軽量化方法や性能を予想しよう! シミュレーションクイズ3

強度や性能の良しあしを解析でチェック

設計する製品形状を立体で表現することで、2D CADよりも効率的に設計を進められる3D CAD。しかし、いかに3Dであっても、技術者の勘や経験に頼った設計をしていてはその効果を発揮できません。3Dデータを生かした検証を行い、設計上の問題をCAD上で発見、修正しながら設計を進めることでより効率的な設計を実現できます。

検証作業の中で最も重要なのがシミュレーションツールを用いた「解析」です。CAD上で3Dデータを基に製品使用時に加わる負荷や与える影響を再現して設計の適正を検証できます。解析結果を基に強度の過不足や性能の良しあしなどを見極めることで効果的な設計変更が可能になり、開発期間を短縮できます。

今回はシミュレーションツールの利用をイメージできるよう、製品の軽量化方法や性能を評価するクイズをご用意しました。

この記事を詳しく解説した資料があります

動画で分かる シミュレーションクイズ

本動画は音声オンで再生されます。音量は、動画プレーヤー画面の下部にあるスピーカーアイコンで調整可能です。

解析結果から軽量化方法を検討

製品が使用される環境を再現し、強度や変形などをシミュレーションで評価する技術を「静解析」とよびます。この解析では、材料、荷重、拘束などの条件を設定することで、製品に加わる負荷を再現することができます。

今回はブラケット部品を基に解析を行います。

解析を用いた強度の検証

材料に6061合金を設定し、モデル背面に空けられたボルト用の穴に固定拘束、上部の先端部分の面に垂直に500Nの力が加わるよう力荷重を設定しています。

設計要件として安全率4以上が求められていますが、モデルの外形だけを作成した簡易的な状態で解析を実行すと、安全率は25以上とかなり強度が過剰であることが分かります。

内部を空洞化するように軽量して再度解析を実行してみます。質量が半分以下に削減されましたが、安全率は5.4とまだ十分な強度が維持されていることが分かります。では、さらに軽量化をするにはどうすればよいでしょうか?

では問題です。この中で軽量化と強度が両立できているのはどれでしょうか。

  • A

  • B

  • C

  • D

結果はこのようになりました。全体的に強度は維持できていますが、D案では設計要件の安全率を下回っています。B案、C案では同程度の強度が維持されていますが、より質量の少ないB案の方が優れていると判断できます。

では、さらに軽量化することはできるでしょうか?

  • A

  • B

  • C

  • D

解析結果を基に軽量化方法を検討

ここで軽量化前の状態を基に、応力結果の等位面プロットを確認してみます。等位面プロットでは、一定以上の応力値が発生している領域のみが色で表示されます。透明な領域は応力が発生しておらず、荷重による影響が低い領域と判断できるため、肉抜きの目安になります。

では、さらに問題です。

先ほどのB案からさらに軽量化した形状のうち、最も軽量化と強度を両立できているのはどれでしょうか。

  • A

  • B

  • C

結果を見ると、応力の発生していない背面および上部中央部分を肉抜きしても強度を維持できていることが分かります。最も強度が高いのは安全率の一番高いA案ですが、質量と強度の両立を考えると、より少ない質量で設計要件を満たしているB案が最も優れていると判断できます。

  • A

  • B

  • C

熱流体解析によるファンの性能評価

続いて行うのは、製品内部・外部を流れる気体・液体の流れをシミュレーションする「熱流体解析」です。今回は羽根の回転により生じる強制的な対流を生み出すファンの性能を検証します。

ファンにより生じる対流を検証

下図のモデルは標準的な小型ファンを再現したものになります。このモデルの羽根部分を1,400RPMで回転させて解析を行い、発生する対流を検証します。300mm離れた位置では横方向への流速が0.075m / sと低く、あまり風が届いていないことが分かります。流跡線を見ると流体が周囲に拡散しており、効率的に風が送れていないことが確認できます。

ここで、羽根の形状や回転数を変えずにファンの効果を改善できるか検証してみます。

では問題です。次のうち、より遠くに風を届けることができるのはどの形状でしょうか。

  • A

  • B

  • C

300mm地点の最大流速を比較した結果、何もつけていないA案と比べてB案、C案ともに大きく流速が改善された結果となりました。

A案では羽根の回転により発生する対流で旋回するように空気が流れており、外側へと拡散されています。ケーシング部品を追加したC案では、流れの方向はある程度制御できていますが、旋回する流れは残っており、流れが収束していません。

対してB案では、流体の旋回が抑制されて中央に集約されており、より遠くへ風が送れている結果となりました。これは羽根(動翼)により生じた流体が静翼を通過することで、軸に対して平行な流体へと修正されていると考えられます。

  • A

  • B

  • C

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解析を活用した設計案の検討と性能評価

主な内容

  • 効率的に設計を進めるための解析活用
  • モデルを作りこむ作り込む前に解析
  • ブラケットサポートの軽量化