そこで、IoTやARといった手法が登場してくるのだが、現場と重ね合わせてより直感的に理解できるPTC ARをお薦めする。PTCでは、まさに現場にうってつけのARアプリやARコンテンツを手軽に作成できる技術を開発している。
では、製造現場と保守サービスにARを取り入れることでもたらされるメリットについて見ていこう。
人手不足が進む中、ベテランのノウハウを伝承するために
大塚商会が開催した実践ソリューションフェア 2019では、PTCジャパン株式会社 製品技術事業部より西啓氏をお招きし、IoT / ARの最新技術について活用事例を絡めてご紹介いただきました。その内容をレポートにまとめましたので、ご紹介します。
「熟練工が退職し、若い世代の働き手が足りない」。労働者不足の問題は日本に限った話ではない。生産性の向上には、これまでのやり方ではなく新しいやり方にシフトする必要がある――と感じているのはアメリカおよびヨーロッパ、そして日本でも共通している。
では、製造過程のどのタイミングで人材不足が深刻化しているのだろうか?
それは「製造現場」と「保守サービス」である。設計はデジタル化が進みつつあるし、試作においては3Dプリンターを使った造形も浸透していることから、まだまだマンパワーを必要としている製造現場と保守サービスのやり方を変える必要がある。
日本製品は他国との競争に勝つためにどうしても高機能・高品質を求められる。年々要求が高まる中、働き方改革やコンプライアンスの順守といった労働環境の変化にも対応していかなければならない。限られた作業者のリソースを効率化するには、どうしたらよいのだろうか?
そこで、IoTやARといった手法が登場してくるのだが、現場と重ね合わせてより直感的に理解できるPTC ARをお薦めする。PTCでは、まさに現場にうってつけのARアプリやARコンテンツを手軽に作成できる技術を開発している。
では、製造現場と保守サービスにARを取り入れることでもたらされるメリットについて見ていこう。
不明点が出てきたら紙やPDFなどさまざまな手順書からヒントを探し出す手間がなくなり、遠隔地にいるエキスパートからリアルタイムにガイダンスをもらえるようになるため、作業の加速化が進む。特に保守サービスにおいては、初回訪問での解決率が上がるため再訪問件数を減らせるようになり、出張回数および費用の抑制になるだろう。
まだ作業に慣れていない方に、作業を正確に理解してもらうためにARは効果的なトレーニングコンテンツだろう。ARコンテンツを一度作っておけば、何度も繰り返してトレーニングできる。また、言葉が伝わりにくい海外の作業者にとっても理解しやすくなる。
これらはPTCがリリースしている「Vuforia Chalk」を利用することで実現できる。Vuforia ChalkはARを介して遠隔地にいるエキスパートと作業者をつなぎ、音声とマーキングによって正確な作業を支援するアプリだ。ぜひ、実際の利用シーンを動画でご確認いただきたい。
マーキングは作業者とエキスパートで色分けできるため、質問と指示が混ざることはない。そしてマーキングは拡張現実上のものに張り付くため、場所を移動して元の場所に戻ったとしても、消えずに張り付いて残っている。
App StoreもしくはGoogle Playからアプリをダウンロードでき、非常に好評を頂いており、製造現場だけでなく医療現場でもご利用いただいている。
ARは登場して10年もたっておらず、新技術だからこその課題がある。それはARコンテンツ作成にかかるコストだ。まだエンジニアが豊富に存在しておらず、少し知っていれば作れるものでもないからだ。
そのような課題に対して、PTCではVuforiaをご提供している。Vuforiaとは、スマートフォンやタブレットに対応し、ゲームエンジンなどでも利用されているアプリ開発が可能なAR技術のプラットフォームであり、PTCは2015年クアルコムの子会社からVuforia事業を買収した。
さて、Vuforia StudioでのARコンテンツの作り方だが、3次元データをPTCがホスティングしているクラウドサービスもしくは自社サーバーにアップロードする。すると、ARコンテンツにパブリッシュされ「ThingMark」が発行される。後は読み取りアプリが入っている端末でThingMarkをスキャンするだけだ。
Vuforia StudioはIoTとも連携することができ、機器から取得した情報や数値も組み込むこともできる。また、ARにあるボタンやスイッチを押すとリモートで機器を操作できるような仕組みも拡張可能だ。
PTCでは150種類以上のドライバー、そして各社シリーズごとのプロトコルをご用意しているため、機器との連携のバックアップも万全だ。さらに、Vuforia ChalkやVuforia Studioよりも複雑な仕組みを開発したい場合に向けてのソリューションもご用意している。
海外、特に中国では積極的にARの技術を利用している。PTCではARは今後必要となる技術と確信しているため、ぜひ、積極的にARをご利用いただきたい。