主な内容
- 日本の製造業の現状
- 諸外国と比べた日本の競争力
- 企業の「稼ぐ力」に直結するデジタル技術
製造業の目指すべき姿が見えてくる「ものづくり白書」とは?
経済産業省が発行する「ものづくり白書」は、ものづくり基盤技術振興基本法に基づく法定白書です。この報告書は、日本の製造業に関する政府の指針と施策を、2部構成の全340ページにわたって記述されています。「2024年版ものづくり白書」では、ものづくりに関する現状と課題に関する基礎的なデータやその年の課題や政府の取り組みが掲載された第1部と、ものづくり振興施策集である第2部から構成されています。
本記事では「ものづくり白書」を読み解き、社会情勢を踏まえて製造業の皆様が目指すべき姿と、求められるデジタル技術についてご説明します。
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日本の製造業はGDPの約2割を占めており、依然として日本経済を支える中心的な産業としての役割を果たしています。
2023年の営業利益は前年よりもやや減少しているものの、コロナ禍の影響を受けた2020年以前よりも高い水準を維持していますが、企業の景況感を示す「業況判断DI(注1)」を見ると、大企業製造業はコロナ禍以降一時的に持ち直しているものの、2024年は若干ポイントを下げています。
さらに中堅・中小企業においては、業況判断DIが0を下回る時期が続いています。製造業全体でみると営業利益は比較的好調ですが、多くの中堅・中小企業が厳しい経営状況にあることがうかがえます。
目まぐるしく変化する社会情勢に製造業は大きく影響を受けていますが、中でも最も多くの事業者が影響を受けた要因として挙げているのが「原材料価格やエネルギー価格の高騰」です。これらはさまざまな要因が関係していますが、以下が主な要因として考えられます。
こうした社会情勢によりコスト増加・労働力不足に苦しむ製造業は、今後もコストの削減・開発期間の短縮を実現するために効率的な製品開発が求められます。
原材料・エネルギー高騰による開発コストの増加を受け、多くの企業が製品価格の値上げなど価格転嫁に取り組んでいますが、多くの企業が高騰分を価格転嫁できてないのが現状です。
原材料調達における高騰分の価格転嫁の割合を見ると「増加コストの80%以上の価格転嫁ができている」企業は4割を満たしておらず、6割以上の企業が「増加コストの80%未満の価格転嫁」しかできていない状況です。
顧客、取引先などから理解を得られず、価格転嫁に踏み切れない企業が多数ある中、開発現場には「コスト・工数削減」に加え「価格転嫁を進めるための品質・付加価値の高い製品開発」が求められます。
製造業では、業界への就業者数と若年就業者数がそれぞれ減少傾向にあり、多くの企業が人手不足の問題を抱えています。そのため、既存従業員に業務が集中し、技術者の負担増加や開発業務に集中できないといった事態を招いています。
また、2000年ごろと比較して高齢者の割合が増え、ベテラン比率が高い開発現場が増えています。このような現場は、ベテランの経験値に依存した開発になってしまう課題やノウハウ・技術伝承の課題を抱えています。
こうした人手不足に対応すべく、より効率的な製品開発を実現するためにも有効なデジタル技術の導入、活用が必要になります。
デジタル技術は単一ではなく、複数の分野のデジタル技術を活用している企業ほど、売上総額が増加したというデータがあります。
また、デジタル技術活用による効果を見ても、多くのデジタル技術を活用している企業ほど「作業負担軽減や作業効率の改善」「リードタイム短縮」「品質の向上」など、売上増加につながるさまざまな効果を実感できており「稼ぐ力」が向上しているといえます。
デジタル技術は「稼ぐ力」の向上に必要な要素ですが、中堅・中小企業の投資対象をみると、ソフトウェアなどの「無形固定資産」よりも機械設備などの「有形固定資産」の方が多い傾向にあります。
大企業 | 無形固定資産への投資が活発
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中堅・中小企業 | 無形固定資産への投資が限定的
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無形固定資産への投資、特に製品開発に影響する分野の投資が少ない中堅・中小企業こそ「稼ぐ力」の向上につながるデジタル技術に注力したDXが必要になります。
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「ものづくり白書」から読み解く 製造業におけるDXの必要性
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