時代によって変容する働き方を力強くサポートし、CADオペレーターにも最適な「Surface Book 3」の魅力をマイクロソフトに聞く

2020年5月、マイクロソフトより「Surface Book 3」がリリースされた。タブレットと両立する仕様は変わらず、Quadro RTX 3000搭載機がラインアップされるなど従来よりもグラフィックの機能が大幅に強化されているほか、高速なSSDや高解像度タッチスクリーンなどハードウェアの性能が非常に高いのが特徴となる。仕事のあり方全てを変えるような革新的なノートPCのコンセプトについて、日本マイクロソフト株式会社シニアプロダクトマーケティングマネージャーの白木智幸氏に聞いた。

TEXT_神山大輝/Daiki Kamiyama(NINE GATES STUDIO)
EDIT_阿部祐司/Yuji Abe(ボーンデジタル CGWORLD)
PHOTO_弘田充/Mitsuru Hirota

CGWORLD(以下、CGW):「Surface Book」シリーズは、以前からハイエンドなノートPCと手軽に使えるタブレットの両立をコンセプトとする製品として評価の高いモデルかと思います。今回リリースとなった「Surface Book 3」について、特徴を教えて下さい。

白木智幸氏(以下、白木):「Surface Book 3」は、ハイパフォーマンスなGPU機能とタブレット機能を1台のマシンで共存させるというコンセプトで開発されたノートPCです。高いスペックのワークステーションPCとして活用が可能でありながらも、手軽にタブレットとしても使うことのできる画期的な構造が特徴となります。

CGW:従来のSurface Bookシリーズと比較して、スペック面ではどのような点が強化されているのでしょうか。

白木:大幅に強化されているのはグラフィック性能です。以前は選択できるGPUがゲーム用途での性能評価が高いNVIDIA GeForceシリーズのみでしたが、ビジネス用途で使いたいというニーズを受けて、今回Quadro RTX 3000搭載モデルが追加となりました。現在のハイエンドなCAD開発に対応するのはもちろん、将来的に設計段階からビジュアライズまでを総合的にカバーするようなワークフローに変化したときも対応できるレベルのGPUです。

CGW:CAD開発の現場では業務上、Quadro搭載機が必須の場合も多いと思います。ハードウェア的にも、1ボタンで簡単にタブレットとして分離できるのは非常にスマートだと感じています。

白木:Surface Book 3は、「ノートPCモード」、「タブレットモード」のほかに、「ポータブルスタジオモード」というモードも用意されています。最も一般的なスタイルがノートPCモードで、気軽に持ち運んで使う場合は軽量なタブレットモードを活用する形になるかと思います。ポータブルスタジオモードは、ディスプレイを反転させて本体に装着することで、あたかも高性能な液晶タブレットのようにSurface Book 3を使用できる機能です。ディスプレイ側だけでもタブレットとして使えますが、ポータブルスタジオモードではキーボード側に搭載されているGPUの性能をフルに活かすことができるようになります。

  • ノートPCモード:Surfaceシリーズ製品は机に置いた状態から片手で開くことができる絶妙なヒンジ強度となっているそうだ

  • タブレットモード:専用キーでワンタッチ着脱が可能

  • 取り外したディスプレイを反転させる

  • 折りたたむとGPUを含めフルに性能が発揮できる「ポータブルスタジオモード」となる

CGW:「ポータブルスタジオモード」は、どういった意図で開発されたのでしょうか。

白木:タッチ液晶型のノートPCは、キーボードの奥にディスプレイがあるため、ペンで書き込むのは少しやりづらいです。また、筆圧を出すためにグッと力を入れるとディスプレイの角度が変わってしまったり、ディスプレイの角度が変わらないようにヒンジの強度を上げてしまうと、今度は片手でノートPCを開くということができなくなったりします。一方、タブレットはペンやタッチを使った作業に便利ですが、マシン性能が必要な作業には耐えられません。タブレットの利点と、PCの性能面のどちらも取り入れることで、デザイン用途として「描くことに集中できる環境」をつくっています。

CGW:3通りの形状に変化するのは、「どこでも、好きな働き方で」という思想を実現するためということですね。開発の現場では、実際にどういった使用シーンが想定されますか?

