2D簡略化を活用し計算コストを低減しよう

2次元形状での解析で得られるメリットとは

2D簡略化は3次元(3D)形状から断面を抽出し、2次元(2D)形状により解析をする機能です。その結果、3D形状による解析と同等の正確な解が得られるうえに、解析領域が小さくなるため拘束条件が検討しやすくなる、解析に要する時間が短くなるという利点があります。

ただし、これは2D簡略化を正しく適用した場合になります。2D簡略化を考慮する際は形状、適用される荷重、拘束、および接合が特定の条件を満たす必要があります。次にSOLIDWORKS Simulationにおける2D簡略化のタイプを示します。

2D簡略化のタイプ

1.平面応力

平面応力は薄板形状に適用します。力と拘束が断面平面内だけに作用し、面外応力はゼロに等しいと仮定されます。平面応力は静解析、非線形解析で使用できます。

図1に平面応力によるボルトを締めるレンチの静解析を一例として示します。

図1:平面応力によるレンチの静解析

2.平面ひずみ

平面ひずみは等断面形状で断面の左右に厚みが非常に大きい場合に適用します。断面平面内の荷重を受け、長手方向には変形せず、ひずみはゼロとみなされます。平面ひずみは静解析、非線形解析で使用できます。

図2に平面ひずみによる水圧を受けるダムの静解析を一例として示します。

図2:平面ひずみによるダムの静解析

3.軸対称

形状が軸回りの断面を回転することで作成され、荷重、拘束、接合条件が軸に対して対称である場合に適用します。変形は断面平面内だけに生じ、円周方向の変位はゼロとみなされます。軸対称は静解析、非線形解析、熱解析で使用できます。

図3に軸対称による内圧を受ける圧力容器の静解析を一例として示します。

図3:軸対称による圧力容器の静解析

接触解析の例

2次元解析は計算時間が長くなる接触を含む問題に対し特に有効です。

図4に示すゴムパッキンを含むふた付き容器の静解析、図5に示すラッチ動作の非線形解析例を示します。これらの解析はそれぞれ軸対称、平面応力問題として簡略化することができます。

図4:ゴムパッキンの解析例

図5:ラッチ動作の非線形解析

2D簡略化のまとめ

SOLIDWORKS Simulationの2D簡略化は、平面応力、平面ひずみ、軸対称があります。これらの簡略化が可能な条件であれば、要素、節点数を大幅に減らし計算コストを低減することができます。特に時間がかかる接触解析や非線形解析は、解の収束性も良くなるため2D簡略化が使用できるSOLIDWORKS Simulationをお勧めします。

  • * 2D簡略化はSOLIDWORKS Simulation Professional以上で使用できます。