グラフィソフトジャパン株式会社はARCHICADやSolibri Model Checkerなど代表的なBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトを販売している。同社でソフトの導入支援やトレーニング、日本向けのカスタマイズなどを担当する桐木 理考氏は日本ヒューレット・パッカードのワークステーション「HP Z220SFF」の大塚商会セレクトモデルを活用。住宅の意匠設計から20万m2級ビルの「フルBIM」まで幅広い業務を行うARCHICADユーザと同様の環境を再現しながら、スムーズかつ迅速なサポートを行っている。
BIMソフトArchiCADの導入支援やサポート、日本向けカスタマイズにHPワークステーションをフルに活用
グラフィソフトジャパン株式会社
導入事例の概要
導入のねらい
BIMソフトの導入支援やサポート、カスタマイズ業務の効率化。
導入システム
HP Z220SFF Workstation 64bit OS・SRT 省スペースモデル
導入効果
サポートやカスタマイズ作業の品質向上と円滑化を実現。
サポート業務にHP 220SFF大塚商会セレクトモデルを活用
使いやすさで定評のあるARCHICADはBIMという言葉が存在しなかった1996年に日本語版が発売された。以前は住宅や小規模のビルなどの設計に使われることが多かったが、2010年に64ビット版の「ARCHICAD 14」が発売されて以降、大型の建築プロジェクトにも盛んに使われている。
現在の最新版は「ARCHICAD 16」だ。同社でプロダクトマーケティングを担当する桐木氏が使っているワークステーションは日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)のHP Z220SFFワークステーション(以下、Z220SFF)をベースに、BIMソフトのパフォーマンスと導入コストのバランスに優れた構成をカスタマイズした大塚商会セレクトモデルだ。
コンパクトなボディーにもかかわらずCPUにはインテル Xeon プロセッサE3-1225 v2 3.2GHz(Quad Core)、グラフィックボードにはNVIDIA Quadro 600(1GB)、メモリは8GBのDDR-3 SDRAM(4GB×2)を搭載した本格派マシンだ。データ保存用には500GBのハードディスクと24GBのSSDを内蔵。「SRT(Smart Response Technology)」によりSSDでキャッシュを行うので、一度起動させたソフトは素早く再起動できるなど、入出力速度が速いSSDと大容量データを保存できるHDDの長所を両立させられるのが特徴だ。
「例えば20万m2級ビルで『フルBIM』を行ったプロジェクトでは、意匠、構造、設備を一つのBIMモデルに統合し干渉チェックや検証を行いました。そのプロジェクトをチームワークとして使用した場合の総データ量は10GBを超えるほどです。」とグラフィソフトでプロダクトマーケティングを担当する桐木理考氏は説明する。「これだけ大きなBIMモデルになると、データの扱いは高性能のCPUやグラフィックボード、そして大容量のメモリを搭載したワークステーションでないと難しくなります。」
Z220SFF大塚商会セレクトモデルは最大32GBまでメモリを拡張できるので、もっと大きなBIMモデルにも対応できる余地を残している。
プロダクトマーケティング
桐木 理考氏
「20万m2級ビルで『フルBIM』を行った場合BIMモデルのデータ量は10GBを超えるほどです。これだけのデータを扱うためには高性能のCPUやグラフィックボード、大容量のメモリを搭載したワークステーションでないと難しくなります。」
他社ソフトとのデータ交換機能の開発もスムーズに
ARCHICADはグラフィソフトの本社のあるハンガリーで開発されている。しかし、日本向けの機能を開発したり日本の建築設計の実務に合わせてカスタマイズを行ったりするのは桐木氏ら日本のスタッフが担当している。HP Z220SFF大塚商会セレクトモデルはこうした作業にも使われている。
グラフィソフトは「OPEN BIM」というBIM戦略をとっており「IFC形式」というBIMデータ交換標準を積極的に採用。ほかのBIMソフトベンダーが提供する企画や詳細構造設計、設備設計などのソフトとの間でデータ交換をスムーズに行えるように日々開発を進めている。桐木氏の仕事はまさにこの「OPEN BIM」戦略を支えるものだ。パートナー企業と連携して日本向けツールの開発や他社ソフトとのIFC形式によるデータ交換機能の向上も担当している。
