設計者の必須アイテムSOLIDWORKS Simulation Standardの機能をご紹介

製品の強度・動きを解析にかけて、品質に差をつけよう

製品設計において単純な強度だけでなく、繰り返し使用されることによる疲労に対する強度も重要な検証項目です。特に機械的な動きを伴う製品は、意図した動きを再現できる設計となっているかの検討が必要です。

SOLIDWORKS Simulation Standardは、これらの問題を解決する線形静解析、高サイクル疲労解析、機構解析(SOLIDWORKS Motion)を実行することができます。その一部をご紹介しましょう。

線形静解析と疲労解析で長期使用を考慮した強度評価を

線形静解析は一定荷重下に置かれた解析対象の応力や変位の分布を求める解析で、製品の安全評価に広く用いられます。

解析により求められた応力と材料の応力限界を比較し安全評価をしますが、仮に応力限界よりはるかに小さい値であっても解析対象が繰り返し荷重を受ける場合は注意が必要です。

解析対象が繰り返し荷重を受けるとき、時間と共に弱くなっていくことが観測され、これは疲労現象として知られています。疲労現象に関する事故はさまざまなケースで発生しており、多くの場合金属製品の破壊における主要原因の一つです。

線形静解析と疲労解析

次に示すようなバスケットボールリンクは、繰り返しの荷重を受けるため応力集中による破壊の評価だけでなく疲労の評価も必要です。

SOLIDWORKS Simulationによる解析結果

線形静解析より荷重を受けた際の応力分布、変位分布を確認できます。線形静解析の結果を用いて疲労解析を実行することにより、疲労破壊に至るサイクル数の分布を確認できます。

線形静解析の結果より、応力の最大値は487[MPa]と降伏応力505[MPa]を下回っています。しかし疲労解析の寿命結果により、サイクル数23,574回で疲労破壊すると予想される箇所が見られ、設計仕様の30,000回を満足しない結果となります。この結果より設計変更の必要性が分かります。

製品の動きをチェックしたいときは機構解析を実行しよう

機構解析(SOLIDWORKS Motion)は、動力を受けたときの機械の運動を予測する解析で、次のようなことが実施できます。

  • モーター、アクチュエーターなどの駆動力の計算
  • スプリング、ダンパーの最適化
  • 動的な干渉チェック
  • 摩擦力の検討
  • カム形状の検討
  • 構造解析のための正確な荷重条件の算出
  • 動作確認

設計者は合致条件を施したSOLIDWORKSのデータに対し直接に機構解析を実行でき、試作品を作らずに適切な機構設計がされているかを検証できます。

機構解析

次に示すようなバルブカムの機構解析を実施することにより、カムに作用する接触力を評価し、ばね定数の最適化を図れます。

SOLIDWORKS Simulationによる解析結果

それぞればね定数が0.1[N / m]、1[N / m]の場合におけるバルブの動きとカムシャフトとロッカーアーム間の接触力の経時変化を動画でご確認ください。

ばね定数が0.1[N / m]では、ばねが弱いためバルブが閉じるタイミングでロッカーアームとカムシャフトが離れ接触力がゼロになっています。一方、ばね定数を1[N / m]にすれば、ロッカーアームとカムシャフトは常に接触しており、接触力も3.2[N]から32[N]に向上することが分かります。