点群データをクラウドで自動3Dモデル化する、InfiPoints Cloudとは

保守契約によるクラウド活用のメリット

InfiPoints Cloudは、クラウド上で点群データの処理・活用・共有を可能にするサービスです。これまで専用ソフトや高性能なPCが必要だった作業を、ブラウザーだけで誰でも簡単に行えるのが大きな特長です。InfiPoints Cloudとは何か? InfiPoints Cloudでできることなどをご紹介します。

点群データとは

点群データとは、レーザースキャナーやフォトグラメトリなどの技術を用いて、対象物の表面を多数の点(ポイント)で記録した3次元データです。空間上の座標(X、Y、Z)を持ち、場合によっては色情報や反射強度も含まれます。

建築・土木・製造業などの分野では、現場の正確な形状をデジタルで再現するために広く活用されています。

スキャナー普及に伴う課題

近年、3Dスキャナーの高性能化と価格低下により、点群データの取得が一般化し、多くの企業が導入を進めています。

しかし、取得される点群データは非常に大容量であり、その後のデータ統合(合成)・ノイズ除去・3Dモデル化といった工程には、高性能なワークステーションと専門的な知識・スキルが求められます。さらに、処理にかかる時間も少なくありません。その結果、取得した点群データを十分に活用できていないケースが多く見られます。

一部の企業では、点群データの取得後に行う3Dモデル作成や加工処理を外部に委託していますが、高額な外注コストと長納期が課題です。特に中小~中堅規模の建設・製造業においては、コスト負担が大きく、点群処理の内製化に対するニーズが高まっています。

課題解決に貢献するInfiPoints Cloud

InfiPoints Cloudは、点群データの処理・活用・共有をクラウド上で実現するブラウザーベースの点群処理プラットフォームです。従来、点群データの処理には高性能なワークステーションや専用ソフト、専門知識が必要でしたが、InfiPoints Cloudは、こうした環境構築やスキルに依存せず、誰でも点群データを扱えるようになります。

クラウドベース

ソフト不要・PCスペックに依存しない

自動処理

ノイズ除去・位置合わせ・3D化が自動

共有が簡単

URL送信だけで関係者と情報共有

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自動3Dモデル化の流れ

従来は複数の工程と高度な操作が必要だった作業が、自動化とクラウド処理により大幅に効率化・短縮されます。

  1. 点群データの取得・合成

    3Dスキャナーの付属ソフトウェア(FARO SCENEやCyclone REGISTER 360など)で点群データの合成を行い、E57形式などの点群データファイルに出力します。

  2. InfiPoints Cloudにアップロード

    E57ファイルをクラウドにアップロードするだけで、次の処理が自動で実行されます。

    ノイズ除去/フィット処理(形状フィッティング)/平面・円柱の抽出/描画用点群の作成

  3. InfiPoints本体で詳細作業

    InfiPoints(パッケージ版)で3Dモデリング、CAD図面作成、干渉チェック、寸法解析などを行います。

  4. 3DモデルのCADソフト連携

    作成した3Dモデルは、RebroやAutodesk Revitなどの主要3次元CADと連携でき、既存の設計・施工フローにスムーズに組み込めます。

対応CAD出力形式

建設、設備プラント系
  • Rebroファイル(*.Rebro Link From InfiPoints)
  • CADWe’ll Tfasファイル(*.iptf)
  • Revitファイル(*.iprvt)
  • EYEpointsファイル(*.xml)
  • IFCファイル(*.ifc)
機械系
  • IGESファイル(*.igs、*.iges)
  • STEPファイル(*.stp、*.step、*.stpZ)
  • STEP BOMファイル(*.stpx、*.stpxZ)
その他
  • FBXファイル(*.fbx)
  • 3D PDFファイル(*.pdf)

保守サービスご契約で標準機能を使用できます

2025年5月に実施されたメジャーアップデート以降、InfiPoints Cloudは、InfiPoints年間保守サービス契約ユーザー全員に標準機能として提供されるようになりました。既に保守契約を締結されているユーザーは、InfiPointsを最新バージョンにアップデートするだけで、InfiPoints Cloudの機能をすぐにご利用いただけます。

2025年4月以降の変更点Rebro連携やRevit連携のオプション、プラグインオプションがInfiPoints本体の標準機能に
2025年5月以降の変更点InfiPoints Cloudが保守ユーザー向け標準機能に

InfiPoints Cloudの導入が有効なケース

次のような課題をお持ちのお客様に、InfiPoints Cloudは特に有効です。

  • InfiPointsの稼働率を上げ、点群処理の効率をさらに高めたい。
  • 重たい点群データの送受信に時間と手間がかかっている。
  • 多数の関係者とスキャン現場の情報を共有したいが、相手に高スペックPCがない。

InfiPoints Cloudは、こうした業務上の障壁を解消し、点群データの活用をより実践的で柔軟なものにします。

導入による業務改善とコスト削減効果

設計・施工への活用

設計施工部門では、点群から生成された3DモデルをそのままBIMソフトウェアに取り込むことで、改修設計や干渉チェックがスピーディーに行えます。現況の正確な把握により、施工ミスの防止や工程管理の精度向上も期待できます。

外注から内製化への移行

InfiPoints Cloudの導入は、これまで外注していた点群処理の一部を社内で完結し、外注費の削減につながります。スキャンデータの即時活用やフィードバックの迅速化も大きなメリットにつながります。

導入のための確認ポイント

InfiPointsおよびInfiPoints Cloudのメリットを最大限に活用するには、事前のシステム連携確認が重要です。

まずは、ご利用中の3Dスキャナーおよび付属ソフトウェアの点群出力形式、さらに、連携を想定している3次元CAD(Rebro、Revitなど)との互換性をご確認ください。特に、点群データからCADへのスムーズな連携は、業務フロー全体に大きく影響するため、ワークフロー設計や導入前のテスト運用(PoC)を行うことを強く推奨します。

大塚商会では、点群ソリューションに関する総合的なご相談を承っています。スキャナーの選定から、点群処理、CAD連携、業務への適用まで、導入前後の各フェーズでサポートが可能です。

点群処理の未来展望

今後は、AIによる設備・構造物の自動認識技術の高度化や、BIM/CIMとの統合運用がさらに進展すると見込まれています。これに伴い、点群データはこれまでのような「現場の記録情報」にとどまらず、設計・施工・維持管理を支える中核的なデジタル資産としての役割を担うようになるでしょう。