3D設計における公差の表現方法について

日々、さまざまな設計者の方とお話しさせていただく中で、設計における公差の考え方という話題で、色々なご意見を聞かせていただいています。
公差の値に関しては、公差解析が重要だという事を承知されている方々は多いと思われますが、3D設計における公差の表現方法については、未だ明確な答えを持たれている方は少ないと思われます。

「公差中心でモデリングすべき」「公差には設計意図が含まれているから今まで通りで変えられない」など賛否両論多くの意見を頂いてきましたが、何に重点を置き検討すればいいのでしょうか?

3D CADで3D設計を進める上で、モデルの寸法値を決める事は大きな課題です。
ある企業では、公差中心に統一してモデリングしていると聞きましたが、違う企業ではノミナル(基準寸法)でモデリングしているとも…一体どちらが正解なのでしょうか?

公差とは、部品の形状に対して与えられた役割が、製品寿命間で達成するための条件であり、公差範囲内であれば、基準寸法値でなくても構わないというものです。
一般的に公差範囲が大きければ大きい程、製造コストは下がると言われており、公差と製造コストには関連性があります。
その中でも、公差と製造方法には密接な関係があり、公差によって製造方法がある程度特定されたり、製造方法に合わせて公差を考慮したりという事があります。

では、製造分野での3Dモデル活用には、どのようなものがあるかみてみると、

  1. 3Dモデルから2D図を作成している。
  2. 3Dモデルを金型部門(メーカー)に参考として渡している。
  3. 3DモデルをCAMソフトに渡して、NCデータを作成している。
  4. 3Dモデルを正式データとして出図(保証)している。

など、企業によって活用レベルが異なることも分かってきました。

(1)の場合、3Dモデルは2D図に投影され、2D図を作成するためにあるので、今までの図面のときと同じようにノミナルで問題ないでしょう。
(2)の場合は、金型部門で有効に活用されていないことが見受けられます。
原因としては、3Dモデルの寸法が、金型形状の狙い値と外れている事があげられます。
寸法だけではなく、形状も変形させる場合もあります。ダイキャストや鋳物など、成型後に加工する場合もあります。
この様に、寸法値が製品として反映される工程はいろいろあり、3Dデータに求められる狙い値は、その工程により必要性も異なります。

(3)(4)の場合は、どんな決めごとでモデリングすれば良いのでしょうか?

製造に関する制約は、設計段階で決定していない企業もあるでしょう。
多くの企業では、3D CADの導入目的として、コラボレーションによるリードタイムの短縮が掲げられていました。公差を3Dモデルに反映させる方法についても、設計や生産技術、品質保証、コストなどについてクロスファンクショナルチームで議論することが重要ではないでしょうか?

大塚商会はその議論を、CADの利用技術やPDMの活用ノウハウを基に、高いレベルの結論が出せるようにお手伝いをさせていただきたいと考えています。
ぜひ、ご相談ください。

この記事を書いた人:T.T

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