SOLIDWORKS Simulation 対称拘束で解析時間を大幅削減

対称拘束で解析時間を約68%削減! そのほかの効果とメリットは?

「解析時間を短くしたい」これは解析ソフトを使っている方なら誰しも感じたことのある悩みではないでしょうか。

今回は、「対称拘束」という手法を用いて、解析時間を大幅に短縮できる事例をご紹介します。解析時間だけでなく、モデル作成の効率化や、より高精度な解析結果を得るうえでも対称拘束は非常に有効な手段です。ぜひ、お客様のモデルにも活用してみてください。

なぜ対称拘束が解析時間を短縮できるのか?

対称拘束とは、構造物が持つ対称性を考慮し、解析モデルを単純化することで、計算量を減らす手法です。具体的には、構造物の一部を切り出して解析することで、要素数を大幅に削減できます。

では、解析モデルを例に解説していきます。

解析モデル

今回は図1に示す鎖を解析対象とし、フルモデル・1 / 2モデル・1 / 4モデルの三つのモデルで検証を行いました。

図1:解析モデル

解析条件

解析条件は図2、図3のとおりです。

下側の鎖の面を固定し、上側の鎖の面に150kgfの荷重を上方向に負荷しています。鎖同士が接する面に接触条件を付加しています。

図2:解析条件1

また、解析安定化のため、フルモデル・1 / 2モデルは、モデルの中心を通るエッジに拘束を負荷しています(下側の鎖はZ方向の移動を抑制、上側の鎖はX方向の移動を抑制)。

図3:解析条件2

解析結果

表1に最大ミーゼス応力、解析時間の結果を示します。また、図4にミーゼス応力のコンター図を示します。(1 / 2モデル、1 / 4モデル)

最大ミーゼス応力を確認すると、三つのモデルで差異が約1%となり、ほぼ同じ結果になっていることが分かります。そして解析時間に関してはフルモデルから1 / 4モデルにすることで約68%削減できました。

表1:解析結果
 フルモデル1 / 2モデル1 / 4モデル
最大ミーゼス応力 [MPa]758.8760.9766.6
メッシュ数932,453509,374274,837
解析時間8分54秒5分14秒2分49秒
削減効果41.2%68.4%

図4:ミーゼス応力結果

剛体移動抑制効果

対称拘束によって剛体移動を抑制する効果もあります。

例えば、図5の椅子モデルについて考えます。椅子の足が滑る想定でスライダー拘束を適用すると、X、Z方向で十分な拘束がされていないため、平行移動してしまっていることが確認できます。場合によっては剛体移動により解が得られず、計算が収束しないこともあります。

図5:解析結果

しかし、1 / 4モデルを用いて対称拘束を適用することで、X、Z方向が拘束され、図6のように想定どおりの解析を行うことができました。

図6

まとめ

対称拘束を適用することで解析時間を大幅に削減することに成功しました。対称性を利用することで、不安定問題を回避しつつ計算量を削減できる点は、効率的な設計検証につながり、解析における大きなメリットと言えるでしょう。

一方、モデル形状や解析条件によっては対称拘束が適用できないケースがあるので注意が必要です。

スクールで学ぼう

ほかにもさまざまなテクニックを活用することで、解析時間をさらに短縮できます。大塚商会では、解析のテクニックや運用ノウハウなどを学べるeラーニングがありますので、解析ソフトをこれから活用していきたいという方は、ぜひ、ご受講をご検討ください。

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