Inventor Nastranで振動解析をしてみよう

キャビネットの振動を解析

Autodesk Inventor Nastranには、過渡応答解析、周波数応答解析、ランダム応答解析、応答スペクトル解析などの動解析の機能があり、動的な荷重を基にした構造物の振動計算ができるようになっています。

今回はキャビネットの振動をInventor Nastranで解析をした例をご紹介します。

問題

図1に示すようなキャビネットに対して振動解析を実施します。荷重は変位、速度、加速度などの値を過渡応答解析の場合は時刻歴荷重で入力し、周波数応答解析の場合は任意の周波数範囲を指定して設定します。

図1:キャビネットモデル

要素作成

キャビネットの側板や背板などはキャビネットの大きさに対して板厚が薄いため、シェル要素を用いると計算コストを下げることができます。

Inventor Nastranでは、シェル要素とソリッド要素を混在させて計算させることができるため、図2の有限要素モデルでは半透明の部分がシェル要素になっています。鋼材のフレームはソリッド要素になっています。

図2:有限要素モデル

固定方法

キャビネットのベース部分が地面に固定されている場合、図3のようにアンカーボルト穴などを完全固定します。

図3:ボルト穴の固定

固有値解析

動解析を実施する前に、キャビネットの共振周波数(固有値)を確認するため、固有値解析を実施します。固有値解析では加振条件は入力せずに、キャビネットの共振周波数と共振モードを確認できます。

  • 図4:固有値解析結果(1次モード73Hz)

  • 図4:固有値解析結果(2次モード80Hz)

  • 図4:固有値解析結果(3次モード97Hz)

周波数応答解析

今回は動解析のうち周波数応答解析を実施してみます。荷重はキャビネットの左右方向に2Gの大きさの加速度をSin波で設定します。Sin波は5Hzから150Hzまで周波数を変化させることとします。

解析結果

周波数応答解析の結果として80Hzで共振が起こり、最大で3mmの変位が生じることが分かりました。周波数応答解析では応力値や変位などが荷重の周波数の違いによってどのように変化するか確認できます。

  • 図5:振動解析の結果(Von Mises応力分布)

  • 図5:振動解析の結果(合成変位分布)

図6:振動数と最大変位の関係

まとめ

Inventor Nastranによるキャビネットの振動解析の事例をご紹介しました。振動試験を行う前に構造物の変位や応力などの予測ができれば、強度不足による手戻りの削減に効果的です。Inventor Nastranの振動解析をご活用ください。

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