要素の種類には、ビーム要素/シェル要素/ソリッド要素の3種類がありますが、今回はソリッド要素(図1)についてご紹介します。ソリッド要素(3次元要素)はCAEソフトで主に用いられており、3次元の立体形状にメッシュを切ります。
精度を保つメッシュ作成のテクニック
SOLIDWORKS Simulationのメッシュ作成機能を活用しよう
SOLIDWORKS Simulationには、メッシュ作成に関する機能が多くあることをご存じですか?
「メッシュが切れない」「エラーになってしまう」など、1度はメッシュ作成につまずく経験があるかと思います。ハイエンド解析ソフトでないとダメなのかとあきらめるその前に、SOLIDWORKS Simulationのメッシュ作成機能を活用してみてください。
メッシュとは
有限要素法という解析手法を用いる際に作成する、モデル形状を小さな要素に分割したときの一つ一つの要素のことをメッシュと呼びます。メッシュの切り方が計算精度に大きく影響します。
図1:3次元要素(ソリッド要素)
ソリッドメッシュは3種類ある
SOLIDWORKS Simulationには、モデル形状に合わせてメッシュを作成できるように3種類のソリッドメッシュがあります。それぞれの特徴と総要素数、メッシュ作成時間を示します。
標準 | 標準メッシュは均一なメッシュを作成しようとするため、ほかの箇所に比べ細かい形状が再現できず、メッシュエラーになる可能性がほかの2種類よりも高い |
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曲率ベース | 曲率ベースのメッシュはモデルの形状に合わせてメッシュサイズを変えるため、メッシュエラーになる可能性が低いが、不均一なメッシュが作成される |
ブレンド曲率ベース | ブレンド曲率ベースのメッシュはほかの2種類のメッシュのよい点を持つが、ほかの2種類のメッシュに比べ作成時間が多くかかってしまう。これはブレンド曲率ベースのメッシュの作成にマルチコアが非対応のため |
断面の比較
標準 | 曲率ベース | ブレンド曲率ベース | |
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総要素数 | 23,860 | 69,862 | 58,275 |
作成時間 | 12秒 | 13秒 | 43秒 |
メッシュコントロール機能
メッシュコントロール機能とは、任意の選択エンティティ(面、エッジ、ボディなど)のみを全体のメッシュサイズよりも細かくできる機能です。
図2の場合、拡大部の立方体が周りに比べ細かい(小さい)形状のためメッシュが粗くなってしまい、精度の悪い結果が予想されます。ここで図3のようにモデルの一部を細かいメッシュにすることで精度のよい結果が得られます。
図2:メッシュコントロール機能使用前
図3:メッシュコントロール機能使用後
メッシュ作成後
メッシュを作成した後はメッシュの品質を確認しましょう。確認する指標として「アスペクト比」と「ヤコビアン」があります。
アスペクト比
同一メッシュのうち、最も長いエッジと最も短いエッジの比率。1.0が最もよい(値が大きくなるほど精度が落ちる)。
ヤコビアン
メッシュのエッジの折れ曲がりを評価したもので、こちらも1.0が最もよい(値が大きくなるほど精度が落ちる)。
SOLIDWORKS Simulationには、このようにメッシュ作成に関する機能が充実しています。もしメッシュ作成時にエラーが発生してしまったり、きれいなメッシュが作成できなかったりする場合は、本記事でご紹介した方法を試してみてください。