白木:2020年はコロナ禍の影響もあり、春から夏頃にかけてリモートワークを行う企業が非常に増えました。一方、現在は徐々に出社する機会も増えており、会社にいる方とリモートで働く方、どちらも混在した状況で仕事をしています。環境の違う方々が一緒に働くためには「コミュニケーション」がカギになりますが、Surface Book 3はまさにコミュニケーションに特化した性能を持っています。例えば、ペンを用いれば文字以上のコンテクストを伝えることもできますし、仕様書などを使って会議をしているときも、読んでいる箇所にマーカーを引いて、そこに参加者の視線を集めることもできます。また、マイクやスピーカー、カメラなどのコンポーネントも高性能なので、リモート会議の際に相手に情報を伝えるという基本動作を確実にこなすことができます。

CGW:背面にもカメラがあるので、タブレットモードで写真を撮って誰かに共有する、ペンを用いてコミュニケーションをする、こういったコミュニケーション面と、本体のGPU性能による高度なエンジニアワークを両立しているということですね。

白木:はい。そして、ハードウェアだけではなく、Microsoft TeamsやMicrosoft 365と組み合わせることでできることがさらに広がります。例えばブレインストーミングをやろうとしたとき、現実だと模造紙や付箋紙を用意しなければいけない。しかし、リモート環境であればデジタルなので事前準備なしですぐにアイデア出しを行うことができます。高い性能を持ちながら、こうした利便性を兼ねそろえているのがSurfaceシリーズの良いところだと思います。

CGW:Surfaceシリーズの中でも、こうしたコラボレーション機能や、実際の作業に役立つほかのSurfaceシリーズや多くの周辺機器がリリースされているとききます。

白木:この取材中も使っていますが、50インチのディスプレイサイズを持つ「Surface Hub 2S」などは社内外のスタッフ同士のコラボレーションにおいても活用ができると思います。例えば会社の会議室からリモート会議に参加する場合、物理的に遠くに座っている方の音声は届きづらい。リモートで参加している側からすれば、声が聴こえないため現地でどういった議論が行われているか分からず、置いてけぼりになってしまう。こうした音声面のトラブルも、Surface Hubであれば高性能な8要素アレイマイクが搭載されているため、参加者の距離に応じて、自動で適切にゲインコントロールして均一な音声を相手に届けることができます。また、Surface Book 3の情報をSurface Hub 2Sに投影するときは、ワイヤレス投影を使いケーブル不要で投影することができます。こうした動作が検証されて製品化されているというところも大きいと思います。もちろん、大きなデジタルのホワイトボードとしても使えますし、それがネットワークでつながってすぐに共有できるというのも、円滑な意思決定に寄与すると考えます。

「Surface Hub 2S」の使用シーン

CGW:「Surface Dock」や「Surface Dial」についてはいかがでしょうか。

白木:Surface Dockは、ケーブル1本で Surface Book 3 と接続可能なドッキングステーションです。4Kディスプレイ2画面(60Hz)まで対応しているため、自宅や職場のデスクで腰を据えて大画面で作業したい場合にご活用いただけます。Surface Book 3であれば、4Kディスプレイ2画面とポータブルスタジオモードによる液晶タブレット的な使い方でデザインワークをするのも良いと思います。打ち合わせはタブレットモードで、編集はノートPCモードで。多くのツールを立ち上げたり、大きな画面で作業したい場合はDockを用いてケーブル1本で拡張するなど、多用な使い方ができると思います。Surface Dialは、デザインにおける拡大縮小やペンの切り替えなど、多くの作業を直感的に扱える様になるツールです。

CGW:なるほど、Surfaceシリーズの総合的なソリューションでコロナ禍での働き方を力強くサポートできそうですね。最後に、CADJapan読者に向けてメッセージをお願いします。

白木:Surface Book 3自体、AutoCADやSOLIDWORKSなどが問題なく動作するハイスペックなマシンであることは間違いありません。しかし、それ以上にマイクロソフトが提供するTeamsなどのコラボレーションツールを用いたときの意思決定のしやすさ、アイデアのまとめやすさなど、エンジニアワーク、コミュニケーション両面において「実行可能な業務の幅が広い」バランスの取れたPCであることをお伝えしたいです。ここはスペックシートだけでは見えてこない利点です。いま、新しい働き方を模索されているCADオペレーターの方も多いと思います。これからの働き方を再定義するときに、Surface Book 3をご選択頂くことで、お客様が達成しようとされていることに最も近づくことができると考えております。