建築設計の待ち時間を短縮する、ワークステーションとは?

処理時間が変われば、業務効率も変わる。Autodesk製品で実証された性能差

建築・土木設計業務では、3Dモデルの作成や地形データの処理、レンダリングなど、日々の作業に高い計算処理能力が求められます。

そこで今回は、最新モデルを含む3台のワークステーションを使用し、Autodeskの建築・土木系ソフト(Revit、InfraWorks、Civil 3D)を用いて、実際の設計業務を想定した処理時間の比較検証を行いました。各ソフトの特性に合わせたデータを使用し、CPU・GPU・メモリーなどの構成がパフォーマンスにどう影響するかを明らかにしています。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種HP ZBook 8 G1i 16インチ
Mobile Workstation
HP ZBook Power G10 AMD
パフォーマンスモデル
Lenovo ThinkPad P14s AMDモデル
発売日2025年6月2023年8月2022年8月
CPUIntel Core Ultra 7 255H 2.00GHzAMD Ryzen 7 PRO 7840HS 3.80GHzAMD Ryzen 5 PRO 6650U 2.90GHz
メモリー32.0 GB16.0GB(15.3GB使用可能)16.0GB(14.8GB使用可能)
グラフィックボードNVIDIA RTX 500 Ada Generation Laptop GPU(4GB)AMD Radeon 780M(内蔵)
NVIDIA RTX A1000 6GB Laptop GPU
AMD Radeon 660M(内蔵)
ストレージ1.83TB475GB236GB

専用GPUと内蔵GPUの違いとは?

RTX 500 Ada Generation(4GB)は、専用のグラフィックスメモリーと高性能な演算ユニットを備えたディスクリートGPUです。CADや3Dモデリング、AI処理など、GPUに負荷がかかる作業でも安定したパフォーマンスを発揮でき、描画精度や処理速度が求められる環境に適しています。

一方、AMD Radeon 780Mおよび660Mは、CPUに統合された内蔵GPUです。専用メモリーは持たず、システムメモリーを共有するため、RTX 500と比べると処理能力は控えめですが、その分消費電力が低く、コストも抑えられるのが特長です。

RTX 500は「性能重視・プロ用途向け」、AMDの二つは「省電力・コスト重視の日常用途向け」という違いがあります。

Revitにおける比較:レンダリング

使用データ

  • モデル:ボックスカルバート(配筋入り)3Dモデル
  • サイズ:8.43MB
  • 全長:約30m
  • 鉄筋本数:3,234本

レンダリング設定

  • 品質:高
  • 幅:1,135px
  • 高さ:614px
  • 照明:太陽光のみ
  • 天空:少し曇り

結果

 

機種HP ZBook 8 G1i 16インチ
Mobile Workstation
HP ZBook Power G10 AMD
パフォーマンスモデル
Lenovo ThinkPad P14s AMDモデル
時間38.9秒87.4秒98.2秒

Autodesk Revitを使用したレンダリング検証において、最も高速な処理結果を示したのはHP ZBook 8 G1i 16インチだった。鉄筋入りボックスカルバート(8.85MB)の3Dモデルを用いたレンダリングでは、わずか38.9秒という圧倒的なパフォーマンスを記録。他の2機種と比較しても処理速度に大きな差が見られた。

高速化の理由には、次の三つが影響していると考えられる。

Intel Core Ultra 7 255Hの優位性

Intel Core Ultra 7 255Hは、最新世代のハイブリッドアーキテクチャを採用しており、高性能コアと省電力コアを組み合わせることで、効率的なマルチスレッド処理を可能にする。複雑な3Dモデルのレンダリングでも、並列処理が効率的に行われ、処理時間の短縮に貢献したと考えられる。

専用GPUによる高性能グラフィック処理

専用GPUであるNVIDIA RTX 500 Ada Generation(4GB)が、グラフィック処理において内蔵GPUとは一線を画す性能を発揮したと考えられる。Revitのレンダリングでは、マテリアルの反射・陰影・光源処理などのリアルタイム演算が求められるため、GPUの性能が処理時間に影響する。

メモリー容量32GBによる処理の安定性

32GBのメモリーにより、データの読み込みや処理が安定し、全体の作業効率を大きく向上させた。

InfraWorksにおける比較:地形読み込み

使用データ

  • 地形データ:国土地理院の基盤地図情報5mメッシュ標高を使用し作成したLandXML
  • 地形データサイズ:144MB 約6.8×4.7km
  • 表示スタイル: エンジニアリングビュー

結果

 

機種HP ZBook 8 G1i 16インチ
Mobile Workstation
HP ZBook Power G10 AMD
パフォーマンスモデル
Lenovo ThinkPad P14s AMDモデル
地形読み込み57.3秒101.2秒125.2秒
再表示73.3秒132.7秒133.2秒

結果として、HP ZBook 8 G1i 16インチが他の2機種に比べて圧倒的に高速な処理を実現した。Revitレンダリング同様に、三つの要素が影響したと考えられる。

Civil 3Dにおける比較:データを開く

使用データ

  • 地形データ:国土地理院の基盤地図情報5mメッシュ標高を使用し作成した3D地形サーフェス
  • 地形データサイズ:200MB 約11×9km
  • TINサーフェスのポイント数:2,929,985
  • 三角形の数:5,853,692
  • 表示スタイル:シェードとエッジ

結果

 

機種HP ZBook 8 G1i 16インチ
Mobile Workstation
HP ZBook Power G10 AMD
パフォーマンスモデル
Lenovo ThinkPad P14s AMDモデル
時間24.3秒63.0秒54.0秒

HP ZBook 8 G1iは他の2機種と比べて、圧倒的に高速な地形データ読み込み時間(24.3秒)を記録した。この差は、CPUやGPUの性能に加え、1.83TBの大容量・高速ストレージの存在が大きく影響していると考えられる。

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主な内容

  • Revit
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