製造業のCAD設計に適したモバイルワークステーションは? 14インチ vs 16インチをInventorで比較

製造設計者のサブ機選び、サイズで性能は変わるのか?

製造業のCAD設計現場では、モバイルワークステーションの需要が急速に高まっています。従来は、複雑な3Dモデリングや解析に対応するため、拡張性と冷却性能に優れたデスクトップ型が主流でした。しかし、外出先での図面修正や顧客との打ち合わせなど、柔軟な働き方が求められる中で、ノート型ワークステーションの採用率は急増しています。

とはいえ製造業では、デスクトップ型がメインという現実もあります。そこで本記事では、「デスクトップをメインに使う設計者がサブ機として選ぶなら、14インチか16インチか?」という疑問に答えるため、HP ZBookシリーズのモバイルワークステーションをAutodesk Inventorで検証しました。大規模アセンブリ処理にかかる時間を比較し、サイズによる性能差を明らかにします。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種ZBook 8 G1ak 14インチZBook Firefly 14インチ G10ZBook Power 16インチ G11ZBook Power 16インチ G11 A
CPUAMD Ryzen AI 7 PRO 350 w / Radeon 860M
2.0GHz 最大5GHz
Zen 5 4個(注1)
Zen 5c 4個(注2)
8コア / スレッド数16
Intel Core i7-1365U
1.8GHz 最大5.2GHz(注3)
Intel Core Ultra 7 155H
1.4GHz 最大4.8GHz(注4)
AMD Ryzen 7 PRO 8845HS
3.8GHz
最大5.1GHz(8コア)
ハードドライブM.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、SED、OPAL2、TLC)
M.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
M.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
M.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
キャッシュメモリー24MB12MB24MB24MB
RAM32GB DDR532GB DDR532GB DDR532GB DDR5
最大仮想メモリー98,304MB98,304MB98,304MB98,304MB
グラフィックス
エンジン
AMD Radeon 860M
(プロセッサー内蔵)
NVIDIA RTX A500 Laptop GPU(4GB GDDR6)NVIDIA RTX 1000 Ada Generation Laptop GPU(6GB GDDR6)NVIDIA RTX 1000 Ada Generation Laptop GPU
グラフィックボード
ドライバーVer.
32.0.13030.501631.0.15.662431.0.15.525531.0.15.5255
OSWindows 11 Pro 24H2Windows 11 Pro 24H2Windows 11 Pro 23H2Windows 11 Pro 23H2
  • (注1)Zen 5 4個(基本2.0GHz / 最大5.0GHz)
  • (注2)Zen 5c 4個(基本2.0GHz / 最大3.5GHz)
  • (注3)Performance-cores2個、Efficient-cores8個、(10コア / スレッド数12)
  • (注4)Performance-cores6個(基本1.4GHz / 最大4.8GHz)、Efficient-cores8個(基本900MHz / 最大3.8GHz)、低消費電力 Efficient-core2個(基本700MHz / 最大2.5GHz)16コア / スレッド数22
  • * 検証では、仮想メモリーの大きさをコンピューター上のメモリーの3倍の大きさにし、初期サイズと最大サイズは同じにする。
  • * グラフィックスの基本設定を高パフォーマンスに設定。設定―システム―電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定。
  • * 各計測作業前には必ずシャットダウンし、再起動する。LANケーブルは接続せず、ウイルスソフトなどほかのアプリケーションが起動されていないことを確認する。

使用する部品

構成部品の合計数5,215
部品4,360
ユニークな部品265
サブアセンブリ855
ユニークなサブアセンブリ80

一連の操作時間比較

mm:ss
 ZBook 8 G1ak
14インチ
ZBook Firefly
14インチ G10
ZBook Power
16インチ G11
ZBook Power
16インチ G11 A
ソフトウェア起動(1回目)0:070:110:080:09
ソフトウェア起動(2回目)0:050:100:070:07
アセンブリファイルを開く0:160:160:160:18
部品ファイルを選択0:010:010:010:01
部品ファイルを開く0:020:010:020:02
部品ファイルを編集0:060:070:070:08
フィーチャ再構築0:060:070:070:08
アセンブリファイル再構築0:070:070:080:13
アセンブリファイル保存0:270:270:250:29
干渉チェック1:381:331:351:49
アセンブリファイル保存0:010:010:010:01
標準三面図+等角投影図作成0:090:080:130:09
平面図削除0:010:010:010:01
作図スケール変更0:100:090:100:09
断面図作成0:150:170:190:21
アセンブリファイル編集0:010:010:010:01
図面ファイル更新0:090:090:110:12
図面ファイル保存0:050:050:050:05
アセンブリファイル保存0:010:010:010:01
全てのファイルを閉じる0:070:060:070:07
ソフトウェア終了0:020:020:040:02
合計3:564:004:094:33

考察

今回の検証結果から、HP ZBook 8 G1ak(14インチモデル)は、コンパクトな筐体ながらCAD設計業務に必要な性能をしっかり備えたモバイルワークステーションであることが確認できた。

内蔵グラフィックスのAMD Radeon 860Mを搭載しているため、専用GPUを持つモデルに比べてコストを抑えつつ、中小規模の設計や基本的なCAD操作に十分対応できる。さらに、Autodesk Inventorのようなシングルスレッド処理が多いアプリケーションでは、CPU性能を生かして高いパフォーマンスを発揮するため、CPU重視の設計者にも適している。

総じて、モバイル性と性能のバランスに優れ、サブ機としてだけでなく、軽量な設計業務を中心に据えるメイン機としても十分活躍すると思われる。コストパフォーマンスと携帯性を重視する製造業の設計者やエンジニアにとって、ZBook 8 G1akは非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。

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