Abaqusでゴムの解析をしてみよう
ゴムの特徴を理解して解析に生かす
ゴム材料はタイヤやシール材などさまざまな場面で使用されていますが、非線形性が強いため構造解析を行うことは簡単ではありません。
Abaqusにはゴムの解析を行うために、さまざまな機能が用意されています。その一部の機能をご紹介します。
ゴムの解析はなぜ難しいか
ゴムの解析を行う場合、固体力学で取り扱う非線形問題を全て同時に考慮しなければならないことが多く、計算が複雑になります。
材料非線形
応力とひずみの関係が非線形関係にあり、圧縮と引張で大きく特性が変わる。
幾何学的非線形
数百%を超えるような大ひずみの問題を解く必要がある。
境界非線形
部品の間に挿入されて使用されることが多く、接触現象を解く必要がある。
ゴムの材料の特徴
ゴムはよく伸びると同時に、変形に伴って体積がほとんど変化しない(非圧縮性)という性質を持っています。このため、ひずみエネルギー密度関数を使用した材料モデルを使用します。
Abaqusで使用できる材料モデル
- Mooney-Rivlin
- Neo Hooke
- Yeoh
- Ogden
- Marlow
- Arruda-Boyce
- Van der Waals
ゴムの試験
ひずみエネルギー密度関数の各種定数の値は材料試験データからカーブフィッティングして算出します。
一般的には以下に示す三つの試験が必要です。
単軸引張り
横方向を拘束せず単軸方向に負荷をかける。
平面引張り(純せん断)
横方向を完全に拘束し単軸方向に負荷をかける。
2軸均等引張り
縦方向と横方向を等しく引っ張る。
要素の選択
Abaqusのゴムの解析では形状に応じて複数の要素を使い分けることができます。ひずみが大きくなるため3次元ソリッド要素では6面体低減積分要素の使用が推奨されています。
ゴム解析の注意点
ゴム材料は大ひずみ、接触、減衰など一般的な構造解析とは異なる特徴を持つため、ゴム解析に応じた解析テクニックが必要です。
例えば、次のようなテクニックがしばしば有効となります。
- メッシュがどのようにひずむのかを予想してメッシュを作成する。
- 不安定な問題にはRIKS法が有効な場合がある。
- 静的に解かずに動解析を行うとよいケースがある。