Autodesk社が3D CADソフトウェア「Autodesk Inventor 2024」を発表

2023年 4月10日

Autodesk社 2023年3月29日

2023年3月29日 ― Autodesk社は2023年3月29日、同社製3D CADソフトウェアの最新版となる「Autodesk Inventor 2024」を発表した。

Inventorはユーザーの提案により、過去1年間で100以上の機能強化が行われており、最新版となるInventor 2024には設計体験を向上させるための新機能と機能強化が多数導入されている。 また、設計を製造に効果的に伝えるためにはドキュメントが不可欠であるため、2D図面だけでなく3D注記の機能も強化されている。さらに、大規模で複雑な設計にはパフォーマンスが非常に重要であることから、エンジニアリングワークフローを迅速化するための取り組みを継続して実施している。

Inventor 2024で行われた機能強化は主に次のとおりとなっている。

一般的な機能強化

断面図

断面図定義は、デザイン ビュー リプレゼンテーションに保持される。ビュー リプレゼンテーション ノードを右クリックすることで、簡単に断面図を編集したり、断面図を省略することができる。また、断面図の平面をドラッグ中にエンドキャップのプレビューを制御することができる。アセンブリのパーツ数が500を超える場合は、エンドキャップはデフォルトで非表示となる。

グラフィックス

これまで、Inventor Studioのレンダリング出力は4096x4096ピクセルだったが、この制限がなくなり、グラフィックスカードがサポートする解像度に応じて16Kx16Kまでのイメージをレンダリングできるようになった。

カスタム環境イメージのサポート

IBL照明スタイルを使用してカスタムHDRおよびEXRイメージを使用するワークフローが大幅に改善され、CPUおよびGPUレイトレーシングの両方でサポートされるようになった。

IBLバックグラウンドのサポート

GPUレイトレーシングで、IBLバックグラウンドを使用したレンダリングがサポートされるようになった。

直交面でパース投影

ドキュメント設定とアプリケーションオプションの両方で、直交面でパース投影をデフォルトのビューとして設定できるようになった。

パーツモデリング機能の強化

パラメーターウィンドウ

パラメーターウィンドウは、ユーザーパラメーターセクションのテキストやブールパラメーターにエクスポート機能を提供するもので、これらのテキストなどをライブの説明として挿入できるiPropertiesなどのほかの場所のパラメーターにアクセスしたり、カスタムのiPropertiesタブに表示することができる。

マーク機能

昨年、Inventor 2023で導入されたマーク機能は、3Dモデルにレーザーエッチングやマークを付けることができるものであるが、Inventor 2024では、プロパティパネルに動作が追加され、機能が強化された。3方向にエッチングできることに加え、二つのマーク方法が追加されている。

プロジェクトでは、パス内の全ての面に(共有面でなくても)マークが適用される。また、マークをラップする機能も追加されており、マークをコーナーでラップさせたり、シャフトやシリンダーなどの曲線形状に適用できるようになった。

方向付けされた最小の境界領域オプション

方向付けされた境界領域の最小値を使用して、ソリッドボディを派生できるようになった。派生パーツ、派生アセンブリ、パーツを作成のダイアログのオプションタブに、方向付けされた最小の境界領域オプションが追加された。デフォルトでは、このオプションにはチェックが入っている。直交境界領域を持つボディを派生させる場合は、ボックスのチェックを外す。

新しい仕上げフィーチャー

新しく追加された「仕上げ」フィーチャーを使用すると、部品やアセンブリのモデルで外観や製造プロセスを指定できる。材料コーティング、熱処理、表面テクスチャ、塗装色が適用される場合に豊富なデータが提供される。仕上げフィーチャーはモデル状態でサポートされ、3Dモデルのプロセスの変更が維持される。

3D注記機能の強化

モデルベースの定義

Inventor 2024では、モデルベースの定義に関する機能が新たに強化されている。直線寸法を適用する場合、エンベロープ要件として指定できるようになった。また、注釈の尺度が拡大され、1:5の尺度が追加された。

平面サーフェスのプロファイルに注記を付ける場合の注記オプションに「全体」が追加された。さらに図面環境では、アセンブリファイルに含まれるパーツから3D注記を抽出する機能が追加された。この機能は、3D注記タブに切り替えて、ソースを選択するだけで使用できる。

溶接記号

注記リボンに溶接記号のオプションが追加され、設計に溶接PMI情報を追加することができるようになった。ダイアログは図面環境とほぼ同じで、溶接記号を柔軟に使用することができる。もちろん、この注記を図面環境に反映させることができる。

3D溶接記号は、通常のアセンブリやマルチボディパーツファイルでもサポートされているため、溶接アセンブリの作成は必要ない。また、QIFやSTEP 242を使用すると、この情報をほかのシステムやビューアーにエクスポートすることができる。

図面機能の強化

改訂雲

改訂雲マークは本格的なInventorオブジェクトであり、SDKには含まれなくなった。図面シートやビューへの追加や移動、頂点の追加や削除ができ、ほかの注記スタイルと同様にスタイル エディターを使用して書式設定を管理することができる。スケッチベースであるため、雲状態でもスケッチからでも編集が可能となっている。

エッジ記号

ISO 13715:2019規格に基づいてエッジ記号を定義できるようになった。新しいエッジ記号コマンドは、注記タブの記号パネル、ならびに図面スタイルと規格エディターに追加されている。

チューブ&パイプ

旧バージョンのInventorでは、45度または90度のエルボをリジッドパイプ配管に追加することのみが可能だったが、今回のリリースからはカスタムの角度のエルボを適用できるようになった。

iLogic Vaultのワークフローの強化

Inventor 2024では、Vaultによる作業がかつてないほど簡単になった。iLogicに追加された新しい機能により、Inventorでは自動化の一部として、チェックアウト、ファイルの取得、Vaultの検索などを実行することができる。エディターに追加されたVaultのコードスニペットを使えば、すぐに使い始めることができる。

Fusion 360の相互運用性

Fusion 360ツールに手動検査へのアクセスが追加された。

Inventorからパーツ(.ipt)ファイルをFusion 360に送信して、手動検査タスクを作成することができる。

Fusionのエクスポートワークフロー

Fusion 360のエクスポートに使用するInventorモデルの状態またはデザインビューに変更があった場合に、エクスポートコンテキストメニューで [Fusion 360 で開く] をクリックすると、Inventorモデルと Fusion 360モデルが同期されていないことが通知され、Fusion 360モデルを開く前に更新オプションが表示される。

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