「日本の建築基準法に基づいた斜線制限の検討ツールなどを開発する時は、建築設計実務者の声を聞きながら製品に反映していく必要があります。」と桐木氏は言う。ユーザにとって使い勝手のよいツールを開発するためには、建築実務を知っていることが必要だ。グラフィソフトでは社員の約4分の1が建築出身者だという。
桐木氏自身は京都工芸繊維大学で建築情報を専門とする研究室で学んだ。在学中には遠隔地にいる複数の設計者がコラボレーションしながら設計するために必要な情報について研究したり、ARCHICADの入門テキストである「ARCHICADMagic」を執筆したりした。グラフィソフトに入社したのは2006年だ。BIMが日本で知られるようになるずっと前から実質的にBIMと同じような設計のワークフローや方法論を追求していたことになる。
ARCHICADユーザにも好評なデザイン
ARCHICADはもともとMac版が最初に開発されあとに Windows 版が開発された。そのため、今もMac版を愛用するユーザは多い。そのためか Windows 版のユーザでもパソコンやワークステーションのデザインにこだわる人は多い。HP Z220SFF大塚商会セレクトモデルの筐体(きょうたい)は非常にコンパクトで、一般的なタワー型のワークステーションに比べると体積はわずか3分の1程度だ。この大きさなら、設計者のデスク周辺の雰囲気を壊さない。
「日本HPのワークステーションはMac版ユーザから見ても受け入れられるデザインのものが多くあります。」と桐木氏はデザイン面でも評価する。グラフィソフトは2012年、さまざまなBIMソフトで作られた建物のモデルデータを同時に読み込み、BIMモデルデータが正しく作られているかどうかをチェックする「Solibri Model Checker」というソフトを発売した。
ARCHICADのオリジナルデータのほか、IFC形式でさまざまなBIMソフトで作ったモデルデータを読み込める。OPEN BIM戦略を実践するグラフィソフトらしい製品だ。「例えば、車イスの人が通路や開口部を通過できるようになっているか、トイレなどに洗面台や便器などの機器が必要な数だけそろっているか、オフィスの従業員1人当たりの床面積はどうか、といったさまざまな空間的なチェックを行うことができます」と桐木氏は説明する。
ARCHICADの普及とともに、Solibri Model Checkerのニーズも増えている。これまでパソコンを使ってきたBIMユーザも、そろそろHP Z220SFF大塚商会セレクトモデルのようなワークステーションへの乗り換えを検討するべき時期ではなかろうか。
ワークステーションならではの安心感が生産性を上げる
グラフィソフトの東京オフィスには25台ほどのパソコンが稼働しているという。大きなプロジェクトでARCHICADを使うユーザからの問い合わせに答えるためには、ユーザと同じ環境のパソコンを用意しておく必要があるからだ。「ARCHICADなどのソフトやOSのバージョンが違っても対応できるように10年ほど前の古いパソコンやWindowsXPをインストールしたパソコンなど、社内ではさまざまなマシンが稼働しています。
日本HPは何かトラブルがあった場合でも、問い合わせにすぐ答えてくれ、修理が必要な時も翌日に来てくれます。また、新しいワークステーションを発注する時も納期が早いのですぐに使えるのがいいですね。日本HPのワークステーションは安心して使えます。」と桐木氏は語る。HP Z220SFF大塚商会セレクトモデルはワークステーションならではの安心感をユーザにもたらし、業務の生産性向上を実現させる原動力となっているようだ。
グラフィソフトジャパン株式会社
業界 | ソフトウェアベンダー |
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事業内容 | ARCHICADやSolibri Model CheckerなどBIM関連ソフトの開発・販売・サポートなど |
従業員 | 21人(2012年8月現在) |
サイト | http://www.graphisoft.co.jp/ |