使わないともったいないCADとクラウドの新しい関係
オートデスクのクラウドサービスをピックアップしてご紹介!
https://www.cadjapan.com/download/pdf/pdf303-j5gxmtb.pdfモバイルやクラウドの活用が進んでいる中で、オートデスクもクラウドサービスをご提供しています。タブレット端末で図面の閲覧・編集・共有、設計ファイルをオンラインに格納、写真から3Dデータの作成などさまざまな操作を行えます。
https://www.cadjapan.com/download/pdf/pdf304-wcdt7h7.pdf今回はその中でも、「ぜひ、使ってみたい!」と思っていただけるサービスをピックアップしてご紹介します。
https://www.cadjapan.com/download/pdf/pdf305-26ut3am.pdfオートデスクのクラウドサービスをスタートする前に
サービスのご紹介の前に、大事なことのおさらいです。オートデスクのクラウドサービスの核をなしているのは、A360サービスです。そのため、A360のアカウントである、Autodesk Accountを取得、サインインした状態であることがスタートラインです。サインイン後は次のような基本サービスを受けられます。
5GBのストレージ | あらゆる電子データを保管できるクラウド上の領域 |
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ドキュメントの管理 | ドキュメントの編集履歴の記録とバージョン管理 |
ライブレビュー機能の使用 | AutoCADやAutodesk InventorなどのCAD内で使用できる、リアルタイムのコラボレーション機能。自分と共有相手の画面を接続しリアルタイムに閲覧、コメントしてデザインレビューを迅速化。わざわざミーティングのために集まる必要がなく、時間やコストを大幅に削減 |
サブスクリプション契約や製品ごとの特典も
サブスクリプションをご契約されている方は、優遇される特典があります。
ストレージ容量の増量 | 25GBに増量 |
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A360でのレンダリング | Rendering in Autodesk A360 クラウド上でのレンダリングサービスの使用権 |
レンダリング実施時に必要なクラウドクレジットの付与 | 100単位のスタータークラウドクレジット |
また、製品ごとに追加されるサービスがあります。例えば、製造業向けのパッケージである、Autodesk Product Design Collectionの場合は次のサービスを使用いただけます。
- A360でのレンダリング
- ReCap 360 Pro
- Fusion 360
特に、A360によるレンダリングは、ブラウザー上で手軽に3Dデータをレンダリングできるサービスです。特殊なレンダリング用ハードウェアも必要なく、効果的でフォトリアリスティックなビジュアライゼーションをクラウドで実現します。クラウド上でレンダリング処理を行うので、PCのパワーを使用とせず、処理実行中もPC上では他の作業を進行できるという大きなメリットがあります。そのほか、パノラマイメージ作成や日照のシミュレーションも可能で、容易に写真品質のイメージを作成でき、最大で4,000×4,000px(ピクセル)まで対応しています。
レンダリングを使用するとクラウドクレジットが消費されますが、中程度までの品質でのレンダリングの場合は消費されないので、非常にリーズナブルに利用いただけます。
アプリからAutoCADを操作
A360テクノロジーをもとに、AutoCADも使用いただけます。クラウド版とブラウザー版、それぞれに対応したアプリがあります。
- クラウド版:AutoCAD 360 モバイルアプリ(iOS、Android、Windows 10 mobile)
- ブラウザー版:AutoCAD 360 Webアプリ(現在はベータ版のみ提供)
Basic | Pro | Pro Plus | |
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価格 | 無料 | 月額1,080円 年額7,560円 | 年額16,200円 |
ストレージ容量 | 5GB | 25GB | 100GB |
最大ファイルサイズ | 10MB | 30MB | 40MB |
図面のアップロードおよび表示 | ○ | ○ | ○ |
計測ツール | ○ | ○ | ○ |
クラウドストレージ接続(注1) | ○ | ○ | ○ |
GPSツール | ○ | ○ | ○ |
データの共有と印刷 | ○ | ○ | ○ |
作図および編集ツール | - | ○ | ○ |
新規図面作成 | - | ○ | ○ |
注釈ツール | - | ○ | ○ |
画層管理(注2) | - | ○ | ○ |
オブジェクトプロパティ | - | ○ | ○ |
ブロック | - | ○ | ○ |
優先サポート | - | ○ | ○ |
- (注1)A360のみならず、Dropbox、Google Drive、OneDriveに接続。
- (注2)画層が認識されるので、現在の画層を切り替えたり、画層単位の操作を実行。
無償版では主に閲覧に限られるため、作図や注釈の追加には有償版が必要です。有償版では、ストレージの容量が増える点も嬉しいですね。AutoCAD 360はユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリ、つまり、Windows 10 mobileでもWindows 10搭載のPCでもアプリとして使用いただけます。デスクトップのWindows 10 OSは、ストアからアプリをダウンロードして使用できるのはご存じでしょうか? この機能を使って、AutoCAD 360アプリを使用しつつ、モバイル端末上でも使用いただけます。
実際にAutoCAD 360を使ってみました
AutoCAD 360はサインイン後30日間は体験版としてProの機能が使用できます。従って、課金しなくても新規図面作成や注釈ツールを使用いただけます。
AutoCADにはない、サイズ確定のテンキー機能
四角形や円を描いてみました。四角形の場合は対角2カ所を指示すると、その後サイズを確定するためにテンキーが表示されます。円の場合は、中心位置をクリックするとテンキーが表示され、直径値を確定できます。これはとても便利ですね。AutoCADにもこの機能があると便利なのではないでしょうか。
画層もきちんと認識される
次にAutoCAD LTで正面図だけを描いたファイルをAutoCAD 360で開いてみました。この図は直径寸法のみAutoCAD 360上で追加しました。図面ファイルに設定されている画層がきちんと認識されており、現在の画層を切り替えられるため、直径寸法を寸法画層に格納できました。
使いやすいよう環境設定も
環境設定としては、オブジェクトスナップや単位系を設定もできます。基本的な機能は使用できるため、便利だと思います。モバイル機器で使うということは指先でタップしながら作図するため、やりにくいのではないだろうか? と懸念を持っていましたが、実際に寸法を入れる際にはタップした箇所に近い要素にスナップするので、案外使いにくさは感じませんでした。
このように、AutoCAD 360アプリはあくまでモバイルでの使用を前提としており、詳細に図面を作成したり、編集できるわけではありません。有償版ではファイルの新規作成や作図ができますが、あくまでデスクトップのAutoCADを補完する意味で使用するのがよいのではないでしょうか。モバイルで図面を確認できれば、印刷した図面を持ち歩いたり重いPCを持ち歩く必要がない点が大きなメリットになります。デスクトップのCADとモバイルをうまく使い分けることが、クラウド活用のキーポイントです。
次回は、ReCap 360という、写真や点群データを利用して3Dデータを作成できるアプリをご紹介する予定です。お楽しみに!