SOLIDWORKS Simulation 線形座屈解析

座屈解析を用いて解析を行ってみよう

構造物に圧縮荷重を加えた静解析を行い、安全率から求めた限界荷重と実験値を比較すると静解析で求めた結果よりも小さい値で大きく変形してしまう経験はありませんか?

特に薄い形状や細長い構造物に軸方向に対して圧縮荷重を加えたときに、材料の降伏よりも低いレベルで大きく変形してしまう現象を「座屈現象」と言います。このような構造物では材料の降伏強度のほかにも座屈の発生を考慮する必要があります。

本記事では同じモデルに同じ解析条件を加えたとき、静解析と座屈解析の限度荷重でどのような違いが出るのかをご紹介します。

問題

以下の梁形状を持つモデルに対し、拘束条件と荷重条件を加えて静解析と座屈解析を行います。

拘束下面四隅を固定
荷重上面四隅にそれぞれ上から1[KN]

図1:梁形状の解析モデル

静解析の限度荷重と座屈解析の限度荷重を比べてみましょう。本記事では静解析に関しては安全率で、座屈解析に関しては座屈係数で評価をしています。変形方向が分かるように結果の倍率をそれぞれ変えています。

解析結果

静解析

限度荷重について静解析では加えた荷重に最小安全率をかけることで求めることができます。座屈解析は加えた荷重に荷重係数をかけることで限度荷重を求めることができます。

図2:静解析の変位結果(等角投影)

図3:静解析の変位結果(X軸方向)

図4:静解析の安全率

最小安全率150.00
限度荷重適応荷重×最小安全率=1[KN]×150.00=150.00[KN]

座屈解析

変形スケールを10倍にして表示を行っています。

図5:座屈解析結果(等角投影)

図6:座屈解析結果(X軸方向)

荷重係数139.27
限度荷重適応荷重×荷重係数=1[KN]×139.27=139.27[KN]

以上の結果から静解析の結果よりも小さい荷重で座屈現象による破壊が生じます。静解析の降伏は縮みを考慮していますが、座屈現象を考慮していないため限度荷重に違いが発生します。

まとめ

薄板や柱のような座屈現象が起きる可能性のある構造物の場合、静解析だけでは不十分な場合があるので座屈による破壊の可能性を確認することが重要です。

  • * 座屈解析はSOLIDWORKS Simulation Professional以上で使用できます。

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