Inventor Nastranで構造物の疲労寿命を解析をしてみよう

自転車用フロントフォークの疲労解析事例

製品が繰り返し荷重を受ける場合、単一荷重よりもはるかに低い応力で破損する可能性があります。この現象を「疲労」と呼び、製品の耐久性を評価するためには疲労解析が重要です。

今回は、Inventor Nastranを用いた自転車用フロントフォークの疲労寿命解析例をご紹介します。

問題

本解析では、図1に示す自転車用フロントフォークの「フォーククラウン」と呼ばれる部分を対象とします。フォーククラウンは、左右のフォークチューブとステアリングコラムをつなぐ重要な部品であり、大きな荷重を受ける場所でもあります。

図1:フロントフォークモデル

解析条件

図2で示すステアリングコラムをつなげる中央の穴には、下方向荷重を作用させます。フォークチューブとの取り付け穴2カ所を固定条件として設定します。

  • 図2:荷重と拘束箇所(荷重箇所)

  • 図2:荷重と拘束箇所(固定箇所)

S-N曲線の設定

S-N曲線(またはS-N線図)は、材料の疲労破壊において、一定の振幅で繰り返し負荷される応力と破断までの負荷の繰り返し数の関係を示した曲線です。Inventor Nastranでは、図3のような入力画面でパラメータを設定することで、図4のようなS-N曲線を作成できます。

図3:S-N曲線の定義画面

図4:作成されたS-N曲線

線形静解析の結果

疲労解析を実施すると線形静解析の結果も出力されます。この事例では、荷重を加えた中央の穴に高い応力が発生することが確認されました。

  • 図5:線形解析結果:Von Mises応力分布

  • 図5:線形解析結果:変位分布

疲労解析の結果

線形静解析の結果とS-N曲線を比較することで、疲労寿命を計算することができます。

解析結果の図6では、フロントフォーク全体の疲労寿命分布が色分けで表示されています。プローブ機能を用いることで、任意の箇所における寿命回数も確認できます。

図6:疲労寿命分布

まとめ

Inventor Nastranは、低サイクル疲労と高サイクル疲労の両方に対応した高度な疲労解析ツールです。部品や構造物が繰り返し荷重に耐えられるかどうかを評価できるため、製品の寿命を予測した適切な設計ができるようになります。

ぜひ、Inventor Nastranの疲労解析をご活用ください。