SoundPLAN劇場 ~音の話~ 第1回 音の回折

SoundPLAN劇場第1回は「音の回折」についての話です。ディズニーランドに行ったおとくんとお父さん。その帰り道、高速道路を走っている最中、おとくんは騒音について興味を持ちました。

高速道路の両側にある防音壁。音は壁の外側には伝わらないのでしょうか?

お父さん、昨日のディズニーランドの帰りに高速道路走って帰ってきたでしょ。そのとき、両側に壁があるところがあったけど、あれは自動車の騒音のためにつけてあるんでしょ?

そうだよ。昨日は首都高速を走ったけど、自動車の騒音が道路の周辺のビルや住宅へ影響するのを軽減するために道路の端に防音壁を設置しているところがあるんだよ。

防音壁があるとどれぐらい効果があるの?

これは難しい質問だね。じゃ、少しずつ説明してあげるね。防音壁を立てても騒音はなくならないよね。防音壁がないと見えている自動車が壁を立てて見えなくなっても、音は小さくなるけど聞こえてくるよね。こういうふうに音が廻りこんでくる現象を「音の回折」っていうんだ。光は障害物があるとその裏側に光は廻りこんでこないけど、音は障害物があっても廻りこんでくるんだよ。

太陽や蛍光灯の光を遮ると影がはっきりできるのと同じことでしょ。でもなぜ、光は廻りこまないのに音は廻りこむの?

実はそこがポイントなんだよ。光も音も波だということは知っているよね。光は音の100万分の1ぐらいの波長なんだよ。光の波長は、1mmの1000分の1より短いから、人間の身の回りにあるものの寸法に比べるとはるかに短いだろう。だから、物体にあたるとその裏側は影になるんだよ。髪の毛一本だと光も廻りこんで影はできないかもしれないけどね。

じゃあ、音は1000分の1の100万倍だと、1000mmだから波長は1mってこと?

波長が1mの音の周波数は約300Hzで女性の声の平均的な周波数に相当する波長ということになるんだよ。人間が聴いたり見たりする音や光の波長はそれぞれ幅があるんだ。光は1mmの1000分の1より短いって言ったけど、正確には可視光は、0.4~0.8μmで、虹の7色といわれる赤から紫までがその間にある色ということになるんだ。音は前に話したと思うけど、可聴音の周波数は20Hz~20kHz。これは波長にすると17mm~17mになる。音は1秒間に約340m進むのは知ってるだろ?1秒間に1回振動するのが1Hzだから、1Hzの音の波長は、340m、10Hzだと34m、10kHzだと34mmということになるんだよ。

可視放射の波長:400nm~800nm
4.0×10-4mm~8.0×10-4mm
可聴域の音の波長:17mm~17m
1.7×101mm~1.7×104mm
  • * 10の5乗から8乗、つまり100,000倍~100,000,000倍ほど波長の長さは違う。

そうか、音の波長は長いから障害物があっても廻りこむんだね。

そのとおり、ただ音は光に比べれば波長は長いけど、短い波長、すなわち、高い周波数の波長はせいぜい数cmから数10cmだから、数mのの寸法の防音壁だと光と同じように、防音壁の裏側は影になって音は届いてこないんだ。

なるほど、分かったよ。逆に低い周波数の音は数mあるから、壁の寸法より大きくなって壁を乗り越えて裏側に廻りこむってことでしょ。

そのとおり。だから防音壁を設置しても、低いゴーという音はあまり低減されず、低音域の音に対しては効果が少ないんだよ。ただ、自動車から発生する騒音は普通、人間の耳の感度が1番良い2kHzに山があるような周波数特性をしているんだよ。そのあたりの周波数には防音壁は効果があるから、高速道路のように大きな騒音が出て、周りにビルや住宅があるところには多く使われているんだ。防音壁を設計するときはその場所での騒音の周波数特性を把握して、その特性に対してビルや住宅などの受音点で防音壁の効果がでるように検討するんだよ。受音点での騒音レベルは環境基準という国が定めた騒音規制で、ここまでに押さえることが望ましいという基準が決められているから、それを超えないための防音壁の設計が必要になるんだ。

資料提供:株式会社 小野測器

株式会社 小野測器 身近な計測-音の回折

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日常は音に満ちあふれています。そして、出す人・聞く人各々の立場により異なる感情を巻き起こします。特に社会(経済)活動を通じて発生する音は直接的にその恩恵を被る人たち以外から「騒音」というレッテルを貼られ、時に争いが生じることさえあります。このような事態を防ぐためには、あらかじめ騒音推計を行い、適切な判断・手段により対策を講じる必要があります。

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