3Dスキャナーの精度って?

皆さん3Dスキャナーというものをご存知でしょうか?
3Dデジタイザとも呼ばれる、物体にレーザや縞模様の光を当て、反射光をカメラで読み取ることで物体の3D形状をデータ化する装置のことです。実物とCADデータを比較・検査するCAT、実物を基にCADデータを作成するリバースエンジニアリングなどで利用されています。低価格化も進んだこともあり、最近非常に注目されています。

この3Dスキャナーをお客様にご紹介すると、必ず聞かれることがあります。それは、精度はどのくらいなの?高精度じゃないと...といった言葉です。

実物を精度良くスキャニングしたいということからくる言葉だと思うのですが、闇雲に高精度な製品を選定すると、高価であったり、オーバースペックになってしまったりということになります。ここで大事なのが、精度とは何?ということを理解することです。

一般的に精度というと、長さの精度(誤差)を思い浮かべるのではないでしょうか?ただ、実は、3Dスキャナーの精度には、長さだけではなく、点群のバラつき精度、繰り返し測定の精度などさまざまな精度があります。また、各製品のカタログを見ると、「精度」「測定精度」「確度」など各社表現がバラバラで、それぞれが違う精度のことを表していたりします。これは、3Dスキャナーの性能評価をする標準規格がないために各社ごとに違う基準を使用して、性能評価を行っているためです。(注1)

さらに、実は一番重要で、カタログからは、読み取りにくいこととして、データ結合時の精度(誤差)があります。通常、物体をスキャニングするためには、前面や側面、上面などの複数ショットをソフトウェアで結合し、一つの3Dデータを作成しますが、カタログには、「1ショットあたりの精度」しか表していない場合が多いのです。この結合時の誤差を小さくするためには、物体形状に合わせた最適なスキャニング方法の確立、ソフトウェア特性の理解といった運用ノウハウが非常に重要になります。

このように、精度といってもさまざまな精度があることをご理解いただけましたでしょうか?

本当に重要なことは、闇雲に精度を求めるのではなく、目的達成に必要な精度は何の精度で、どのくらい必要なのか?精度が高くなくても、運用で回避できないか?ということを検討することだと思います。

弊社では、お客様が最適な製品を選定していただけるよう、検討材料をご提供したり、導入後の運用まで含めたご提案を行わせていただいています。ご興味ある方はぜひご相談ください。

  • (注1)平成21年9月に「JIS B 7441 非接触座標測定機の受入検査及び定期検査」が制定されていますが、この規格に沿っている機器は、まだまだ少ない状況です。

この記事を書いた人:M.I

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