設計者から専任者まで! 熱流体解析ソフトの選び方と比較ポイント

熱流体解析ソフト選定で失敗しないために

「高性能なソフトを導入したけど、使いこなせず宝の持ち腐れになってしまった」、「熱流体解析ソフトを実施したいがオーバースペックなソフトを社内稟議に出してしまい許諾されなかった」そんな失敗を防ぐためには、自社に合った解析ソフトを見極めることが重要です。

本記事では、熱流体解析ソフトを三つの階層に分類し特徴を比較しながら、選定のポイントを詳しく解説します。

熱流体解析ソフトとは?

熱流体解析ソフトは、CFD(Computational Fluid Dynamics)解析をベースに、流体の流れや熱伝達、圧力分布などをシミュレーションするツールです。製品設計段階で熱問題を予測し、冷却性能や流路設計を最適化するために活用されます。

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熱流体解析ソフトの比較

熱流体解析ソフトは解析機能に応じて次の三つの階層に分類できます。実施したい解析対象の内容に対して、どの階層の熱流体解析ソフトが適しているのか見極めることが必要です。

 

種類デザインCAEミドルCAEハイエンドCAE
特長3次元CAD統合型を中心とし、手軽で導入しやすく使いやすい柔軟性があり、ある程度の知識が必要高精度だが扱いに高度なスキルが必要
代表的な機能単相流混相流、回転/境界移動燃焼、化学反応
評価定性的定性・定量的定量的
専門性

デザインCAE

デザインCAEは、設計者が3D CAD環境上で直接解析操作が出来るように設計されたソフトウェアです。主に製品設計の初期段階で複数の設計案を相対比較で検討するために活用されます。

特徴

  • CADアドイン形式やCAD連携型が主流
  • 設計作業と解析作業を同じ環境で切り替え可能
  • 単相流(空気・水)や固体と流体間の伝熱解析に対応
  • 輻射熱、定常・非定常流れのシミュレーションも可能

メリット

操作性が高く、設計者が手軽に熱問題を検証できる。

製品例

SOLIDWORKS Flow Simulation、Autodesk CFD、Simcenter FLOEFD など

  • 3D CADと解析が同一環境で操作(SOLIDWORKS Flow Simulation)

  • 筐体内の温度分布

  • 配管内の流体流れの様子

ミドルCAE

ミドルCAEはデザインCAEよりも高度な解析を比較的簡単な操作が実施出来るソフトウェアです。一定の解析知識を必要としますが、操作性と機能のバランスに優れています。

デザインCAEからの追加機能

  • 混相流解析(気体と液体の混合)
  • 回転境界(ファン・ポンプ)、自由表面解析
  • より複雑な流体挙動の再現

製品例

scFLOW、STREAM など

  • ファンの回転の様子

  • タンク内攪拌の様子

ハイエンドCAE

ハイエンドCAEは、複雑かつ専門性の高い現象を解析する解析専任者向けのソフトウェアです。デザインCAEやミドルCAEのような相対評価ではなく、試験の代替として精度の高い解析結果を追求できます。

ミドルCAEからの追加機能

  • 燃焼解析(バーナー・燃焼器)
  • 化学反応解析
  • 複雑な液面挙動のシミュレーション

注意点

機能が多く、習得には時間とコストがかかる

製品例

Ansys Fluent(Ansys CFD)、Particleworks など

  • 燃焼炉内の様子

  • 水の液体挙動

熱流体解析ソフト選定のポイント

熱流体解析ソフトを選ぶ際は、次の観点を押さえましょう。

  • 利用者のスキルレベル(設計者か専任者か)
  • 3D CADとの連携性
  • 解析対象と精度要求
  • 導入予算と学習コストのバランス

導入前に確認すべき追加要素

  • ライセンス形態(永久ライセンスかサブスクリプションか)
  • クラウド対応の有無
  • サポート体制とトレーニングプログラム
  • 解析時間とハードウェア要件

まとめ

本記事では、熱流体解析ソフトの三つの階層と選定ポイントについて解説しました。資料では、機能面から三つの階層を図解し、選定のポイントをさらに詳しく記載しています。ご参考にしていただけますと、社内でのソフトウェア選定がより明確になります。

また、熱流体解析ソフトウェアの選定にご不安がある場合は、大塚商会のエンジニアがヒアリングのうえ、最適な選定をサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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熱流体解析ソフトの選び方 -Design CAEからHigh-End CAEまで-

主な内容

  • Design / Middle / High-End CAEとは
  • 熱流体解析ソフト選定のポイント