはどれでしょうか?
結果はいずれも近似していますが、「B’」の形状が最も安全率の高い結果となりました。しかし、強度の保持と軽量化の観点で見ると「C’」の形状が優れていることが判断できます。
このように、解析と変更を繰り返すことで強度と軽量化の両方を満たした設計案を効率的に検討できます。
続いて行うのは、製品内部・外部を流れる気体・液体の流れをシミュレーションする熱流体解析です。流量や流速、圧力、または温度といった要素が性能や安全性に関わる製品設計において重要な解析になります。
下図は装置内を高温な気体と低温な液体が流れる熱交換器です。内部に冷却用の液体が流れる管があり、その周囲を高温の空気が流れることで空気が冷却されていきます。菅の長さが1,325mm、約200℃の空気が流れた際、排出される空気の温度は約80℃になります。
では、熱交換器により排出される空気温度を60℃以下にするのに有効な形状はどれでしょうか?
排出口付近の流体の温度から「C」の形状が要件を満たす冷却性能であることが判断できます。菅の長さが長くなることでより長い時間冷却管の周囲を空気が流れるため、冷却効果が向上していると予想できます。
しかし、冷却性能を向上させるには、長さを変える以外にも方法があります。
下図は要件を満たせなかった「A」と同じ長さですが、内部の仕切りを追加した形状です。このモデルでシミュレーションを行うと、排出口付近の流体温度は58℃と要件を満たしていることが分かります。
このように、どの設計案が最も適しているかといった検討やどれくらい強度や性能が異なるかといった判断が難しい問題も、シミュレーションツールなら解析結果から定量的に判断できます。手間のかかる手計算や設計者の勘に頼るずに、設計の適正を正確に判断し、有効な設計案を早期に導き出せます。
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解析の重要性を確認できるシミュレーションクイズ
主な内容