SOLIDWORKS Simulation 複数荷重を考慮したトポロジー最適化

複数荷重の定義方法と最適化のアルゴリズムによる結果の違い

部品に複数の荷重が加わる場合、変形しにくい部品形状を考えることは悩ましい問題です。このような問題に対し、SOLIDWORKS Simulationのトポロジー最適化を実行すれば、各荷重の方向に対し、最適な剛性を持つ部品形状を求めることができます。

SOLIDWORKS Simulationでは、次の二つのアルゴリズムにより最適な形状を求めることができます。

  1. 各荷重方向に一定の剛性を持つ部品形状を求める(デフォルト)
  2. 変形が元も大きい方向に対し構造の剛性を高めた部品形状を求める(最小/最大定式化)

今回は、荷重と最適化アルゴリズムのパターンを変更した場合の検証結果をご紹介します。

検証モデル

図1に検証モデルを示します。

図1:検証モデル

薄板(幅100mm、高さ200mm、厚み4mm)の底面を固定し、上面にX方向およびY方向それぞれに1,000[N]の力を定義します。トポロジー最適化は、次の4ケースの条件にて実行します。

(a)X方向の力1,000[N]のみ定義したパターン

(b)Y方向の力1,000[N]のみ定義したパターン

(c)X方向、Y方向それぞれ1,000[N]の複数荷重を定義したパターン(最適化アルゴリズム:デフォルト)

(d)X方向、Y方向それぞれ1,000[N]の複数荷重を定義したパターン(最適化アルゴリズム:最小/最大定式化)

ゴールと制約は、最適な剛性対重量比を選択し、70%の質量を削減する設定とします。製造制御の条件は、離型コントロールのスタンピングにより、Z軸方向に貫通穴ができる設定とします。

複数荷重の定義

複数荷重は、解析ツリーのスタディ名で右クリックしショートカットメニューから「複数の荷重定義」により定義できます。

図2は複数荷重定義の設定画面になります。ここで、荷重定義1(Y方向に1,000[N])、荷重定義2(X方向に1,000[N])の荷重パターンを定義します。

図2:複数の荷重定義

最小/最大定式化使用の選択

最小/最大定式化の最適化アルゴリズムを使用したい場合は、解析ツリーのスタディ名で右クリックし、ショートカットメニューから「プロパティ」を選択します。図3に示すトポロジー最適化スタディのプロパティより、「最小/最大定式化」をオンにします。

図3:最小/最大定式化使用

解析結果

図4にそれぞれのケースにおける材料質量分布図を示します。

  • 図4:材料質量分布図(a)

  • 図4:材料質量分布図(b)

  • 図4:材料質量分布図(c)

  • 図4:材料質量分布図(d)

(a)(b)は単一の荷重でそれぞれX方向の曲げ、Y方向の伸びの変形に対する剛性が高くなるような材料質量分布になっていることが分かります。

(c)はX方向、Y方向に一定の剛性を持つ設定となるため、(a)の材料質量分布に対しY方向の剛性も考慮され赤丸部にも材料質量が残った結果になっています。

(d)は変形が大きいX方向の荷重に対する剛性を高める設定となるため、(a)に似た材料質量分布になっていることが分かります。

まとめ

以上の検証より、SOLIDWORKS Simulationのトポロジー最適化は、複数荷重が定義される部品に対し、それぞれの荷重の影響を考慮した部品形状の予測に役に立つと考えられます。複雑な荷重のため、どの部分を厚くすべきか分からず悩んでいましたら、ぜひトポロジー最適化を実行してみてください。

  • * トポロジー最適化は、SOLIDWORKS Simulation Professional以上で使用できます。

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